企業活動

「第10回サクラ病理技術賞授賞式」 ー サクラファインテックジャパン

『奨励賞』に山口氏、『新人賞』に雨宮氏がそれぞれ受賞

右から松野選考委員長、「新人賞」受賞の雨宮氏、「奨励賞」受賞の山口氏、サクラグローバルホールディングの松本会長、サクラファインテックジャパンの石塚社長

病理検査機器・器材のトータルサプライヤーのサクラファインテックジャパン(会長兼社長=石塚悟氏、東京都中央区)は、9月30日㈰午前11時30分から、東京・飯田橋のホテルメトロポリタンエドモントで「第10回サクラ病理技術賞授賞式」を開催した。今回は奨励賞に1名、新人賞に1名が輝いた。

サクラ病理技術賞は同社が2008年に創設した褒賞制度。病理的検査・技術に関するさまざまな活動を支援するため、病理技術者やその団体、研究者を対象として、学術研究や地域活動、後進育成--などの幅広い活動に中から、特に優れた成果を挙げた個人や団体を表彰している。

今回、『奨励賞』はがん遺伝子変異検査での細胞診検体の応用と品質管理、京都府での病理技術向上と後進育成への取り組みが評価され、綾部市立病院臨床検査科の山口直則氏が受賞した。

また、『新人賞』は病理・細胞診検体を用いたクリニカルシーケンス法の確立と普及活動が評価され、山梨県立中央病院検査部の雨宮健司氏が受賞した。

「授賞式」会場の様子

授賞式であいさつに立った石塚社長は、10周年を迎えたサクラ病理技術賞の創設時の時代背景に言及し、「当時、医療変革の大きな波の中で、病理検査技師は翻弄さていた。また、病理検査の重要性の認識の高まりと共に、その忙しさも加速し、後進指導や技術探求、新技術探求などに取り組む余裕がなくなっていた」と厳しさが増していた病理検査技師の労働環境を振り返った。

石塚社長は「このままだと病理標本作製技術そのものがすたれないか、職人技、高いスキル、多くの経験が消えていかないか、と感じた。装置に標本作製を任せることは良いとして、技術発展まで装置に負わすことはできない。人間の知恵があって初めて装置も次世代へ発展する。われわれにとっても技師の病理標本作製技術がすたれることは死活問題である」と技術賞の創設前に、憂慮していた思いを説明した。

これを踏まえ、「このようなことを感じ始めた時に、日本医学検査学会で行っていた『サクラ病理賞』が廃止されることを聞き、ますます病理検査技師のモチベーションが下がってしまうのではないかと危惧していた。そんな時、著名な病理技師の方から〝サクラ独自で賞を設けたらどうか〟とご提案いただき、抱いていた危惧を解消する一助になればと思い、『サクラ病理技術賞』を創設することを決めた」と創設時を回顧した。

最後に、「将来にわたり病理標本作製技術を発展させる、ということが判断基準とすれば、若い方々に標本作製の基礎技術を地道にしっかりと伝えていくことも、最先端の技術を使い病理標本技術に新しい道を切り開く探求と同様に価値のあることと考えている。その思いが、この賞を始める大きな理由でもある。その思いは今も変わらない。20年、30年とサクラ病理技術賞が皆さまと共に歩んでいけたら幸いです」と述べ、病理技術の発展を祈念した。

次いで、来賓の日本病理学会の北川昌伸理事長と日本臨床衛生検査技師会の宮島喜文会長が祝辞を述べたあと、選考委員会の松野吉宏委員長(北海道大学大学院医学研究科病理学講座分子診断病理学分野教授)が選考総評を行い、受賞者に記念のオーナメントを授与した。

このあと、受賞者による記念プレゼンテーションに引き続き、第1回受賞団体の北海道臨床衛生検査技師会形態部門の活動を紹介するランチョンセミナー、東京医科歯科大学難治疾患研究所ゲノム病理学の石川俊平氏による特別講演(がんはゲノムの病気―がんゲノム検査に必要な基礎知識―)が行われた。