『産業ビジョン2025』今春発表へ ー JIRA
新延会長が「年頭所感発表会」開催
日本画像医療システム工業会(会長=新延晶雄氏、東京都文京区、JIRA)は1月9日㈬午後5時から、東京・大手町のKKRホテル東京で「年頭所感発表会」を開催した。発表会で新延会長は医療への人工知能(AI)活用や、4月に発表する『JIRA産業ビジョン2025』の方向性--などについて説明した。
発表会で新延会長は「JIRAは発足から52年目を迎えた。2020年の東京オリンピック・パラリンピック、25年の大阪万博の開催も決まり、日本の明るい未来を世界に示す絶好の機会となると考えている。医療機器産業界にとっても、日本の質の高い医療と高度な医療システムを全世界にアピールし、新たな発展の機会になるものと期待している」と第一声。
健康・医療分野の課題にふれては「3大疾患(がん、心疾患、脳卒中)に加え、高齢化にともなう生活習慣病や認知症などが増加すると考えられ、早期診断・早期治療や重症化防止が必要となる。また、地域包括ケアや在宅医療などに向けた施策が進められるので、これへの対応も重要と考えている」と課題を挙げ、こうした背景を踏まえ、JIRAとして新たな目標を定め、各種活動を推進していくことを明かした。
画像診断支援でAI活用を加速
画像医療システム産業におけるAIの活用に関しては「昨年、開催された『保健医療分野AI開発加速コンソーシアム』の第1回会議に提出された資料の中に、AIの活用により期待される成果として、画像診断支援や負担軽減、新たな診断方法や治療方法といったキーワードが示され、画像医療システム産業が貢献できる内容となっている。JIRAとしては諸外国に遅れを取ることなく、産官学の連携を深め、関係者が一丸となって、AI開発促進に向けた取り組みを加速させていく」と表明した。
AIについてJIRAとして注力していくテーマに言及しては「近年、ディープラーニングで飛躍的に性能が向上したAI技術の医用画像への適用が期待されており、早期診断・早期治療や、低侵襲医療に貢献し、健康寿命の延伸に寄与するものと考えている。また、AI技術が画像診断レポートの半自動化によるワークフローの改善や、被ばく線量の管理、装置の保守管理--などに活用されることにより、医療現場の効率化や、患者と医療従事者の安全安心へ大きく貢献することが期待される」と説明した。
産業ビジョンの4つの方向性を示す
JIRA産業ビジョンについては「これまでJIRAでは13年に策定した『JIRA産業ビジョン2020』を基本戦略に活動を展開してきた。現在、次のビジョン『JIRA産業ビジョン2025』の策定に着手しており、4月に開催するITEM2019での発表をめざしている」と予告した。
策定をめざす『JIRA産業ビジョン2025』の4つの方向性としては、①社会の変化に先駆けた世界をリードする医療イノベーションを実現する②革新的なデジタル技術の活用により、医療の質向上と医療機器産業拡大に貢献する③日本の優れた医療、医療システムを世界に提供し貢献する④社会・自然環境の変化に適応したシステムの提供により、安全・安心で安定した医療を実現する――を列挙した。
これを踏まえ、「JIRAでは今後も環境変化に対応し、医療現場のニーズに応え、技術や製品をいち早く提供するために、これまで築いてきた環境・基盤に加え、さらに必要な環境作りに向けた政策や規制への提言を行うとともに、関係各位と有用な情報の提供・共有を行っていく」との方針を示した。