インタビュー

本社機能を集約し効率的に【東京硝子器械 会長 白井義則氏 インタビュー】

神田から本駒込に本社ビル建て移転

東京硝子器械 会長 白井義則氏

理化学器械器具の総合卸商社、東京硝子器械株式会社(代表取締役社長=白井一夫氏)は、創業以来60余年にわたり、東京・神田に本社事務所・店頭を構え、営業をしてきたが、このほど文京区本駒込に本社ビルを建て、9月に移転し営業を開始した。本社ビルを建築、移転した経緯などを同社の白井義則会長に伺った。

――創業の地・神田から本社を移転した経緯は

「実は2年ほど前に神田に3階建ての本社ビル(敷地面積約50坪)を建て、そこに営業や総務、経理、企画などの各部署が入り営業をしていました。それとは別に店頭や仕入れの部署は近隣で営業をしていました。社屋がいくつかの建物に分散していたため、近隣とはいえ移動時間も積もり積もれば相当なロスになっていました。また、店頭などのビルは老朽化が進み、震災対策も考えなければなりませんでした。そんな折に、神田の本社ビル周辺が大手不動産会社による再開発の話が持ち上がり、神田の本社ビルは建てたばかりで、もったいなかったのですが、分散していた全ての部署が入る本社ビルを建築して移転することを決めました」

――移転先を文京区本駒込に決めた理由は

「候補地はいろいろあったのですが、この場所は高台に位置しますので、大雨による洪水や浸水などの被害が少ないと考えました。また、ここからほど近い本郷には医科器械や理化学器械の業者が軒を連ねており、取引先も多く、馴染み深い土地だったことも選んだ理由の1つです。そのほか、私は生まれが神田ですが、育った町は本駒込です。小学校から大学まで文京区内の学校で学び育ちました。これも何かの縁と思い本駒込への移転を決めました」

部署間の意思疎通がスムーズに

新本社ビル

――新社屋の特徴は

「神田の社屋は分散していたため、効率が悪かったが、新社屋は上下の移動だけなので人の動線が効率化され、部署間の意思疎通が向上しました。神田の社屋に比べスペース的に広くなり、従業員同士のデスクの距離間も広がったので、以前と比べれば職場環境でのストレスが軽減されたのではないかと思います。また、10階建てくらいのビルを建てテナントを入れることもできたが、厳しい業界環境の中、身の丈に合った設備で、堅実に社業を行っていきたいと考えました」

――移転してよかった点は

「神田は土地代も高く、社有車の駐車場代も年間で考えるとかなりのコストになっていました。新社屋には駐車スペースも設けたので、駐車場代のコスト削減にもなりました。また、神田は電車で移動するには便利な場所ですが、車での移動になると、神田周辺は日常的に渋滞が激しく、渋滞を抜けるまでに時間がかかるため、時間的なロスになっていました。その点、本駒込周辺は渋滞も少なく、車での移動が楽になりました」

今後も「商人道」貫き一層飛躍へ

――今後の方向性は

「私の父である先代は創業以来、神田の地にこだわり社業を発展させてきましたが、現在はネット時代ですので、場所にこだわらなくても商売ができる時代になりました。しかし、今後も神田で培ってきたことを土台に、先代からの教えである『働くということは傍(はた)を楽にすること』、『商いとは飽きずにやること』を肝に銘じ『商人道』を貫いていきたい。お陰様で前期の決算は創業以来の『(最高)売上高』を記録しました。今後もさらなる発展に向け、全社を挙げて取り組んでいきたいと思います」

東京硝子器械「新社屋」の概要
▽構造=鉄骨造5階建
▽敷地面積=403・56平方㍍
▽総床面積=896・68平方㍍
▽各階の用途
1階=サービス課(返品・修理の受付、代引き顧客の対応)
2階=仕入課、企画課、商品管理課
3階=社長室、営業部
4階=経営管理部(経理課、総務課、情報システム課)
5階=会長室、倉庫
▽住所=東京都文京区本駒込1―7―16
▽TEL=03―3252―3461(代)