医工連携

認知症予防を共同研究 ー 島津、MSC、ERISA、島根大

認知機能改善プログラムの開発へ

島津製作所(社長=上田輝久氏)とメディカル・ケア・サービス(社長=山田教雄氏、MSC)、ERISA(社長=河原八郎氏)、島根大学(学長=服部泰直氏)の4者は「軽度認知障害における介入アプローチと生体マーカーに関する探索的検討」に関する共同研究契約を締結した。これに先立ち、島津製作所、MSCなど5者は、ERISAの第三者割当増資を引き受け、同社に計1億4500万円を出資した。

共同研究では国内最大手の介護事業者のMCSが展開する有料老人ホームを拠点に、認知症予備軍の軽度認知障害(MCI)の人を対象に、認知機能の改善を目的とした介入プログラムを6か月間実施する。

また、介入の前後で島根大学が長年、研究対象としてきたfMRI(機能的磁気共鳴画像法)と、島津製作所が製造販売するfNIRS(機能的赤外分光法)による生体マーカー計測を行い、介入効果の評価方法を開発する。

今回の共同研究で開発する認知機能改善プログラムと評価手法に関しては、国内の地方自治体との連携を通じて事業化するとともに、MCSが事業展開する中国をはじめとした世界各国への事業展開を島津製作所とMSC、ERISAの3社で協力して推進していく。

認知症患者は2025年には約700万人に達し、65歳以上のシニア層の約5人に1人が認知症になるといわれている。それにともない、医療・介護費などの社会的費用も増加傾向にあり、日本の認知症の社会的費用は14年時点で総額14・5兆円と試算されている。

島根県では全国に先駆けて高齢化が進展しており、この課題に対応して島根大学医学部では、認知症の予防に関する研究が早くから行われてきた。