人事・移転・訃報

日本医療機器産業連合会(医機連)中尾浩治会長が退任、新会長に渡部眞也氏

日本医療機器産業連合会(医機連)は中尾浩治会長が退任し、新会長に渡部眞也氏(日立製作所常務)が就任する第18期役員体制(別掲参照)を発足させた。これにともない渡部会長は6月13日(火)午後、東京・大手町のKKRホテル東京で「記者会見」を開き、会長就任の抱負や、今後の医機連の活動方針などを発表した。

会見で渡部会長は会長就任にあたり『ソサエティー5・0を支える医療機器産業をめざして』をテーマに掲げ、各種事業に取り組んでいくことを表明した。ソサエティー5・0は科学技術政策の基本計画の1つで、これについて渡部会長は「政府ではソサエティー5・0を『狩猟』、『農耕』、『産業』、『情報』に続く新たな時代と位置付け、デジタル技術を活用して、自立的で個性豊かな社会、新産業の創出に向けた取り組みを進めている。医療に携わる方からすると少し違う感覚かもしれないが、健康、医療、介護も大きな役割を占めており、これを医療機器産業という観点からしっかり支えていきたい。医機連は1984年の創立以来、30年以上の歴史を持ち、医療機器産業の中で非常に大きな役割を果たしてきたが、これからはソサエティー5・0を支える新たな役割を果たしていきたい」と抱負を述べた。

基盤整備や政策提言活動を充実強化

これを実現するための3つの施策として、(1)成長産業としての基盤整備、(2)政策提言とステークホルダー(利害関係者)との連携促進、(3)信頼される産業団体--の3点を挙げ、具体的な活動内容を説明した。

(1)の成長産業としての基盤整備に関しては「医療関連分野は成長産業に位置づけられ、医療機器産業においても業界各社は産業の発展に向け努力をしており、そのための基盤作りとして、医工連携や人材育成、知財、標準規格、認証基準--などの整備に取り組んでいく。医療機器産業の国内市場規模2・8兆円のうち、業界トップ10社の売上で市場規模の70%を占めている。業界にはイノベーションを常に追求しているトップ10社と、その他の約4300社が業界の裾野を広げ医療を支えている、という2つの側面がある。その2つの観点を医機連がまとめて前進していくことが大事だ」と語った。

また、グローバル化については「日本医療の世界への発信などグローバル化が一層、重要になってきている。これまで医機連では欧米やシンガポール、韓国、台湾など、海外の産業団体との連携(覚書締結)を進めてきた。これら活動を含め、日本企業がグローバルに活躍できる環境の整備に取り組んでいく」とした。

(2)の政策提言とステークホルダーとの連携促進に関しては「政策提言力の強化は医機連の重要な役割の1つ。健康、医療、介護が大きく変わろうとしている中で、政策や制度面などで新しい方向性が出てくる。産業団体として行政に対し適切でタイムリーに対応を進め、提言していくことが大事だ。また、医療現場やアカデミア、地域、関連産業など多くのステークホルダーとの連携を強化するとともに、国民やマスコミへの周知活動も行い、プレゼンスの向上に努めていく」と表明した。

(3)の信頼される産業団体では「医療の安全安心への貢献を最優先に考え取り組んでいきたい。また、薬機法や個人情報保護法、臨床研究法などを遵守し、社会から信頼される産業であり続けることが重要となる。さらに、新しい側面としてはサイバーセキュリティ対応や、環境への配慮も非常に大事なテーマとして取り組んでいきたい」との方向性を示した。

最後に、渡部会長は「医機連は連合会としてのトータルパワーを発揮し、医療の進歩と医療機器産業の健全な発展に努めていく。また、正会員21団体のそれぞれの活動や特性、考え方を踏まえ、しっかりとサポートしていきたい」と述べ、会見を終えた。