年頭所感

年頭所感【商工組合日本医療機器協会 理事長・今村 清】

◎新しい時代への扉を開く、橋渡しのお正月

今村清理事長
今村清理事長

謹んで新春のお慶びを申し上げます。皆様におかれましては、「亥年」の新年をお迎えになられましたでしょうか。

この新年は、〝平成最後のお正月〟という意味づけもされるでしょうが、私は、「新しい元号への橋渡しのお正月」という新年に相応しく、新しい時代への扉という前向きな表現でとらえたいと思います。

また、この年頭所感も、新年に相応しく明るい話題を中心に述べさせていただきます。

私ども商工組合日本医療機器協会(以下、日医機協と表記)は1911年、明治、大正、昭和、そして平成と、4つの元号をまたいで、時代の荒波を受けながら、会員企業の皆様そして業界の皆様と力を合わせて歩んでまいりました。そして、新しい年号となり、2年後の110周年を皆様と一緒に迎えたいと思います。

◎「東京オリンピック・パラリンピック」などの開催を控えて、思うこと

まず、今年の「ラグビーワールドカップ2019」の開催、そして来年の「2020年東京オリンピック・パラリンピック」、また、2025年の万国博覧会などと、国内での大きな行事が続きます。私の記憶では、1970年の大阪での万国博覧会では、「未来の製品」並びにそのコンセプトなどが紹介されて、いま、実現しているものがたくさんあると思います。例えば、「動く歩道」や「ワイヤレスホン」、「テレビ電話」、「電気自動車」や「電気自転車」、「電波時計」、その他、いわば現在進行形のものに「リニアモーターカー」もあります。

五輪や万博などの行事を通じて、未来構想として発表されるものが、将来、実現可能な医療機器として、たとえば、「人生100年時代における健康寿命延伸への貢献」として、より低侵襲で高齢者に負担の少ないような治療に貢献するような医療機器も、実際の機器として発表されるかもしれません。

◎叡智を結集されての建設的な議論に期待

また、1970年当時との大きな違いは、政府が提唱する「Society5.0」といわれる、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」をめざしていること、また、インターネットなどの環境が整備されて、より多くの情報を収集できること、そして、〝オールジャパン〟での産業育成の取り組みなど、行政庁も組織を超えた横断的な取り組みが見られることだと思います。

昨年の12月には「革新的医療機器創出のための官民対話」が開催され、医療機器業界側からは、日本医療機器産業連合会(医機連)、米国医療機器・IVD工業会(AMDD)、欧州ビジネス協会(EBC)医療機器・IVD委員会の各代表が出席し、また、行政庁からは、厚生労働省、文部科学省、経済産業省、日本医療研究開発機構(AMED)、医薬品医療機器総合機構(PMDA)、そして、アカデミアも参加しての建設的な議論がされたと伺っております。

現在、医療機器産業を取り巻く環境の変化は著しく、イノベーションの進展等により、一企業や一団体の範囲を超えるような課題が多岐に渡っています。まさに、前述の〝オールジャパン〟で、医療機器産業の発展、そして日本の発展に向けて、同じベクトルでの叡智を結集されての建設的な議論は有効だと考えています。

◎今年も医工連携事業に取り組みます

現在の医療機器産業の市場規模は約3兆円といわれ、年々伸び続けています。その医療機器産業では、大企業はもとより、中小企業も企業数では多数の割合を占めています。私ども商工組合日本医療機器協会(以下、日医機協)にも中小企業は多く、それらの会員企業にお役に立ち、かつ、医療機器産業の発展と医療現場のニーズに貢献することをめざして、今年も積極的にさまざまな事業を展開してまいります。

今年も、全国各地区の選りすぐられた中小ものづくり企業と会員企業らにより、日医機協が所有する医科器械会館で展示商談会を行い、商談と交流を通じて、中小企業ならではのアイデアと機動性で、既存製品の改良や新製品開発、そして販路拡大などを目指しています。昨年の6月に「本郷の医工連携記者説明会」を開催し、新製品・開発品についての成果報告会が行われており、その成果は表れはじめています。

また、12月には、初めて北海道の展示商談会を開催し、この平成31年3月までに、全国の1都・1道・2府・22の県にまたがる自治体などとの展示商談会の開催となります。この展示商談会の開催にあたっては、各県並びに市、そして公益産業支援センターや各地区の商工会議所、また、関東経済産業局をはじめとする各地区の経済産業局、医機連、一般社団法人日本医療機器テクノロジー協会、一般社団法人日本医工ものづくりコモンズの後援など、皆様方より多大なご支援を頂きながら開催に漕ぎつけておりますことを、深く御礼申し上げます。

このほか、全国の大学並びに県庁、公益産業支援センターからの依頼を受けて、医療機器開発に向けての「医療機器ニーズ探索交流会」に、当協会の会員企業及び事務局が現地に出向いて、開発に向けて相談を受けて意見交換を行うなど、その活動は全国に拡がっています。

◎地に足をつけた、さまざまな事業展開を

今年の10月には、現在の消費税8%から10%への改定が予定されていますが、この消費税への対応も企業にとっての大きな問題の1つと認識しており、私は、医療機器業界内における、既存の消費税も含めた支払いのあり方についてかねてより言及しております。特に、医工連携ものづくりでは、異業種の新しいビジネスパートナーとの関係を構築するうえでも支払方法を改善すべきとの持論をもっていますので、機会をみて提言をしてまいりたいと思います。

このほか、平成18年度より実施している「医療機器販売業等の営業管理者及び医療機器修理業責任技術者のための継続的研修」の実施、その他、医療機器QMSなど、医薬品医療機器法等の講習会も開催いたします。

講習会は、東京都をはじめ、所管の行政庁にもご協力をお願いしながら、強力に展開してまいりたいと存じます。これらの講習会の開催も、長年、医療機器産業を支えてこられた中小の会員企業が医薬品医療機器法をはじめ、法規制にも円滑に対応できますよう、情報提供として少しでもお役に立ちたいと願っています。そして、臨床研究法をはじめ、企業倫理に係る内容など、会員企業のニーズに応える講習会を検討し実施いたします。

そして、2013年からの連続して参加の「国際モダンホスピタルショウ」にも、今年も参加に向けて検討を行います。当ホスピタルショウは、毎年度、全会員企業にご案内を行い、会員企業が出展して、対外的な情報発信の場としてもすっかり定着しているものです。

また、今年も東京都をはじめ、東京消防庁及び文京区など、各行政機関との災害時の協定に基づいて対応いたします。さらに、日医機協のホームページのさらなる充実をはかる一環として、「会員企業検索機能」を構築し、会員企業の皆様に自社情報の登録をお願いすることとなりました。ぜひとも、会員企業の皆様にご登録をお願いいたします。

このように、会員企業の役に立つサイトはもとより、対外的に日医機協に興味を持っていただくサイトのリニューアルを進めて、すべての会員企業の皆様にとって利用しやすい、今後も「全員参加の」ホームページをめざします。

◎日医機協が「東京都スポーツ推進企業認定制度」での「推進企業」に

もちろん、従来からの協会の伝統でもある会員交流、福利厚生事業も実施いたします。なお、さきにオリンピックに言及しましたが、日医機協の会員企業の皆様のための野球大会、ボウリング、そして、フットサル等の事業(公益財団法人日本サッカー協会のご協力を得て実施)が評価されて、オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部より、日医機協が「東京都スポーツ推進企業認定制度」における、平成30年度の「推進企業」に認定されました。会員企業の多くの皆様のご協力とご参加のもとに認定を受けるに至りました意味で、まさに会員企業の皆様とともに歩む日医機協でありたいと考えています。

◎本年もどうぞよろしくお願い申し上げます

今後も、全国の医療機器業界団体の皆様、全国の医療機器を業とする中小企業の皆様、そして、医療機器に関連するものづくり企業の皆様とも交流・連携を深めながら、日本の医療機器業界の発展、日本の産業界の発展に少しでも貢献したいと考えております。

皆様のこの1年のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げ、また、当協会へのご指導とご鞭撻を心よりお願い申し上げて、新春のご挨拶に代えさせていただきます。