新会長に松本副会長が昇格【医機連】
「記者会見」で事業方針など発表

日本医療機器産業連合会(医機連)は、任期満了にともなう役員改選を行い、渡部眞也会長が副会長に退き、新会長に松本謙一副会長が昇格するトップ人事を決定した。これを発表するため医機連では6月11日㈫の午後、東京・大手町のKKRホテル東京で「記者会見」を開き、松本新会長らが、新役員体制と今後の事業方針などを発表した。
『調整型』会長として全力で取り組む
会見で松本会長は「医機連の会長ということで大変、身が引き締まる思いです」と第一声。医機連会長を引き受けたいきさつにふれては「少し前、突然、渡部前会長ほか関係筋の方々から、医機連の次期会長への就任を打診された。医機連は旧・日医機協として発足して今年で35年になるが、発足時には岩井初代会長の露払いとして、微力ながら議員会館や関係諸官庁を回ったことや、平成7年からは第3代会長を務めた経緯もあり、即座に(会長就任を)お断りしたが、その後も再三にわたる諸般の事情を説明され、意には反するもお引き受けすることとした」との心情を明かした。
さらに、書道家で哲学的詩人の相田みつを氏の名句『やらないの やれないの どっちかな』を引用し、「浅学菲才のわが身ゆえ、この激動の時代に自身満々とは決して申しませんが、『やれないの』と問われると、『ではやってみよか』という気持ちになり、お引き受けした。わが人生訓である〝自然体〟で、21団体・4300社のこの巨大な団体の僕(しもべ)として〝調整型〟会長として全力を尽くしたい」と抱負を述べた。
国際展開を充実、強化
バランスを大切に各種活動へ
医機連の第3代会長当時(1995年)と現在を比較して「24年前の医療機器の生産高は約7500億円だったが、現在は約3兆円弱に成長している。また、昨今ではソサエティ5・0や、5G、AI、IoTなど、当時にはなかった表現や技術が出てきている。AIひとつ取っても、あくまでも膨大なデータから答えを導き出すとすれば、その答えをいかに活用するかは人間の役割りであるし、また、それによって何らかの重大なミスが発生したら、その責任は人間が負うことになる。AIの時代になればなるほど、人間が必要となる。そこから考えると、今の世の中はバランスが非常に大事な時代になっている」と語った。
今後の医療の方向性に言及しては「人生100年時代が説かれている昨今だが、メンタルな心理的な意味での健康がないがしろになっているような気もする。例えば医療技術が進歩し、人工呼吸器や透析装置などは軽量・小型化され、ウェアラブルのような形になった時、痴呆症的な人にもそれを装着したとして、その人は本当に幸せなのだろうか、ということも考える必要があるのではないか。医療、介護はハードウェアとソフトウェアだけでなく、メンタルなことも含め、総合的に取り組んでいく、まさにバランスの時代ではないかと思う」と述べた。
国際展開に関しては「欧米向けの最新鋭の医療機器だけでなく、新興国向けのリバースイノベーションのことも考えて国際展開していくことも大事だ。また、国際的にも医療費が増加しており、それに対応して、例えば医療機器の買い替え年数を延ばし、長く使えるようにしていく。それにはインターネットを活用したリモートメンテナンスを充実させていく必要もあるだろう。その一方で今後のネットの活用にはコンプライアンスの問題も出てくるのではないか。ネットの問題だけでなく、ある一方が発展すれば、その一方で気を付けなければならないことが出てくる。そういったバランスも考えながら、事業を展開していきたい」とした。
日本医療機器産業連合会「第19期役員」
●会 長
松本 謙一(日本医療機器工業会、サクラグローバルホールディング)
●副 会 長
新延 晶雄(日本画像医療システム工業会、富士フイルムメディカル)
森 清一(日本医療機器販売業協会、エムシー)
福田 修一(電子情報技術産業協会、フクダ電子)
三村 孝仁(日本医療機器テクノロジー協会、テルモ)
渡部 眞也(日立製作所)
●専務理事
石井 信芳(日本医療機器産業連合会)
●常任理事
小澤 素生(日本眼科医療機器協会、ニデック)
森田 晴夫(日本歯科商工協会、モリタ)
久芳 明(日立製作所)
中島 孝夫(日本医療機器協会、秋山製作所)
山本 富造(日本ホームへルス機器協会、山本化学工業)
●理 事
阿部 信宏(日本医用光学機器工業会、オリンパス)
鈴木 輝重(日本医療機器ネットワーク協会、アルケア)
白井大治郎(日本在宅医療福祉協会、フクダ電子)
鈴木 信雄(日本分析機器工業会、日立ハイテクノロジーズ)
成沢 良幸(日本補聴器工業会、リオン)
佐藤 誠(日本補聴器販売店協会、ニイガタエイド)
小野 徳哉(日本臨床検査薬協会、日水製薬)
江嶋 敦(日本医療用縫合糸協会、ホギメディカル)
髙橋 紳哉(日本衛生材料工業連合会)
奥田 宏(日本理学療法機器工業会、オージー技研)
●監 事
浦壁 昌広(日本コンタクトレンズ協会、シード)
久米 孝之(日本コンドーム工業会、オカモト)
樋口 幸一(公認会計士・税理士)