開発途上国向けに結核迅速診断へ【富士フイルム】
4億2000万円の追加助成決定
富士フイルム(社長=助野健児氏、東京都港区)は現在、開発中の開発途上国向け、結核の高感度・迅速診断キットの開発に関して、グローバルヘルス技術振興基金から、新たに4億2000万円の助成を受けることが決定した。
これを受け、富士フイルムと共同開発パートナーのスイスの非営利組織FINDは、世界保健機関(WHO)の早期推奨取得に向けて、CEマーク(欧州整合規格)の取得と開発途上国での臨床評価を加速させる。
富士フイルムとFINDは2016年4月にも、グローバルヘルス技術振興基金から2億2000万円の助成金を受領し、尿に排出される結核菌特有の成分「LAM(リポアラビノマンナン)」に着目し、本成分を検出する迅速診断キットの開発を進めてきた。
同キットはカートリッジに検体を滴下するだけで、簡単にその場で結核菌の有無を判定できるため、電力供給などのインフラが安定してない開発途上国での使用に適している。
今年5月に南アフリカで実施した同キットの試作品による臨床評価では、その評価試験で目標としていた診断性能を達成した。これを踏まえ、グローバルヘルス技術振興基金は今後も研究開発を継続するために4億2000万円の追加助成を決定した。
結核は全世界で年間1040万人が罹患し、170万人が死亡する世界三大感染症の1つ。なかでも、アフリカや東南アジアなどの開発途上国の罹患者の割合は全体の86%に達し、その感染力と医療コストの大きさによって開発途上国の社会、経済活動に深刻な影響を与えている。