医理化硝子業界

九州で「第71回全国大会」開催【日本理化学硝子機器工業会】

理化学硝子加工技術の向上へ

「第71回全国大会」会場の様子

全国の理化学硝子機器専門メーカーで組織する日本理化学硝子機器工業会(会長=中村剛氏、東京都墨田区、NRGK)は、6月11日㈰~12日㈪の日程で、大分県・日田温泉の亀山亭ホテルで「第71回全国大会」を開催した。全国大会には全国から会員ら58名が参集し、各地の理化学硝子業界の景況や、硝子加工技術などについての情報交換を行いながら親睦を深め合った。

同工業会は全国6支部(仙台、東京、名古屋、京都、大阪、中国・九州)で構成。総会も兼ね毎年、開催される全国大会は、その企画・運営を各支部が輪番制で担い、今回は中国・九州支部が担当した。

大分県での開催は〝原点回帰〟の大会に

濵地支部長

第71回全国大会は池田豊治大会副委員長の『開会の辞』を受け、登壇した濵地信大会委員長は、日田温泉に参集した会員らに歓迎のあいさつを述べたあと「コロナウイルス感染症が5類に移行してから初めての全国大会となる。中国・九州支部として1年半前から準備を始め、ようやく今日の日を迎えることができた。大分県での開催は昭和51年の第24回大会以来で、当支部が初めて全国大会を担当した場所でもあり、ある意味〝原点回帰〟の大会でもあると考えている」と語った。

日田市の歴史にふれては「この地は江戸時代初期に徳川幕府の直轄である『天領』となった場所で『天領日田』と呼ばれていた。交通の要所であり、商業や文化の拠点として栄えた場所でもある」と紹介した。このあと、大会日程を説明し、あいさつに代えた。

中村会長

次いで、中村会長は「第71回全国大会に多くの方にご参加いただき嬉しく思っている。コロナ禍で3年あまり活動ができなかったが、その中で昨年、温泉地で第70回記念全国大会を、仙台支部や会員の皆さまのご協力により開催できた。今回は中国・九州支部が担当してくださり、日田温泉での会場設定も大変なことだったと思う」と述べ、全国大会に携わった会員各位に感謝の意を表した。

人材を育て次世代にバトンタッチへ

工業会の発展に向けては「人材を育て、次の世代にバトンを渡していくことが重要で、これが1番の目標であり、目的でもある。先ほどの臨時理事会でも次の世代にバトンを渡すにはどうしたらいいのか、経済面からなのか、技術面からなのか、色々な意見が出され、活発な討議が行われた。今後は年2回の全国理事会で討議を重ね、われわれ工業会の火を絶やさずに、さらに発展させるよう頑張っていきたい」とし、工業会事業への理解と協力を呼びかけた。

ここで、来賓の九州科学機器協会の髙着泰則理事長と、賛助会員のAGCテクノグラスの前納哲也コンシューマ本部グループリーダーが祝辞を述べた。

このあと「第71回通常総会」が行われ、池田大会副委員長が「会員総数70社中、出席35社、委任状提出19社」と大会成立を宣言し、濵地大会委員長を議長に議案の審議に入った。

令和4年度事業報告を竹内信夫専務理事、同決算報告を宮原弘治財務理事、監査報告を中田俊郎監事、令和5年度事業計画を竹内専務理事、同予算を宮原財務理事が、それぞれ報告、説明を行い、各議案とも原案通り承認、可決した。

また、財務理事と監事が1名欠員となっていることから、財務理事に志賀秀吉理事、監事に碇谷康治理事が、それぞれ就任することが承認された。

鵜匠・西尾氏が鵜飼の仕事を解説

講師の西尾氏

総会終了後は「講演会」が2題行われた。まず、日本三大鵜飼の1つとして、日田三隈川で鵜飼をしている鵜匠の西尾和弘氏が「日田の鵜飼について」をテーマに、参加者からの質問に答える形式で講演した。

鵜飼とは鵜を巧みに操って川魚を獲る漁法で、鵜匠と棹差し(船頭)の2人で鵜飼舟に乗り漁を行う。鵜は水鳥の総称で、鵜飼ではウミウが用いられることが多い。鵜の大きさは80~90㌢㍍ほどになる。

西尾氏は「鵜飼の仕事は昭和52年頃までは鵜飼で獲ったアユなどを地域の人に売っていたが、今は川魚が売れなくなり、夜に観光客に鵜飼を見せるだけになっている。かがり火をたくのは、夜に鵜の目が見えなくなるためで、かがり火の明かりで鵜がアユを追う。以前は1人の鵜匠が鵜を8羽以上、飼育していたが、ここ2~3年はコロナ禍の影響で鵜を減らし現在は6羽を飼育している」と鵜匠の仕事について説明した。

また「鵜匠が腰に巻く『腰みの』は現代で言えばカッパ(雨具)だが、その作り手がいなくなっている。鵜匠が使う道具の作り手もそうだが、鵜匠も後継者問題を抱えている。鵜匠は世襲制が多かったが、それも難しい状況で、現在は市を通して鵜飼に興味のある人を募集している」と後継者問題により、伝統を継承する難しさを語った。

欧州硝子団体シンポへの参加を報告

ヨーロッパ視察の報告会が行われた

2題目の講演は会員の中村剛、橋本秀秋、寺田卓、遠藤隆之の4氏が昨年、ヨーロッパを視察旅行し、イギリスとドイツの硝子加工職人団体のシンポジウムに参加した報告会が行われた。

報告会で中村氏がシンポジウムに参加した経緯やイギリス硝子加工職人団体の60周年シンポジウムに参加したエピソードを、遠藤氏がロンドンとパリの視察内容を、寺田氏がドイツのアーノルド社見学とドイツ硝子加工職人団体の50周年シンポジウムに参加した感想を、それぞれ報告した。

最後に、橋本氏が今回のヨーロッパ視察旅行を総括し、世界の硝子加工職人団体のシンポジウムに参加する理由について「シンポジウムは個人的なつながりを確立する最良の方法で、これにより、永続的な経験を残すことができる」と述べ、シンポジウムに参加する5つの利点として、①科学的な硝子吹きの最新トレンドとテクノロジーの発見②職業の最高の影響力者に会う③かけがえのない知識を得る④ネットワークでハイレベルな議論をしアイデアを洗練する⑤新しい場所を訪れて楽しもう――を挙げ、解説した。

中国・九州支部の濵地支部長(左)から中村会長(中央)を通して、次期全国大会を担当する京都支部の中村支部長に大会旗の申し送りが行われた

講演会終了後は、今大会を担当した中国・九州支部の濵地支部長から、次期全国大会(令和6年10月12~13日、京都)を担当する京都支部の中村延一支部長に、大会旗の申し送りが行われた。

夕刻からの懇親会は関谷理化の関谷幸樹社長の〝乾杯〟の発声で開宴し、地元で獲れたアユや郷土料理に舌鼓を打ちながら、和やかな歓談し、親睦を深め合った。

翌日はバス移動で、江戸時代からの街並みが残る豆田町の散策や清酒薫長醸造、いいちこ日田蒸留所の見学、昼食でキリンビール福岡工場のジンギスカンと生ビールを堪能後、福岡空港、博多駅から、それぞれに帰路についた。

「第71回全国大会」の参加者