企業活動

次世代人工心臓の開発へ【帝人】

国内の医療機器ベンチャー買収

帝人(社長=鈴木純氏、大阪市北区)は、エムスリーアイ(社長=梅田和宏氏、東京都港区)と株式譲渡契約を結び、エムスリーグループのベンチャーキャピタル・シーズロケット有限責任事業組合が保有する、人工心臓開発企業のメドテックハート(社長=高谷節雄氏、東京都港区)の発行済株式93・8%を全て取得することで合意した。

株式取得により、帝人グループはメドテックハートが開発を進めている体外型補助人工心臓「MT―Mag」に関して、欧州で2021年以降、日本で24年以降の承認取得と販売をめざし活動を展開していく。また、関連領域でのシナジー効果を追求し、循環器領域や呼吸器不全領域などでの医療機器事業の拡大を図っていく方針だ。

株式譲渡は3月末を予定しており、手続き完了後は『帝人メドテックハート株式会社』に社名変更する。買収対象にはメドテックハートのドイツの子会社『MedTecHeart』の取得も含まれている。

現在、日本で承認されている補助人工心臓は半日程度使用するタイプや1年以上使用するタイプが大半だが、1週間から1か月程度使用するタイプへの利用ニーズが高まっている。これに対応し、メドテックハートは11年から、30日間使用可能で血栓が発生しにくい『磁気浮上遠心式補助人工心臓』の開発を進めてきた。

一方、帝人は人工関節などの医療機器事業を展開する帝人ナカシマメディカルへの出資や、骨接合材料の製造、販売を展開する帝人メディカルテクノロジーの設立など、医療機器事業の拡大に積極的に取り組んできた。

こうした中、帝人ではメドテックハートが開発を進める補助人工心臓の製品優位性を高く評価するとともに、同社が有する技術の活用がより高品質の医療機器の開発につながると判断し、今回の株式譲渡契約の締結に至った。