「第15回サクラ病理技術賞授賞式」【サクラファインテックジャパン】
奨励賞を1名、新人賞を1名が受賞
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病理検査機器・器材のトータルサプライヤーであるサクラファインテックジャパン(社長兼CEO=石塚悟氏、東京都中央区)は、7月29日㈯にベルサール東京日本橋(東京都中央区)で「第15回サクラ病理技術賞授賞式」を開催した。授賞式はコロナ禍の影響で2020年からオンラインでの開催となっていたが、今回4年ぶりのリアル開催となり、奨励賞を1名、新人賞を1名が受賞した。
サクラ病理技術賞は同社が2008年に創設した褒賞制度。病理学的検査・技術に関するさまざまな活動を支援するため、病理技術者やその団体、研究者を対象に、学術研究のみならず地域活動や後進育成など幅広い活動の中から、特に優れた成果を挙げた個人や団体を表彰している。
今回、奨励賞には子宮頸部上皮内病変の分子生物学的バイオマーカーの探索、病理検査技術の精度管理と後進育成が評価され、静岡県立総合病院検査技術・臨床工学室病理検査室の坂根潤一氏が受賞した。
新人賞には細胞診標本のデジタル画像の取得方法の考案と機械学習による遺伝子変異予測モデルの構築に関する研究が評価され、有明病院臨床病理センター病理部の石井脩平氏が受賞した。
授賞式であいさつした石塚社長は、3年間続いたコロナ禍がサクラ病理技術賞に与えた影響に言及し「コロナ感染拡大まではリアル開催していた授賞式は、コロナの感染拡大が始まって以降、第12回は3拠点を結んでのオンライン開催、その後の13回、14回はオンラインのみでの開催となった。今回は感染対策を図りながら4年ぶりに対面でのリアル開催とさせていただいた。やはり皆さまの笑顔とともに授賞式が開催できることをうれしく思う」と述べ、参集の各位に感謝の意を表明した。
受賞者に対しては「本日、サクラ病理技術賞を授賞された方々にお祝い申し上げる。これまで授賞された40名、3団体に、坂根様、石井様のお2人が加わることになった」と祝福した。
病理診断の重要性は一層増加へ
病理診断分野を取り巻く時代背景にふれては「ゲノム診療、DX、そしてAIと医療が目まぐるしく進化を遂げていく中、病理診断はますます重要性が増している。そして、病理診断を支える病理標本作製技術もより高度な要件が求められている。基本的な技術の伝承、新しい技術への取り組み、そして標準化など重要な仕事を担う病理検査技師、技術者にはより一層の活躍、飛躍が求められている」と説明した。
これを踏まえ、サクラ病理技術賞の意義について「私たち装置メーカーは標本作製の自動化を進めていく立場にある。しかし機械は機械自身で進歩はしない。それを使う技師の方々の技術の進展があって初めて機械も進歩する。そういう意味では皆さま方と当社は自動車の両輪のような関係かもしれません。サクラ病理技術賞はそれらの課題に取り組む皆さま方のモチベーションの一助となることを祈念している。今後20年、30年とサクラ病理技術賞が病理技術の発展を支える皆さまとともに歩んでいけたらと思う」と未来を見据え、あいさつに代えた。
引き続き、来賓を代表して、日本臨床衛生検査技師会の宮島喜文会長、日本病理学会の小田義直理事長、日本臨床細胞学会細胞検査士会の阿部仁会長がビデオメッセージで祝辞を贈ったあと、選考委員会の松野吉宏委員長(北海道大学病院病理部・病理診断科教授)が選考総評を述べ、受賞者に記念のオーナメントを授与した。これを受けて、受賞者2氏による記念プレゼンテーションが行われ、それぞれの取り組みについて発表した。
医療DXも最後は人間ありきに
最後に、閉会のあいさつに立ったサクラグローバルホールディングの松本謙一会長は「先日、米国ロサンゼルスの550床ほどの病院を訪問した際、デイサージュリーセンターが年率6%の比率で増えている、との話しを聞いた。また、がんのWeb診断などテレパソロジーが今までとは違う形で進化している、とのことだった。どこの国でも医療DXがどんどん進んでいくが、私どもが作っている装置を活かして医療DXに貢献していただきたい。しかし、テクノロジーがどんなに進歩しても最後は人間ありき、だと思う」と語った。
なお、選考委員長の松野委員長は今回で任期満了となり、来年度(第16回)から、牛久哲男氏(東京大学大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学分野教授)が選考委員長に就任する。第16回の公募は2023年10月を予定している。
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サクラセミナーや情報交換会も開催
そのほか、当日は授賞式に先立ち「サクラセミナー」として、同社の恩田和人営業本部長を座長に、病理情報システムグループの芳賀拓也リーダー、第2営業グループの高木俊リーダー、第3営業グループの尾上隆サブリーダーによるパネルディスカッションが行われた。日ごろの営業活動と顧客ニーズへの対応について発表した。サクラセミナー終了後には「情報交換会」も開かれ、参加者間で活発な交流を行った。