【秋の褒章】植竹強氏「藍綬褒章」を受章
地域産業発展などへの貢献で
政府は2017年秋の褒章受章者として775人と22団体を発表した。今回、医療機器業界からは日本医療機器工業会の植竹強副理事長(ケイセイ医科工業会長)が薬事関係の功績で『藍綬褒章』を受章した。植竹氏の功績は次の通り。
【植竹強氏の功績】
氏は昭和39年10月にケイセイ医科工業を設立以来、形成外科学の大学・病院の専門家に師事し、共同研究を重ね、数多くの形成外科用手術機器を開発し、国民医療の向上に貢献した。
特に、東京警察病院の大森清一博士の指導のもと、まだ確立されていなかった形成外科専用の外科用器具・機器の改良を重ね、数々の医療機器を開発した。その中でも、分層植皮術における遊離皮弁の生着(顕微鏡下で行うマイクロサージャリー)の成功は世界的に有名で、これに用いる医療器具・器械は現在、1万7000種を超えるほどに成長している。
一方、日本医療機器工業会においては、平成10年に監事、平成12年に理事、平成18年に副理事長に就任した。工業会や業界の発展に向け、政策の策定や組織改革・運営に、強いリーダーシップで積極的に取り組み、事業活動の活性化に大きく寄与している。
その間、平成21年12月に閣議決定した新成長戦略の中で、健康大国戦略として「医療機器の開発実用化」が掲げられた。翌22年には経済産業省が「課題解決型医療機器等開発事業」の推進を発表。医療現場で課題解決を実現する医療機器の開発・改良を、高度なものづくり技術を有する中小企業を活用して促進する方策が打ち出された。
そんな中、東北経済産業省と東北6県の自治体と連携しながら様々な活動を行っているインテリジェントコスモス研究機構が、自動車や電機、鉄鋼など、日本の主要産業に部品供給してきた東北地域産業の衰退を憂慮し、東北地域ものづくり企業の医療機器産業への新規参入を支援するため、同工業会に協力を求めてきた。
これを受け、植竹氏は持ち前の行動力とリーダーシップを発揮し、平成22年6月から翌23年10月までの期間で東北6県73社のものづくり企業を訪問。技術分野別評価を行うヒヤリングや、医療機器産業参入へのポテンシャル評価、アドバイスを行い、企業別要素技術評価を実施した。
その結果、それらの企業の中で、医療機器として製品化されたものや、医療機器の周辺機器、福祉機器として製品化されたものが数多くある。これは植竹氏が地域産業発展に情熱を燃やしてきた大きな成果である。
また、日本医療機器協会でも理事、副理事長を歴任。PL法の対策ガイドブックを作成し、医療機器販売業者をはじめ、広く業界で利用され、PL法の周知と事故防止に貢献した。そのほか、日本医療機器学会でも評議員、理事として、医療機器の進歩、発展、技術の向上に努めた。
東京都出身、80歳。