増本氏が会長に就任 ー 大阪医療機器協会
「定時総会」「設立70周年記念式典」を開催
大阪医療機器協会は5月18日㈮午後3時30分から、大阪・中之島のリーガロイヤルホテルで「第70回定時社員総会」を開催した。総会では平成30年度の事業計画と予算を打ち出したほか、任期満了にともなう役員改選では病気療養中の堀井孝一会長が退任し、後任の会長には前会長の増本忠次氏が就任した。総会終了後は協会が昭和23年の設立以来、今年で70周年を迎えたことを記念して、『設立70周年記念講演会』、『設立70周年記念式典』を挙行。来賓を含め約150名が参加して盛大に行われた。
総会は司会の北畠理事が「総会員数170社中、出席38社、委任状提出68社」と総会成立を宣言し開会した。
これを受け、あいさつした森川副会長は「本来なら堀井会長が冒頭のあいさつをするところだが、病気療養中のため私が代理を務めさせていただく。さて、当協会も設立70周年を迎えた。戦後まもなくの発足なので、先人たちは随分と苦労したことと思うが、その一方で国の(戦後)発展とともに、さまざまな希望や喜びもあったのではないかと推察する」と協会の70年の歩みに思いをはせた。
最近の協会動向にふれては「近年、私どもの業界も注目を浴び、新たな技術や手技が開発されているほか、異業種からの参入も多い。そのような中、当協会も一昨年、任意団体から一般社団法人に改組した。今後も会員の皆さまのニーズに応えられるよう、さらなる発展に務めていきたい」と協会の一層の飛躍を祈念した。
このあと、森川副会長を議長に議案の審議に移った。議事は平成29年度の事業・収支決算・監査報告、平成30年度の事業計画・収支予算、役員改選――など。いずれの議事とも担当役員が報告、説明を行い、全議事ともに原案通り承認、可決した。
各種事業を決定し積極的に推進へ
このうち、平成30年度事業計画では①関係官庁や大阪商工会議所などとの連携および協力②業界関係団体との連絡業務および協力③販売業・賃貸業の営業管理者、修理業責任技術者対象の「継続的研修」の実施協力⑤PMDA WESTの利用促進と会員外の製造販売業者との交流⑥友好団体合同行事の開催⑦東南海地震など大規模災害時の対応⑧各種研修会・講演会の開催⑨機関誌、ニュースレターの発行⑩関西医療機器連合会の活動実施⑪流通部会、製造販売部会、目指志会など各部会の活動強化⑫友好団体合同新年互礼会の開催⑬医薬品医療機器法などの許認可手続きの相談⑭国家、大阪府知事の表彰推薦⑮国際交流の促進――などの事業推進を決定した。
一方、任期満了にともなう役員改選は、事前の郵送方式による立候補者21名全員の当選が発表され、平成30・31年度の理事(下記参照)が決定した。ここで、新理事らは別室で第1回理事会を開き、互選により新会長に増本忠次氏の就任を決めた。これを受け、増本会長は「第11代会長を拝命した。業界や会員の皆さまのお役に立てるよう頑張っていきたい」と抱負を述べた。
大阪医療機器協会「新役員」
◆会 長
増本 忠次(シーホネンス)
◆副 会 長
森川 卓(いわしや森川医療器)
小村 博(コムラ製作所)
菅原 充史(スーガン)
千種 康一(三田理化工業)
堤田 宏(小西医療器)
◆会計理事
平岡 晋輔(星光医療器製作所)
◆理 事
井内 卓嗣(アズワン)
川本 武(川本産業)
北畠 隆(北畠医科器械)
横山 裕司(グリーンホスピタルサプライ)
弘野 俊彦(白井松器械)
堀井 啓(大黒)=新任
山田 圭一(大研医器)
大木 慶治(総合メディカル)
野中 崇好(野中医科器械)
村中 宏行(村中医療器)=新任
平田 全孝(メディコスヒラタ)
米澤 達一(米澤器械工業)
◆監 事
表 慶司(日光医科器械)
湯山 裕之(湯山製作所)
優秀社員表彰式で19名の努力を顕彰
総会終了後は会員企業の従業員を対象にした『優秀社員表彰式』が行われ、会員企業9社19名の優秀社員の永年の努力をたたえた。
表彰された優秀社員は次の通り。
▽岸良彦(エム・ジー大阪)▽北村康行(小西医療器)▽塚本好信・熊田正廣・松田信彦(コムラ製作所)▽愛宕孝章・藤田泉・岡山嘉展・岸本隆晴・平井秀明(シーホネンス)▽西川隆行・寺本奈津枝(セイコーメディカル)▽峠厚・永栄秀紀(大黒)▽木村昌史・宇治保恵(辻本メディカル)▽清水昭宏(三田理化工業)▽横井秀典・井尻俊完(メディテイク)
『設立70周年記念式典』挙行
業界関係者ら約150人が参加し盛大に
定時総会終了後は「設立70周年記念講演会」(別掲参照)に引き続き、「設立70周年記念式典」が挙行された。
開会にあたり、あいさつに立った増本会長は「総会で第11代会長を拝命した。堀井前会長が病気療養中のため、第9代会長でもある私が返り咲きとなった」としたあと、「本日は私の誕生日であり、なおかつ古希(70歳)を迎えた。60周年記念式典の時も還暦(60歳)の話をさせていただいた記憶がある。10年で世の中も大きく様変わりした」と業界環境の変化を回顧した。
協会の方向性に言及しては「われわれ医療機器メーカー、販売業社は単にモノを運ぶ物流会社ではなく、医療・介護・福祉の現場でお役に立つ会社でなければ、10年、20年先はないだろう。今後、協会も80年、90年をめざすには会員の皆さまのご協力なくしては成り立たない。皆さまとともに、まずは次の10年をめざして頑張っていきたい」と述べた。
次いで、来賓を代表して、渡嘉敷奈緒美衆議院議員が「医療機器業界はまだまだ伸びる業界ですので国としても応援させていただく。貴協会のますますの発展を祈念する」、松井一郎大阪府知事(代読=菱谷博次大阪府健康医療部薬務課課長)が「革新的な医療機器の研究開発、より良い医療機器の迅速供給にご尽力いただき、2025年の万国博覧会の誘致に向け、引き続きご支援、ご協力をお願い申し上げる」、森清近畿経済産業局長(代読=大西宏志近畿経済産業局地域経済部次長)が「貴協会の各種講習会やマッチング商談会などの活動を通じ、引き続き医療機器業界の発展にご尽力いただき、関西経済圏をリードしていただきたい」、森清一日本医療機器販売業協会会長が「貴協会の70年の歴史の重さを感じる。大阪の業界を引っ張ってこられた、そのエネルギーをさらに高め、日本の医療機器産業の発展のためにご尽力いただきたい」――とそれぞれの立場で祝辞を述べた。
このあと、酒井哲嗣日本薬科機器協会会長の『乾杯』の発声で、祝賀会は開宴した。会場では参加者らがグラスを傾けながら、協会の70周年を祝うとともに一層の飛躍を誓い合った。ひとときの歓談のあと、協会の堤田宏副会長の『一丁締め』で閉会となった。
「70周年記念講演会」
三宅教授が『AIと医療』演題に
大阪医療機器協会の「設立70周年記念講演会」で、講師に招へいされた大阪大学国際医工情報センターの三宅淳特任教授は、『AI(人工知能)が拓く未来の医療』をテーマに講演した。
三宅特任教授は「AIは医療に不可欠な要素となり、医師の補助ツールや創薬・治験のツールとなる。現在の主力は画像解析だが、今後は細胞・組織画像解析やリハビリ、カルテ解析などに広がってくる」とAIは医療の中で絶対的に必要な存在になることを予測した。
AIの融合が期待される医療機器として▽病理診断支援装置▽内視鏡▽心電図解析装置▽生化学検査装置▽病状解析装置▽臨床治験解析プログラム▽カルテ・検査統合プログラム――など挙げ、その方向性を説いた。
将来性に言及しては「全ての医療機器がAIを搭載して統合される。そして各医療機器のデータが統合されて精密な所見候補が形成され、医師の判断に供される。AIにより患者に高度な医療を提供できる」と解説した。