2024年JIRA年頭所感 【一般社団法人日本画像医療システム工業会(JIRA) 会長・山本章雄】
2024年の年頭にあたり謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
2023年を振り返りますと国際情勢の更なる緊迫化、インフレ基調による物価上昇、異常気象による自然災害等、世界は歴史的な転換点にいることを実感する1年でした。
わたしたちを取り巻く医療関連環境では、コロナ禍でデジタル化の遅れが顕在化し、政府としても医療DX令和ビジョン2030のもと、医療DXの加速に取り組んでおります。
そうした中、AI/人工知能技術が急速な勢いで発展しており、医療機器業界としても大変期待しているところです。一方では、AI/人工知能への規制の在り方も世界中で検討が進められています。
わたしは昨年、厚生労働省が開催する「今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」に参加させていただきました。その会議においても、10年先の医療を考えると、AI/人工知能を用いた医療というのが当たり前の社会が大前提で、新しい技術をどう使っていくのか、そのためにはどういったルールを整備すべきであるのかといったことが多く議論されました。
わたしもいわゆるELSIと言われる法的・倫理的・社会的課題への対応やルール整備が必要と考えています。ルール整備にあたっては産官学、そして患者が集まり、それぞれの立場から多様な知恵を持ち寄ることが重要です。JIRAはこれまでも委員の皆様が、それぞれの専門分野でルール整備に貢献し、その結果として国際競争力を有する画像診断システム産業の発展につながっているものと思います。
今年は医療・介護・障害福祉のトリプル改定、改正医療法の施行による医師の働き方改革や改正次世代医療基盤法の施行による仮名加工医療情報の利用者側の認定等があります。また、次の薬機法改正や規制と審査の協働化計画、AI/人工知能のIEC規格の整備をはじめ、将来に向けても重要な活動が数多くあります。引き続き、会員各社のJIRA活動へのご参画をよろしくお願いいたします。
新年にあたり、改めて会員の皆様と共有しておきたいことはコンプライアンスの遵守です。医療の一端を担うものとして、より高い倫理観に根差した公正かつ透明性の高い事業活動を実践することが、社会的にも強く要請されています。医療機器業界に対する社会からの信頼を回復し、その期待に応えていくためにも、より一層のコンプライアンスの推進と不祥事の再発防止について、会員各社への周知を推し進めてまいります。
2024年の干支は甲辰となります。甲辰には、「成功という芽が成長していき、姿を整えていく」という意味が込められているそうです。画像医療システム産業は、X線撮影による画像診断装置から始まり、画像のデジタル化を起点としてCT、MRI、核医学等の診断装置、放射線治療装置などのモダリティや、PACS等のシステムで成長し発展してきました。
JIRAは日本放射線機器工業会を前身に1967年に設立し、最近ではIC T、医療機器プログラム、AIといった技術の広がりに伴って毎年新たな企業に入会いただき、2024年1月1日現在で212社の会員企業を擁する工業会に成長しています。今後とも会員企業及び関係各位とともに、画像医療システム産業の発展に取り組んでまいります。会員企業の益々のご発展と皆様方のご健勝とご多幸を祈念して、新年のご挨拶といたします。
(以上)