アバノス・メディカルと提携【テルモ】
経腸栄養チューブ追跡装置を販売へ
テルモ(社長=佐藤慎次郎氏、東京都渋谷区)は、米アバノス・メディカル社(ジョージア州)の日本法人であるアバノス・メディカル・ジャパン(社長=尾崎健二氏、神奈川県横浜市)と提携し、同社の栄養チューブ挿入追跡装置「コートラック」の日本での販売権を取得した。7月以降、テルモが医療機関向けに販売する。
口からの食事ができない患者も、なるべく栄養チューブを通して胃や腸で栄養摂取(経腸栄養)をすることが推奨されている。特に術後や重症の患者は回復促進のため、早期に消化管での栄養摂取が求められている。
しかし、チューブが誤って気管に入ってしまった状態で流動食を注入して、呼吸困難に陥り医療事故が発生するケースもあることから、現在はチューブを留置した直後のX線撮影や、流動食を注入する前の内容物吸引などで、チューブ先端の位置を確認している。
コートラックは栄養チューブの先端をリアルタイムで追跡できる日本国内唯一の機器となる。専用栄養チューブの先端から発生する磁気を検出し、その位置情報を連続的にモニターに表示することで栄養チューブの挿入状態を疑似的に可視化する。チューブの挿入から、留置までの先端追跡をしやすくすることで、安全なチューブ留置を補助する。
2020年4月の診療報酬改定では、集中治療室入室後の早期に経腸栄養を開始することを後押しする制度が新設されるなど、重症患者における栄養管理の重要性に注目が集まっている。
テルモでは輸液(点滴)チューブ・輸液剤などの輸液関連製品、粘度可変型流動食や超高濃度栄養食などの栄養に関する製品を幅広く展開。この製品群にコートラックを加えることで、医療安全と術後の早期回復という医療の質向上に貢献していく。