イタマーメディカルを買収【旭化成】
心臓病患者へのサービスを強化へ
旭化成(社長=小堀秀毅氏、東京都千代田区)の子会社である米ZOLL Medical Corporation(マサチューセッツ州)は、イスラエルの医療機器メーカー・イタマーメディカル社の全ての発行済み普通株式を総額約5億3800万ドル(約592億円)で取得する合意書を締結した。
イタマーメディカル社は、心臓病患者への医療に睡眠時無呼吸症の診断を加えることにフォーカスした医療機器やデジタルヘルスのリーディングカンパニー。
睡眠時無呼吸症は主に閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)と中枢性睡眠時無呼吸症(CSA)に分類される。OSAは気道の物理的な閉塞が原因となるが、CSAは脳内の呼吸中枢が正常に機能しないことが原因で、呼吸障害がおきる。
心血管疾患とOSAおよびCSAとの間には、複雑な相互関係があり、OSAは冠動脈疾患や心不全、脳卒中、心房細動の発症および進行の増加と関連している。一方、チェーン・ストークス呼吸をともなうCSAは、心不全や心房細動の発症を予測し、心不全患者の死亡リスクを予測する因子であることが報告されている。
今回の買収により、ZOLL社は医療機関向け除細動器や自動体外式除細動器(AED)、着用型自動除細動器などの心肺蘇生を中心とした既存事業に加え、心不全や呼吸機能障害など心肺蘇生の周辺領域を取り込むことにより、クリティカルケア事業のさらなる拡大をめざしていく。