業界団体

『JASIS2018』開催【JAIMA、JSIA】

約2万3000人が訪れ盛況博す

日本分析機器工業会(会長=栗原権右衛門氏、JAIMA)と日本科学機器協会(会長=矢澤英人氏、JSIA)は共催し、9月5日㈬から7日?㈮の3日間を会期に、千葉県の幕張メッセ国際展示場で、分析機器・科学機器の総合展示会「JASIS2018」を開催した。3日間で2万3000人を超える来場者が訪れ、会場は連日にわたりにぎわった。

約500題のセミナーなども高評価

栗原会長

JASIS2018の開会式は5日午前9時40分から、会場入り口前で行われ、あいさつに立った栗原会長は「JASIS2018は約500社が出展する分析機器、計測機器をはじめ関連設備・製品が一堂に会する大規模展示会。合わせて、カンファレンスや新技術説明会などでセミナー、講演会が合計で約500セッション用意されている。その規模や内容から各方面から高い評価をいただいている」と今回のJASISの開催規模を報告した。

また、「JASISは『未来発見(Discover the Future)』をキャッチフレーズに毎年、進化を遂げている。今回は二大特別企画の『ライフサイエンスイノベーションゾーン』と『オープンソリューションフォーラム』を充実させたほか、『JASISウェブエキスポ』を本格導入した」と述べ、その内容を説明した。

ライフサイエンスイノベーションゾーンについては「今年は『最先端バイオ医療・ヘルスケアと分析機器の役割』をテーマに、企業プレゼンテーションを行うほか、新たな試みとして『グローバル創薬とバイオサイエンスの役割』と題して、日米合同セッションを実施する」と紹介した。

オープンソリューションフォーラムに関しては「同フォーラムはテーマ別の新技術説明会で、分析機器の活用が期待される分野として『フタレート規制』、『香りとにおい』、『次世代電池』--の3テーマを取り上げ、さまざまなソリューションを紹介する」とした。

JASISウェブエキスポにふれては「JASIS開催期間の前後の7月20日から12月20日まで開催する。ウェブ上で実際に展示会場やライフサイエンスイノベーションゾーンを訪問したような感覚で閲覧できるほか、オープンソリューションフォーラムなど各種セミナーも視聴できる」と説明した。

最後に「JASIS2018はアジア最大級の分析・科学機器展示会として、さまざまな最新情報を発信する。ご来場のすべての皆さまに実り多い展示会となるよう、主催者一同全力を尽くしてまいります」と語った。

ソフトウェアも重要に
IoTやAIとの連携加速

矢澤会長

次いで、矢澤会長は「本展示会はJASISと名称を改め、今回で7回目を迎える。JASIS2018は例年通り盛況な展示規模と多彩な企画を準備して開催を迎えた。近年では科学機器だけでなく、関連のソフトウェアを含むシステムやソリューションの情報発信の重要性が高まりをみせている。この機を受けてJASISは一層の進化をめざし、ソリューションフォーラムをはじめとするさまざまな企画を通して、出展各社とユーザーを支援してまいります」とあいさつ。

経済産業省が掲げる未来に向けた日本の産業がめざす新たなコンセプト『コネクテッドインダストリーズ』に言及しては「コネクテッドインダストリーズはさまざまなつながりにより、新たな付加価値が創出される産業社会を意味する。これに強く影響を与え注目される分野にIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)が挙げられる。これら分野には科学機器業界も大きく関係し、また貢献できると考えている。科学機器で得られた計測結果をIoTにより集約し、AI技術を用いてデータ解析を行い、研究開発を進める――という時代もそう遠くないと思う」との方向性を予測した。

さらに、「NASAの火星探査機には約75㌔㌘の科学機器が搭載され、人の手を使わずに科学機器を働かせ、測定や分析を行い、データを送信する仕組みを構築している。科学機器による自動計測とデータを自動送信するシステムは、宇宙開発以外でも人が立ち入ることが困難な場所での調査研究に大いに貢献する。今後は機器だけでなく、システムとして提案することが、科学機器業界の未来を拓くキーワードの1つとなる」との考えを示した。

最後に「本日からの3日間、出展企業の皆さまと来場者の皆さまにとって、実りある展示会となることを願い、精一杯務めてまいります。今後も共同主催者の日本分析機器工業会と共に、日本の科学機器産業のさらなる発展に向け、全力で傾注し取り組んでまいります」と述べ、関係各位の支援に対して感謝の意を表明した。

開会式でのテープカット

このあと、来賓を代表して経済産業省の上田洋二大臣官房審議官の祝辞に引き続き、栗原会長と矢澤会長、上田審議官、文部科学省科学技術・学術政策局の勝野頼彦科学技術・学術総括官、在日米国大使館商務部のブリタニー・バンタ上席商務官、日本分析化学会の岡田哲男会長--の6人が、テープカットを行い、JASIS2018は開幕した。

ライフサイエンスゾーンは規模拡大

開幕したJASIS2018は、幕張メッセ国際展示場4-8ホールを使い、最新の分析機器・科学機器をはじめ関連製品・技術を展示した。開催規模は過去最高であった昨年とほぼ同規模となり、展示面積3万3969平方㍍の中に、494社・機関(1462小間)が出展した。

展示会場の様子

会場では出展各社が分析機器・科学機器のデモンストレーションを精力的に行い、製品の特徴をアピールした。来場者らは自身の仕事に役立ちそうな製品や技術を求め、会場を見て回り、実際に製品にふれながら、出展各社の担当者から説明を受け、分析機器・科学機器の最新情報を収集していた。

注目のライフサイエンスイノベーションゾーンは、過去最多となる75社(対前年比14%増)、出展小間数102社(同17%増)での開催となった。今回のテーマは『最先端バイオ医薬・ヘルスケアと分析機器の役割り~ヘルスケアと臨床が近づくバイオメディカルへの道~』で、基調講演29題、49題の出展企業プレゼンテーションを展開した。期間中、多くの来場者が訪れ、熱気を帯びた。