三村副会長が会長に就任【MTJAPAN】
「2019年度定時総会」で決定
日本医療機器テクノロジー協会(MTJAPAN)は、6月6日㈭に東京・大手町の経団連会館で「2019年度定時社員総会」を開催した。総会では任期満了にともなう役員の改選を行い、笹宏行会長(オリンパス)が退き、三村孝仁副会長(テルモ)が新会長に昇格した。総会終了後、三村新会長らが「記者会見」を開き、今年度に取り組む重点施策などを発表した。
新技術を取り込み業界の発展へ
会見冒頭、三村新会長は医療機器産業を取り巻く環境変化にふれ「新しいテクノロジーが医療分野に入ってきて、AIやIoTなどはこれまでの医療機器の概念を越え、新たな効果やバリューを生み出している。細胞治療・再生医療の分野にも新たな医療機器開発のチャンスがある。医薬品の世界でも、創薬技術だけでなく、薬の効果や治療のアドヒアランスを高めるために医療機器テクノロジーにも関心が寄せられている」と説明した。
これを踏まえ、「このように従来の垣根を飛び越えたところに医療機器の新たな成長機会が広がっている。既存の枠に固執することなく、異分野・異業種からの新たなテクノロジーを取り込みやすい環境を作り、業界発展につなげていきたい」との方向性を示した。
業界が直面する課題であるグローバル化に言及しては「平成がスタートしたころの日本のGDPは世界の15%を占めていた。しかし、今や6%となっている。少子高齢化と人口減少という課題を抱えている日本市場では今後、大きな伸びは期待できないので、グローバル化の推進は避けては通れない」と現状を説明した。
さらに、「MTJAPANの調査では、海外展開を行っている企業の海外売上比率はこの5年間で約15%増加しており、グローバル化が進んでいるようにみえるが、その内訳は売上規模300億円未満の企業においてはまだ圧倒的に国内比率が高いのが現状だ。行政とも連携して海外展開の障害となる規制の整合を進めるとともに、医療機器産業としてさらに技術を磨き、グローバル化を推進することで、日本経済の成長の牽引役を務めていきたい」と語った。
イノベーション創出へ
医療安全、国際展開を推進
MTJAPANの5つの重点テーマとしては、①医療機器のイノベーション創出と適正な評価の推進②医薬品医療機器法の見直しにおける業界意見の反映③医療安全への貢献④国際展開の推進⑤コンプライアンスの徹底--を列挙し、各重点テーマへの取り組みを解説した。
①の医療機器のイノベーション創出と適正な評価の推進では「来年4月には診療報酬改定が控えていることから、イノベーションの適切な評価の実現に向け、関連団体と連携して、積極的に提言してまいりたい」と述べた。
②の医薬品医療機器法の見直しにおける業界意見の反映では「医療機器の適正に応じた対応により、承認審査のさらなる迅速化・効率化に取り組んでいきたい」と説明した。
③の医療安全への貢献では「相互接続防止コネクタ国際規格(ISO80369シリーズ)導入促進や、医療機器の添付文書の電子化など、安全への取り組みを行っていく」と語った。
④の国際展開の推進では「会員企業にとってグローバル展開は最重要課題であり、業界としても後押しをしていきたい」とした。
⑤のコンプライアンスの徹底では「コンプライアンスの強化はグローバル展開する上で今や必須事項になっている。企業倫理やコンプライアンスに関する会員企業への啓発、周知徹底を図っていきたい」と説いた。
最後に、「世界的に高齢化が進展する中、われわれ医療機器産業への期待と責任はますます大きくなっている。優れた医療機器の開発を通じて、世界の医療の質向上と、効率化に貢献するとともに、自然災害への対応力も高め、安定供給を確保して社会的責任を果たしていきたい」と決意を新たにした。
日本医療機器テクノロジー協会「役員」
●会 長
三村 孝仁(テルモ)
●副 会 長
増田 利明(ニプロ)
湯川 一平(朝日インテック)
住吉 修吾(旭化成メディカル)
阿部 信宏(オリンパス)
●専務理事
三澤 裕(日本医療機器テクノロジー協会)
●理 事
長崎 裕希(エドワーズライフサイエンス)
木村 雅昭(カネカ)
齊野 猛司(川澄化学工業)
粟根 康浩(ジェイ・エム・エス)
小林 孝(住友ベークライト)
佐々木 力(スリーエムジャパン)
佐藤 弘人(泉工医科工業)
仲佐 昭彦(塚田メディカル・リサーチ)
中川 誠(帝人ファーマ)
小林 裕史(東レ)
加納 章(トップ)
藤井章太郎(日機装)
佐伯 広幸(日本ストライカー)
長瀬 信弥(日本ベクトン・ディッキンソン)
熊野 恵造(日本メドトロニック)
高橋 浩(八光)
藤原 武志(ビー・ブラウンエースクラップ)
●監 事
馬場 範門(ボストン・サイエンティフィックジャパン)
樋口 幸一(樋口公認会計士事務所)
佐藤 一成(東レ・メディカル)