米ベランメディカルを買収【オリンパス】
呼吸器領域の治療機器事業を拡大
オリンパス(社長=竹内康雄氏)は、呼吸器インターベンションの米医療機器メーカーであるベラン・メディカル・テクノロジーズ(VMT)の株式100%を取得する契約を締結した。買収金額は3億4000万㌦(約354億円)の見込みで、米子会社で地域統括会社のオリンパス・コーポレーション・アメリカ(OCA)を通じて実施する。
VMT社は2003年8月に設立された呼吸器科関連医療機器の製造・販売企業。米ミズーリ州セントルイスに本社を構え、従業員数は約130人。
オリンパスはVMT社が持つ、細く枝分かれした気管支末梢部への気管支鏡や処置具の挿入を支援する電磁ナビゲーションシステムと、自社の気管支鏡との相乗効果により、呼吸器事業の拡大を図る狙いだ。
さらに、VMT社の経験豊富なセールススタッフを迎え入れることで、呼吸器事業での販売機能を強化し、事業の成長を促進させる考えだ。
オリンパスは経営戦略の1つに『治療機器事業への注力と拡大』を掲げており、今回のVMT社の買収はこの戦略に基づき決定した。治療機器事業は『消化器科』、『泌尿器科』、『呼吸器科』の3つを注力分野としており、その事業展開を加速させるため、治療機器分野のグローバル事業統括機能を米国に配置している。
肺がんは、がんの中でも罹患率・死亡率ともに世界1位の疾患。昨今では低線量CT検査の普及により、気管支末梢領域での病変発見が増えている。それにともない、病変部の組織や細胞を採取し確定診断を行うため、気管支鏡検査が行われる機会が増加すると予測されている。
OCA社のナチョ・アビア社長は「VMT 社の買収は、オリンパスの呼吸器事業における製品ポートフォリオを強化するだけでなく、双方の強みを補完し合うものであり、今後のシナジーによって期待される呼吸器事業のさらなる成長が、治療機器事業の拡大につながるものと確信している」と述べている。