企業活動

クオリプスに出資【テルモ】

iPS細胞由来心筋シートで事業化

テルモ(社長=佐藤慎次郎氏、東京都渋谷区)は、クオリプス(社長=飯野直子氏、東京都中央区)に出資し、iPS細胞由来心筋シートの事業化に参画した。出資額は約2億円で、株式の持ち分比率は15%。

iPS細胞由来心筋シートはヒトiPS細胞から作製した他家の心筋細胞を主成分とした再生医療用の製品。心臓移植や補助人工心臓装着以外に有効な治療法がない重症心不全の患者の心臓に移植することで、心機能の改善や心不全状態からの回復などの治療効果が期待できる。

テルモではiPS細胞由来心筋シートの開発に関して、日本医療研究開発機構(AMED)の再生医療実現拠点ネットワークプログラムで、大阪大学との機関間連携協定を結び、これまで製造・品質管理方法の設定や安全性データの取得などで協力してきた。

また、テルモは世界初の心不全治療用の再生医療等製品「ハートシート」は販売している。ハートシートは虚血性心疾患による重症心不全の治療を目的とした製品で、患者の脚から採取した骨格筋芽細胞を培養してシート状に調製し、患者の心臓表面に移植して使用する。

ハートシートは自家細胞なので安全性が比較的高い一方で、移植に必要な細胞数を得るための培養に日数を要する。iPS細胞由来心筋シートも培養に日数を要するが、他家の細胞を用いて培養した後に凍結保存ができるので、タイムリーな出荷が可能となる。

日本の循環器疾患の死亡数は、がんに次いで第2位で、高齢化が進む日本にとって、心不全への対応は大きな課題となっている。