企業活動

がん診断でプレスセミナー【サクラファインテックジャパン】

「医療DXとデジタルパソロジー」テーマに

プレスセミナーで講演する順天堂大学の林准教授

病理のトータルソリューションを提供するサクラファインテックジャパン(社長=恩田和人氏、東京都中央区)は、2月4日㈫午後1時30分から、同社内で「プレスセミナー」を開催した。セミナーでは順天堂大学医学部人体病理病態学講座の林大久生准教授が『がん診断の最前線医療DXとデジタルパソロジー~がんの遠隔診断への可能性~』をテーマに講演した。

プレスセミナーの冒頭、あいさつした同社マーケティング本部の桜井恵子本部長は同社のミッションについて「われわれは病理診断に特化して、クラス最高のイノベーション、品質およびお客さまへの配慮を通じて、病理と患者さまの一体化されたソリューション(商品、アプリケーション、サービス)を提供することで、がん診断を進展させ、がん診断に貢献していきたい」と説明した。

これを踏まえ「一体化したソリューションの提供により、病理の全自動化を成し遂げる最初の会社になりたいと考えている。病理の標本作製は非常に長い工程がかかるため、早期に確実な診断を行うためにも病理の標準化と自動化が大切だと考えている。がん診断は基本となる病理標本作製をしっかり行うことで、その先の診断治療につなげていきたい」と表明した。

このあと、林准教授は病理診断を取り巻く日本や海外のデジタルパソロジーやがんゲノム医療などのトレンドを解説した。その中でオンコマインDⅹTT検査の成功率の推移について「2019年にDNAで80.8%、RNAで83.8%だったが、2023年にはDNAで98.9%、RNAで96.5%になり、検査成功率は全国的に上昇している。また、オンコマインDⅹTT検査の判定不能率の変化(核酸品質の変化)のうち、RNAの判定不能については組織サイズの大きいものほど、判定不能となる割合が高いことが確認された」と報告した。

デジタル化で時間とコストが低減

さらに、林准教授は臨床現場における病理診断のデジタル化に関する順天堂大学医学部付属病院での取り組みを紹介し「デジタルパソロジー(DP)の導入により、診断が迅速化しほか、順天堂グループの各病院間を病理医が移動することなくなり、時間とコストが低減した」と病理診断のデジタル化の有効性を強調した。

今後の病理診断のデジタル化の方向性に言及しては「HE(ヘマトキシン・エオジン)染色法によるHE診断の重要性は変わらないものの、バイオマーカー診断の重要性は増してくる。デジタルパソロジー導入により、トラブルなくガラスフリーで病理診断が可能となった。今後は遠隔診断を利用した専門性の高い病理診断を実現する体制の構築が求められてくる」との動向を説いた。

このあと、プレスセミナーでは同社のマーケティング本部SMART Automation推進部の森誠部長が関連製品として同社製の『ティシュー・テックエクスプレスx120』と『ティシュー・テックオートテックa120』の2機種を紹介した。

プレスセミナー終了後は同社の病理標本作製のウェットラボ「さくらぼ」に移動し、デジタルパソロジーに求められる病理標本作製の自動化機器が実際に標本を作製する工程を見学した。