業界団体

大阪で『研修見学会』実施【JMIAユースアップの会】

村中医療器とコムラ製作所を訪問

寄稿 JMIAユースアップの会  副代表幹事・串畑恭平(河野製作所)

「研修見学会」の参加者

日本医療機器協会(日医機協)加盟企業の若手経営者や幹部社員らで組織するJMIAユースアップの会(代表幹事=山﨑隆次氏)では毎年、研修見学会を行っております。一昨年の粕谷機工、昨年のシャルマンに続き、今年は11月15日㈮と16日㈯の2日間にわたり、村中医療器およびコムラ製作所を会員・参与19名に加え、大阪医療機器協会の若手の会・目指志会(めざし会)会員8名、計27名で視察見学いたしました。

新大阪駅よりバスをチャーターし、移動は終日バスを利用しました。目指志会の皆さまもバスに同乗していただきまして、移動中も有意義な情報交換、懇親の場になったのではないかと思います。目指志会の大西委員長に手配いただいた会場で昼食を済ませ、最初に村中医療器を見学させていただきました。

村中医療器は、創業116年の歴史を刻む総合専門商社で、見学にお伺いした「総合センター」は、ロジスティック棟、研究開発棟、オフィス棟からなる、物流・製造・販売の拠点を統合した施設です。

冒頭に、同社の村中亮太社長からご挨拶をいただきました。続いて、開発部の村中俊郎部長、販売促進部の秀徳宣行部長より、同社の紹介と「総合センター」、特にロジスティック棟について詳細な説明をしていただきました。同社の総取扱いアイテム数は30万点を超えるとのことで、どのように全国各地に正確かつ迅速に配送しているのか疑問でしたが、ロジスティック棟を見学させていただき「なるほど」と思わされました。

総合センターの見学はオフィス棟から始まり、デスクワークを行うフロア、打合せスペース、共有スペースや多目的室を見せていただきました。それに加えて講演会や勉強会が行えるスペースも備えられており、従業員とお客様ともに配慮された施設となっていました。

続いて、物流を担うロジスティック棟を見学させていただきました。倉庫の広さ、棚の多さは圧巻でした。仕組みの面では、多種多様な商品を効率よくピックアップするために、受注頻度に合わせて商品を置く棚が決められていたり、機械で行った方が早い作業は機械で行い、人が行った方が都合の良い作業には人を配置したりと、徹底して効率化が図られていました。これらの仕組みを完成させるまでの苦労は想像が追いつかないくらいです。また、見学中、製品棚に自社の製品を見つけた会員もおり、同社との関わりをよりリアルに感じることが出来ました。

見学を終え、質疑応答の時間を設けていただきました。その際には、総合センターを立ち上げて、稼働させるまでに苦労されたお話をお聞きし、完成されたシステムを作り上げることの大変さを感じました。研究開発棟も見せていただきたいという気持ちを抑えつつ、コムラ製作所へ向かいました。

コムラ製作所は、介護福祉機器・医療機器、住設環境機器などの開発・製造・販売を行っている企業です。医療機器分野では、手術用顕微鏡装置(全国シェア50%)をはじめ、電動光学台(全国シェア80%)などの機器を開発、実用化しています。同社の小村泰右社長も、村中医療器を見学していましたが、バスを先回りをして出迎えてくださいました。昭和22年に創業してからの歴史や会社の概要も、小村社長に説明していただきました。1963年に製図台の製作を手掛けたことから、重たいものを安全かつ正確に昇降・スライド・角度調節させる機構のノウハウを蓄積し、その技術を医療・介護分野にも活かしているとのことです。

工場見学は、昇降・スライド機構の組み立ての工程から見せていただきました。組み立てというと、シンプルな作業に思えますが、精度を出すための独自のノウハウや、生産効率を上げるためのノウハウがあることを教えていただきました。日々、さまざまなアイディアを出しながら開発・製造に取り組んでいるのだと感じることのできる現場でした。

次に、組み立て工程の前の工程にあたる、溶接や機械加工の現場を見せていただきました。組み立て工程のフロアとは違い、自社でたくさんの加工をしているからこそ立ちこめる溶接や機械加工による油や金属の香りがしました。自動溶接機やNC旋盤が並ぶ中で、おそらく創業当初に使われていた古い汎用機がおいてありました。昨今の製造業は機械の進歩で、高度な加工が可能になり、また加工の効率が上がってはいますが、コムラ製作所では、最新の機械を導入しながらも、基礎的な技術も大切に積み重ねているのだと感じました。

また、工場内では若い技術者の方も多く見かけました。次に小村社長とお会いできた際には、若い技術者の育成という面でも意見交換をしてみたいと思います。

村中医療器、コムラ製作所の見学後は、宿泊先である大阪市内にある大和屋本店で懇親会を開催いたしました。村中医療器の村中敏郎部長、コムラ製作所の小村泰右社長、目指志会の皆さまもご参加くださり、会は大いに盛り上がりました。懇親会後は、それぞれに思い思いの夜を過ごし、2日目は有志で大阪市内の観光をいたしました。

今回の研修見学会は、2社の見学について大変貴重な機会をいただいたことに加え、目指志会の皆さまと交流を深めることができ大変充実した時間を過ごすことができました。今後も、継続的にこのような活動を続けて参りたいと思います。

最後に、研修見学会を快く引き受けてくださった村中医療器の皆さま、コムラ製作所の皆さま、また旅行の段取りにご協力いただきました大西委員長をはじめとした目指志会の皆さまに厚くお礼申し上げます。

以上