イラン医療市場の参入に向けセミナー【OMETAとイラン大使館】
「第3回イランヘルスケアセミナー」開催
海外医療機器技術協力会(会長=松本謙一氏、OMETA)は、在京イラン・イスラム共和国大使館と共催して、2月23日㈮午後3時20分から、東京・南麻布の同大使館で、イランの医療市場をテーマに「第3回ヘルスケアセミナー」を開催した。
両国関係で医療機器は重要分野
セミナーの開会にあたり、シャーケリ駐日イラン・イスラム共和国臨時代理大使は「イランと日本の保健医療分野の協力関係は、イランのロウハニ大統領と日本の安倍総理の首脳会談を経て、発展に向け新たな段階に入っている。その中で医療機器・医薬品産業は両国の協力関係の中でも重要な分野となっている」とイランと日本の協力関係の一層の強化を訴えた。
イランの医療の現状にふれては「イランの医師をはじめとする医療関係者は中東諸国の中でも高い医療技術を持っている。国立と私立を合わせ66の医科大学で、約25万人の医学生が学んでいる。医薬品市場の規模は約50億ドルで、医薬品の96%、原材料の50%がイラン国内で生産されている。医療研究センターは700か所、知識集約型企業は300社を有している。また、病院は約900施設となる」とイランの医療情勢を説明した。
イランの保健医療インフラを拡大へ
イランが推進する保健医療インフラの拡大政策に言及しては「民間セクターの活用や外国投資の受け入れなどにより、8万以上の病床の確保や、各種分野への600以上の画像診断装置の確保、50の総合がんセンタープロジェクト、130のレベル2がんセンタープロジェクト、2800の人工透析病棟の設置、救急車3000台――などを計画している」とし、医療機関の近代化に向けた需要拡大でイランの投資市場は250億ドルを超えるだろう、と予測した。
これを踏まえ「これらの医療需要は、イランの人口8000万人の健康増進のために必要なこと。また、イラン周辺諸国の計4億人の人口を考えると、増加する医療ツーリズムの需要にも多くの投資が必要になる。それに応じて、外国投資に関する法律や環境も整備している」と語り、イランと日本の貿易、経済の協力発展に向け、イランの医療分野への投資を呼びかけた。
情報を共有しイランの医療を発展へ
このあと、松本会長は「イランには巨大な健康医療マーケットとなる期待感を抱いている。一方で支払条件や決算条件などの課題もあるが、こうした点についてはイラン政府の方々と話し合いを進めながら、イランとのビジネスにチャレンジしていければと思っている」とイランとのビジネスを前向きに取り組んでいく考えを表明した。
OMETAとイランとの関係にふれては「2015年5月にテヘランで開催された『イランヘルス』に参加して以来、毎年、ミッションなどでイランを訪問している。16年1月にはテヘランで小林大使の同席の上でMOU(覚書)にサインした。OMETAは特定非営利活動法人という性格上、団体としての投資活動、生産活動はできませんが、両国の政府関係者や医療関係者との情報交換を密にし、有益な情報を会員間で共有していきたい。それを持って、イランの医療の発展、両国の協力関係に寄与していければと考えている」と両国の明るい未来に向け、両国政府と協力しながら活動を展開していくことを明かした。
このあと、セミナーでは来日中のイラン保健省の政府高官が医療産業や医療機器分野での計画やプロジェクトについての詳細を説明したほか、OMETAの矢野守専務理事がイランでのOMETAの取り組み、JETROの桜内政大氏とOMETAの間嶋恒吾業務委員がイラン医療機器ミッションの参加報告――などを行った。