業界団体

中長期計画の実施状況を説明【医療機器センター】

本郷記者会との「定例懇談会」で発表

懇談会で中長期経営計画の実施状況を説明する菊地理事長(左から2番目)と中野専務理事(同3番目)ほか。

医療機器センター(理事長=菊地眞氏、東京都文京区)は、8月6日㈫に同センター会議室で、本郷記者会との懇談会を開催した。懇談会では菊地理事長や中野壮陛専務理事らが、同センターの中長期経営計画の実施状況や、医療機器産業の将来を担う人材育成を目的にした新規事業「NEXT経営人材研修」、昨年6月にWeb上に開設した就活生向け医療機器産業の情報サイト「医機ナビ」の内容を説明した。

組織を強化して医機産業に貢献

冒頭、あいさつした菊地理事長は「当センターは発足以来、厚生行政の一端を担う活動や、医療機器産業界を確固たる実力の産業界にしたいとの思いから啓発を含めた活動を行ってきた。今後はさらに、産業界のお役に立つような活動を増やしていければと考えている」と第一声。

「昨年、新しいオフィスに移ってから、事務局にマネジメント人材や若手職員、付属の医療機器産業研究所に上級研究員3名、テクニカルアドバイザー1名、若手研究員2名を採用し、組織を強化した。これにより、医療機器産業界の要望に応え、さまざまな事業を展開し、当センターの使命を果たしていきたい」と決意を新たにした。

身近な認証機関としてサービス向上へ

このあと、中野専務理事が中長期経営計画の実施状況について説明した。それによると中長期経営計画は2016年度からの5年計画で、今年度で4年目となる。計画は①「信頼される中立的機関」となることをベースに、②事業化支援③シンクタンク④教育・人材育成⑤情報提供・Publicity--の5つの骨子で構成されている。

中長期経営計画の4年目にあたる今年度までの各骨子の実施状況の説明では、①の信頼される中立的機関に関して、産学官臨の協力により、医療ガス設備の安全管理(17年)や治験ガイダンス(17年)、CT/MRIの保守点検指針(18年)、サイバーセキュリティガイダンス(18年)--などに関する行政通知の発行に寄与した。

②の事業化支援については、身近な認証機関として選ばれる存在をめざし、より一層のサービス向上に努めてきた。実績として認証に関する無料説明会の毎月開催、無料面談の実施(昨年度実績58件)、業界団体や都道府県単位の講習会への講師派遣--などを実施した。

附属の医療機器産業研究所では開発から医療機器規制・保険適用までを含めた事業戦略策定支援、認証・承認取得までの一貫した事業化支援業務(年間130件以上)を行ってきた。

③のシンクタンクについては、17年から多様性・専門性の観点から公募型リサーチペーパーを開始。これまでに9本を採択し、うち3本を発行した。また、18年8月から医療機器保険適用に関する事例検討会を新規開催(現在まで3回)している。

④の教育・人材育成については、人材教育シリーズ『JAAME Academy』として、16年から「医療機器の開発実務者育成セミナー」、17年から「医療機器品質管理監督システム(QMS)講習会」を実施。19年から「NEXT経営人材研修」を新たにスタートさせる。また、17年から若手社会科学研究者の育成を目的に「医療機器・社会経済研究会」、18年から日本医療研究開発機構(AMED)「若手研究者向け医療機器事業化サポートプログラムの開発」を実施し、医療機器の開発を行う若手研究者の育成に寄与している。

次世代の経営者を育成
「医機ナビ」を充実、強化へ

このうち、新規の「NEXT経営人材研修」は、医療機器業界の将来を担う人材の育成を目的に、企業のエグゼクティブをめざす中堅社員を対象としている。〝今日の知識〟を〝明日の知恵〟へをコンセプトに、実践的は意思決定能力を磨いていく。

研修は医療機器ビジネスに特化し、基本的な知識の整理とその活用を実際の実例を通して学び、考え、議論していく。受講生が自ら考え、学びとるアクティブなプログラムとなる。

講師陣は業界大手企業の社長経験者や医療機器関連の有識者、大学教授らが担う。研修内容は医療機器業界概要や買収、製品開発・上市、医療機器産業研究所によるメンタリング、コーチング、アドバイザリング--などを用意している。

研修期間は19年9月から20年5月までの9か月間で、月1回を予定。会場は医療機器センターの会議室。スケジュールは18時から19時15分までが講義、19時15分から20時までがディスカッション、20時から21時までが意見交換、情報交換、ネットワーキング--となる。

NEXT経営人材研修の初年度は6名程度を募集(最大10名)。受講料は45万円(税込)。申し込みは同センターWebサイト(http : //www.jaame.or.jp/)から。

⑤の情報提供・Publicityについては、18年6月から医療機器産業に特化した就活生向けの情報発信サイト「医機なび」(http : //www.iryokiki-navi.com)を開設し、医療機器産業界に優秀な人材を集めるためのパブリシティ活動を展開している。

医療機器業界が持続的に発展するには各企業が〝自社の求める人材像〟をきちんと確保できる環境が必要な一方、医療機器業界は他の業界に比べ、新卒就職において人気が低い現状にあり、その要因は医療機器に対する認知度の低さや、就活生に向けた情報の乏しさにあると考えられている。

「医機なび」は進路や職業選択を控えた学生をターゲットに、医療機器業界の魅力を発信している。コンテンツは▽医療機器業界の特徴(業界を知ろう!)▽医療機器業界の仕事(業界を知ろう!)▽医療機器の種類(医療機器って何?)▽各企業の若手社員へのインタビュー(教えて先輩!)--で構成される。

今後は日本医療機器産業連合会(医機連)に新設された「医療機器産業の魅力発信部会」に参画し、ジョイント企画を推進していく予定だ。さらに、将来的には医療機器企業就職情報やインターン情報、就活生向けイベント、SNS広告の強化--などにも取り組んでいく方針だ。