年頭所感 「癸卯(みずのとう)」の年、飛躍、縁起の良い年…【商工組合日本医療機器協会 理事長・中島孝夫】
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謹んで新春のお慶びを申し上げます。
本年も皆様方のご指導、ご協力を賜りたく、何卒、宜しくお願い申し上げます。
本年は、「卯年」ですが、十干が「癸(みずのと)」、十二支が「卯」の年にあたるので、干支は「癸卯(みずのとう)」になります。「癸」は「物事の終わりと始まりを意味し、これまでの努力が花開き、実り始めること」と言われています。
「卯」は「門が開いている様子を連想させることから、冬の門が開き、飛び出る」という意味があるそうです。そのため令和5年は、「癸卯」の意味のとおり、厳しい冬を超えて、卯は跳ねるだけに飛躍する縁起の良い年であって欲しいと願うばかりです。
昨年、最も残念なことは、2月にロシアがウクライナに軍事侵攻したことです。21世紀の今、戦争を起こそうとする国があるのか、と大変驚きました。世界が核軍縮で平和に向かおうとしているのに、核保有国であるロシアが他国へ軍事侵攻したことに大変ショックを覚えました。しかも前月の1月には核拡散防止条約(NPT)が核の保有を認めたアメリカ、フランス、イギリス、中国、ロシアの5か国で核軍縮の推進に向けた共同声明を発表したばかりであり、国際社会が望む「核兵器のない世界へ」は前進できるのだろうかとも思いました。
また、日本は世界で唯一の被爆国であり、絶対に忘れてはいけないことは、第二次世界大戦末期の1945年8月、広島市、長崎市へ原子爆弾が投下されたことです。本年で被爆、終戦から78年目を迎えますが、被爆国である日本より世界が核兵器による破壊の脅威にさらされることのないより平和な未来を創っていくことは可能だという力強いメッセージを発信し続けたいものです。
そして、各国が信頼関係を構築することが出来れば戦争は起きないと考えたいものです。
次に中国との関係です。昨年日中国交正常化50周年を迎えました。中国は日本の最大の貿易相手国であり、重要な経済パートナーであります。一方で国際政治情勢が不透明さを増す中で、日中関係は転換期を迎えつつあると言われています。まずは米国と中国が腹を割って対話することが重要と考えます。日本も次の50年に向けて、更に信頼関係を深め、経済だけでなく、平和外交にも力を注いでもらいたいと思います。日本にとって中国は、歴史上の観点からしても縁の深い国であり、日中関係は良好かつ相互利益のために、理解しあいたいと願うばかりです。
日韓関係は、昨年5月に第20代大統領に尹錫悦(ユンソギョル)氏が就任しました。5年振りの保守政権が発足し、冷えこんだ日本との関係改善に意欲的なので期待したいです。
さて、コロナ禍はまだ続いており、油断はできない状況ですが、当協会は、3年振りに感染対策を十分にし、会員企業の皆様を中心とした賀詞交歓会を開催いたします。
本年もコロナ禍の環境下ではありますが、日医機協は、医薬品医療機器等法をはじめ、会員企業の皆様の業務に係る関係法令の講習会開催などに努めてまいります。具体的には昨年に引き続き協会事業として以下の重点8事業を展開して参ります。
1.各種講演会の開催(Web等を活用)
コロナ禍に於いても、医療機器産業を取り巻く経営環境の変化に対応し、多種多様な情報収集に努め、会員企業にとって有益な情報を引き続き提供します。
平成18年度より実施している「高度管理医療機器販売業等の営業所管理者及び医療機器修理業の責任技術者のための継続的研修」、その他「わかりやすいQMS講習会」、「公正競争規約・透明性ガイドライン講習会」を開催します。「診療報酬講習会」については診療報酬改定年に開催する事といたしました。
昨年も、新型コロナウイルス感染症の影響とWebの利便性を考慮し、大会場での講習会ではなく、Webを活用した講習会を開催しました。本年も、Webを活用した講習会を開催いたします。
講習会につきましては、今後も引き続き工夫し、東京都をはじめ、PMDA、関係官庁にもご協力をお願いしながら、積極的に展開してまいりたいと思います。これらの講習会も長年、医療機器産業を支えてこられた会員企業の皆様方のお役に立てるよう、医薬品医療機器等法をはじめ、法規制にも円滑に対応できますよう、内容を充実させていきたいと考えております。その一つとして「薬機サロン」は、グループディスカッションを取り入れて開催する予定です。
2.医工連携事業の推進
平成25年度より継続して取り組んでいる医工連携では、令和5年度も、全国の各都道府県並びに産業振興機構等と共に連携しながらWeb(カンファレンスパーク)を活用しながら展示・商談会を開催していきます。この本郷展示・商談会も今年で10年目を迎え、製販企業と、ものづくり企業との間で、マッチングの成果も出ております。本年は、この展示・商談会を、当協会が所有する医科器械会館で、十分な感染対策を講じ、実際に開催することができるように検討し、再び、東京・本郷地区に、全国有数の、ものづくり企業が参加できるようにしていきたいと思います。
その意味から、この医療機器産業が集積する文京区の本郷台地を「メディカルヒルズ本郷」と標榜し、継続して当協会の医工連携のキャッチフレーズとして、全国に広げ、さらにマッチングの成果も重ねていきたいと考えています。
3.展示会出展等について
今まで以上に会員企業にとって有益かつ医工連携に特化した展示会を検討した結果、本年度は第31回日本医学会総会2023に出展いたします。
4.関係官庁との連携
関係官庁との連絡会や、公益財団法人医療機器センターへの協力などを通じて、医療機器業界の方向性や課題、医薬品医療機器等法をはじめ法制度の検討に関わり、厚生労働省、経済産業省等の行政機関に対しても積極的に要望・提案を行います。特に医療機器法の制定に向けて前進できればと思います。
5.会員企業間の交流
製造、販売およびサービス業など、業態の枠を越えた企業間の交流に努めるほか、全国の中小企業団体や企業とも協力関係を築いていきます。当協会の伝統となっている会員企業の皆様のための野球大会、ボウリング大会、そしてフットサル等の事業を安全対策を十分にし、福利厚生の一貫として皆様と共に進めていきたいと思います。
6.会員のための医科器械会館の管理・運営
当協会の活動拠点である当会館は、本年も感染対策を講じ、会員企業の皆様が安心して気兼ねなく、自由に立ち寄っていただく場として活用していただき、会議室も安価で提供致しますので、自社の会議室のごとく、ご使用して頂ければ幸いに存じます。これからも快適性と永続性の確保を図り、会員のための使いやすい会館として管理・運営を行って参ります。
7.災害対策・災害救援活動・BCPなどの研究
医療機器団体として大災害に備えた対応を検討します。なお、当協会は、戦前より会員企業のご協力により、災害時には救援物資や義援金を提供するなどの活動を行っている歴史があります。今後も変わらぬ姿勢で参ります。
8.創立110周年祝典
当協会は、一昨年110周年を迎え、本来ならばご来賓の方々をご招待し、会員の皆様と共に盛大な記念式典を開催したいところではありましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により開催するのが大変困難な状況でした。今年は、創立112周年を迎えますが、ご参加される皆様方の安全を第一に考えて、開催に向けて検討していきたいと思います。
記念誌については引き続き、10年刻みで歴史の記録を残し、後世の方々のためにお役に立てるよう、編纂したいと思います。
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以上の8項目を、本年も重点項目として推進していきたいと思いますので、皆様のご指導、ご協力のほど、宜しくお願い申し上げます。
また、昨年に引き続き協会として、医療機器法の早期制定に向けて、少しでも進展があるように声を上げ続けてまいりたいと思います。
最後に、一日でも早く、新型コロナウイルス感染症の収束を願うと共に、全国の医療機器業界団体の皆様、そして、医療機器に関連するものづくり企業の皆様とも交流・連携を深めながら、日本の医療機器業界の発展に、少しでも貢献していきたいと考えております。
皆様のこの1年のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げ、また、当協会へのご指導とご鞭撻を心より、重ねて、お願い申し上げて、新春の挨拶に代えさせていただきます。