機器自動化で課題解決へ【サクラファインテックジャパン】
「がん検診最前線プレスセミナー」開催
病理のトータルソリューションプロバイダーであるサクラファインテックジャパン(社長=恩田和人氏、東京都中央区)は、2月4日㈬午後1時30分から、同社内で「がん診断の最前線プレスセミナー」を開催した。セミナーは『がん検査を取り巻く環境とイノベーションが患者にもたらす価値とは』をテーマに、病院経営や病理検査の現場の課題を取り上げ、病理標本作成作業を効率化する自動化機器を紹介した。
クラス最高のイノベーション提供へ

セミナーの開会にあたり、あいさつした恩田社長は同社のミッション『クラス最高のイノベーション、品質およびお客さまへの配慮を通じて、病理と患者さまのための一体化されたソリューションを提供することで、がん診断を進展させる』に言及し「私は臨床検査技師として病理細胞診に携わった人間として、このミッションの本質、最高のイノベーションとは何か、品質とは何か、顧客を通じた配慮とは何か、ということを社員一同でさらなる徹底をし、医療現場に貢献していきたい」と述べ、全社を挙げて商品、アプリケーション、サービスを強化していく方針を表明した。
このあとセミナーでは、鈴鹿中央総合病院中央検査科の村田哲也医師が「病院経営の問題点」、広島大学病院診療支援部病理検査部門の石田克成部門長が「病理診断の高度化を支える技術」、同社マーケティング本部スマートオートメーション推進部の森誠部長が「関連製品のご紹介」をテーマに講演した。
病理部門の重要性拡大
自動化で病理業務を効率化

まず、村田医師は「病理医や病理検査技師が患者の前に現れることはないが、患者の治療方針や予後推定に関わる一番大切な部分の作業を担っている。コンパニオン診断や遺伝子診断など、病理部門の重要性は今後も高まると想定される」と病理医、病理検査技師の重要性を強調した。
公立病院の80%以上が赤字である原因にふれては、▽コロナ補助金の減少~廃止▽職員給与の上昇▽医療材料費の高騰▽診療報酬制度が急激な物価高に追いついてない▽人口減少――などを挙げ、解説した。
医療機関で病理部門は赤字部門と認識されていることに言及しては「病理解剖(剖検)を行う場合、これは亡くなった方に行うため診療報酬に含まれず、病院側の持ち出しになる。また院内の内視鏡医や内科医が病理医に病理診断を依頼するが、その病理診断料は内視鏡医や内科医に入る仕組みになっている。これは病理診断を行う病理医としては不合理だと感じている。病理検査室の収益は病理診断管理加算だけで、しかも剖検を行うと赤字になるため、病理部門は赤字と認識されていることが多く、病理部門への投資(人員・機器)は消極的なっている」と病理部門の現状を報告した。
病理部門への投資が心もとない状態であることを踏まえ「病理検査の自動化などによる人員削減など病理部門の経営努力がより一層必要になってくる。自動化により目に見えた増収は見込めないかもしれないが、自動化することで人員の固定費を減らすことができ、効率化により人員の負担も軽減できる」と自動化のメリットを訴えた。
技師の過労勤務が減少
研究活動増やし病理技術の発展へ

次いで、石田部門長は増加する病理検査業務への対策として「手作業で行っていた病理検査の包埋作業をフルオートでやることで、技師2人の1日あたりの作業時間を1.5時間減らすことができた。その時間を技師らは他の仕事にシフトでき作業効率が向上した。医師の働き方改革により医師業務のタスクシフトに取り組んでいるが、医師業務を他の医療職種にシフトするだけでなく、機械にシフトすることも考えていきたい」と述べた。
広島大学病院病理検査部門で2021年から取り組んでいる病理検査の自動化による利点としては「技師の超過勤務が年々減ってきた。20年の技師1人あたりの時間外勤務時間は月平均で18時間だったが、自動化により23年には6.2時間(マイナス11.8時間)まで減少した。これを技師の平均時給から試算して人件費に換算すると超過勤務の人件費は年間305万円削減できた」と説明した。
そのほかの病理検査の自動化による効果に関しては「本来、病理医は通常業務以外に自身の研究や学会発表など、学術活動を行う使命があり、それにより医療に貢献していくべきだと考えている。その点では超過勤務が減ったことで積極的に学術活動を行うことができ、病理技術の発展に取り組んでいける」とした。
今後の病理検査の在り方としては「医療の高度化や個別化医療の進展には病理検査は欠かせない。特にがんゲノムやコンパニオン診断は病理検査がないとできない。広島県では現在、60歳以上の割合が23%だが、今後増加する見込みで、それにともない検体数の増加が予測されている。これに対応し病理検査業務の自動化は不可欠で、それが医療全体の質の向上につながる」と呼びかけた。
最後に、プレスセミナーでは森部長が昨年11月に国内発売した全自動包埋装置「ティシュー・テック・オートテックa120」を紹介。包埋作業を自動化することで1時間あたり最大120ブロックを作製することが可能なほか、カセット周りに付着したパラフィンを落とす「バラ取り」作業も不要となる――その特徴を説明した。