年頭所感

2023年JIRA年頭所感【一般社団法人 日本画像医療システム工業会(JIRA) 会長・山本 章雄】

山本会長

2023年の年頭にあたり謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

2022年はコロナウイルスによる影響継続とロシアによるウクライナ侵攻、経済面においては世界的なインフレの加速と経済の減速懸念、半導体をはじめとする電子部材の調達困難やコンテナ物流の逼迫などにより、医療機器の安定供給においても非常に厳しい一年となりました。

そうした中、医療機器に関連する大きな政策としましては第2期医療機器基本計画が昨年5月31日に閣議決定されました。その基本方針は「医療機器の研究開発の中心地としての我が国の地位の確立」「革新的な医療機器が世界に先駆けて我が国に上市される魅力的な環境の構築」「国民の必要な医療機器へのアクセシビリティの確保」です。

また、内閣総理大臣を本部長とする医療DX推進本部が立ち上げられ、全国医療情報プラットフォームの創設や電子カルテの標準化など、医療情報を利活用する環境整備の方向性が示されました。収集した保健医療データの利活用により、画像医療システム産業の価値提供をさらに高めていく機会となりますことを期待しております。

さて、2023年は2024年度の診療報酬改定、そしてサイバーセキュリティ対応にむけて重要な1年となります。

診療報酬改定では、医療技術の再評価にあたっては診療ガイドライン等での位置づけ、レジストリ登録の有効性・安全性の実績などを重視する潮流となっており、承認・保険ともにデータの重要性はますます高まっております。私は画像診断支援AIの社会実装にあたっては、データ利活用・予見性・承認の3つの壁があると考えております。データ利活用の壁には国民の理解と国民への価値還元、予見性と承認の壁には安全性を担保したうえで迅速に承認し、その後データ収集を進め有効性を評価していくスピード感が求められていると思います。

サイバーセキュリティ対応では、医療機関におけるサイバー攻撃の被害も頻発しており、医療機器においても、2023年は薬機法によるサイバーセキュリティガイダンスの本格運用の年となります。行政ならびに医療機関、会員各社、そしてJIRAのそれぞれが連携して対策を進め、国民・患者への医療提供が止まることのなきよう取り組みを進めてまいりたいと思います。

また、医療の一端を担うものとして、より高い倫理観に根差した公正かつ透明性の高い事業活動を実践することが、社会的にも強く要請されています。一層のコンプライアンスの推進について、会員各社への周知を推し進めてまいります。

画像医療システム産業は、X線撮影による画像診断装置から始まり、画像のデジタル化を起点としてCT、MRI、核医学等の診断装置、放射線治療装置などのモダリティや、PACS等のシステムで成長し発展してきました。JIRAは日本放射線機器工業会を前身に1967 年に設立し、最近ではICT、医療機器プログラム、AIといった技術の広がりに伴って毎年新たな企業に入会いただき、2023年1月1日現在で213社の会員企業を擁する工業会に成長しています。今後とも会員企業及び関係各位とともに、画像医療システム産業の発展に取り組んでまいります。会員企業の益々のご発展と皆様方のご健勝とご多幸を祈念して、新年のご挨拶といたします。
(以上)