全米50州の病院に医療機器を販売へ【ニチオン】
米国医療機器販売連合に加盟
ニチオン(社長=本田宏志氏、千葉県船橋市)は、11月1日㈬午後3時から、東京・本郷の医科器械会館で「記者会見」を開き、米国医療機器販売連合(ASD=Alliance・of・Surgical・Distributors)に日本の総代理メンバーとして加盟したことを発表した。ASDは医療機器販売会社9社で構成され、全米50州の病院に世界100社以上の医療機器製造企業の製品を販売している。ニチオンはASDに加盟したことで、ASDの取り扱い製品の日本での販売第一優先権を得たほか、ニチオンは自社製品を含む日本の医療機器製造企業の製品を、ASDを通して全米での販売とサポートする業務を開始する。
ニチオンはASDが扱う製品の日本での販売第一弾として、11月4日から、米国シグナス・メディカル社(コネチカット州)の内視鏡乾燥機「エア・タイム」と、内視鏡1次洗浄用酵素系洗剤キット「ファースト・ステップ」の2製品(詳細は下記参照)の販売を開始した。
また、ASDを通して全米で販売するニチオン製品に関しては、中央材料室向け「RO水生成装置」を計画している。RO水はRO膜(逆浸透膜)フィルターを用いて不純物を除去した水で、医療器具の再生処理に使用することでスケール付着などを防止する。
RO水は主に▽ウォッシャーディスインフェクターの最終すすぎ▽超音波洗浄器の最終すすぎ▽オートクレーブのピュア蒸気供給▽滅菌コンテナの仕上げ洗い▽ロボット手術器具の再生処理すすぎ――などに使用される。
ニチオンのRO水生成装置は除去率95%以上の高性能を誇り、小型化により省スペースでの設置が可能。ボタンを押すだけのシンプル操作で、価格も大型の従来製品に比べ低価格を実現している。
3年後に米市場で売上1億円めざす
会見でニチオンの本田隆治取締役最高営業責任者は、米国市場でのRO水生成装置の販売にあたり「米国でのRO水生成装置の上市を皮切りに、来年7月には第2弾製品の投入を計画している。今後も色々な製品を米国市場に投入していき、3年後には米国市場で売上高1億円を目指す」との方針を語った。
一方、ニチオンでは日本の医療機器製造企業から、米国市場で販売したい製品を募集し、ASDを通じて販売していく。具体的には製造企業からの応募があった場合、ニチオンはその輸出希望製品をASDに紹介する。これを受け、ASDは市場調査を行い、販売できると判断すれば、ASDがFDA(米国食品医薬品局)の申請をサポート。申請取得中にニチオンがASD側にオンラインで製品トレーニングなど販売への支援を行う。申請取得後、ASDの医療機器販売会社が米国市場で販売を開始する。
ASDが米国市場で求めている製品は、既存の製品と比較して低コスト、または独自の技術を有する製品。泌尿器科や腹腔鏡手術、ロボット手術、耳鼻咽喉科、血管外科、整形外科、脳神経外科などすべての外科専門分野に対応し、主に急性期手術室、中央材料室、内視鏡センター、カテーテル室で使われる製品。メーカーが在庫を抱えている製品など。
アジア医療機器販売連合の設立へ
今後の目標に関して本田最高営業責任者は「ニチオンではアジアに米国同様のアジア医療機器販売連合の設立を目指している。現在、台湾とベトナムの医療機器卸売企業と合意に至っており、他のアジア諸国の企業にも呼びかけていく。米国とアジアの次は欧州にも同連合を拡げ、世界医療機器販売連合の設立を目標にしている。最終的には世界各国の医療機器製造企業が当連合に任せれば、一気に世界市場での販売が可能になるビジネスモデルを構築していきたい」と発表した。
『内視鏡乾燥機』を発売
内視鏡1次洗浄キットも投入

ニチオンが国内販売する内視鏡乾燥機「エア・タイム」は内視鏡鉗子チャンネル内を適切に乾燥し、感染リスクを軽減させる。従来の乾燥保管庫は高額で場所をとるが、エア・タイムは小型でスペースの限られた場所での乾燥が可能となる。
1台で2本の内視鏡チャンネルの乾燥が可能で、独立したポンプとタイマーで個別に乾燥できる。内視鏡管内に送気されるエアーは、HEPAフィルターを通して0.01ミクロンまで濾過される。
使用方法はエア・タイム本体にホースを接続→内視鏡にアダプターを接続→アダプターとホース(本体側)を接続→本体の電源を入れ設定後に乾燥が開始される。
一方、内視鏡1次洗浄用酵素系洗剤キット「ファースト・ステップ」は、処置後の内視鏡をベッドサイドで素早く1次洗浄できる内視鏡ベッドサイドキット。洗浄プロセスを簡素化し、チャンネル内のバイオバーデンの乾燥と固着化を防ぐために必要な消耗品をキットにした。

使用方法はパウチ上部の開け口からパッケージを開封→パウチ裏側の充填ラインまで水道水を500㍉㍑注入→パウチ内の洗浄パッドを押して、染み込んだ酵素洗剤を出し水と混ぜ合わせ、洗浄パッドを使用し挿入チューブを拭く→内視鏡の先端をパウチ内に入れ、吸引/生検チャンネルから洗浄液を吸引する→汚れたスコープを密閉容器に入れて再生処理エリアに搬送する。