業界団体

拡大チーム医療に貢献へ【医器販協】

森会長らが「年頭記者会見」開く

会見を行う(右から)冨木隆夫情報部会長、浅若博敬副会長、森清一会長、阿部篤仁広報部会長、齋藤匡人専務理事

日本医療機器販売業協会(会長=森清一氏、東京都文京区、医器販協)は、1月16日㈫午後3時30分から、東京・西新宿の京王プラザホテルで「年頭記者会見」を開き、森会長が今年の医器販協の活動内容、浅若博敬副会長が中医協意見陳述の報告、冨木隆夫情報部会長が医療機器業界のEDI(電子商取引)の現状――などについて発表した。

会見で森会長は医器販協について「当協会は医療機器販売業者唯一の全国組織団体として、平成10年11月に活動を開始。平成26年4月からは一般社団法人化し、今年で20年目を迎える。現在、会員数は約1100社、従業員数は約7万人となる」と紹介した。

医療機器販売業の役割としては『医療を支えるインフラ機能(安定供給)』と『医療の質と効率化をめざした適正使用支援業務(安全性担保)』の2点を列挙し、その内容を解説した。

医療を支えるインフラ機能に関しては「われわれ協会員は、離島など僻地を含め、地域差なく全国各地をカバーし、約85万品目にわたる医療機器・医療材料の安定供給を通して、患者の安全と国民の医療制度の一翼を担っている」と説明した。適正使用支援業務については「医療機器販売業者は、医療機器の預託在庫管理や短期貸出し・持込み、立会い、保守・メンテナンス、24時間緊急症例対応――などの適正使用支援業務の実施により、拡大チーム医療に貢献している」と説いた。

また、医器販協として、適正使用支援業務の質向上に向けた取り組みにふれては「医療機器販売に携わる人のスキルアップを目的に、MDIC(医療機器情報コミュニケータ)やCDR(植込み型の心臓ペースメーカ・除細動器関連情報サービス提供者)などの認定制度の業界内の普及に努め、会員各社が良質な医療を提供できるようサポートしていく」と明かした。

来年10月に予定される消費税増税については「当協会では消費税の8%増税時に、公正取引委員会に転嫁カルテル・表示カルテルを届出。消費増税に関するパンフレットやQ&Aを作成し、全国での消費増税に関する説明会を実施し、会員や医療機関などへの理解を求めるための周知徹底を図ってきた。今後、予定される10%の消費増税に関しても業界内で円滑な運用が図れるような対策を検討していきたい」とした。

医療機器販売業者は拡大チーム医療の一員であるとの概念にふれては「拡大チーム医療の一員として、医療機関の中のチーム医療と密接に連携し、適正使用支援業務を通じて、外部からサポートすることで、患者の治療に貢献していく。そのためには高い倫理観と責任感を持って業務を遂行しなければならないと考えている。医療を下支えしていくには、単に製品を販売して終了するのではなく、安全性も担保した流通の提供ができて初めて可能となる。今後も安全と安心を確保しながら効率化を図り、医療機器販売業界の発展に努めていきたい」と年頭にあたり、抱負を述べた。

適正使用支援業務で安全提供

次いで、浅若副会長は、昨年12月に行われた中央社会保険医療協議会(中医協)保険医療材料部会で、医器販協が行った意見陳述3点(①医療機器販売業の役割②流通構造を考慮した価格比較③毎年価格調査)について報告した。

医療機器販売業の役割に関しては「医療機器販売業は主に『安定供給』(安定)と『適正使用支援業務』(安全)を通じて、国民皆保険、フリーアクセスという日本特有の国民サイドに立った医療体制の下支え(安心)をしている――ことを主張した」を報告した。

流通構造を考慮した価格比較では「既収載品の再算定の内外価格差について、適正使用支援の観点も踏まえ、激変緩和と安定供給を十分に考慮したうえで、切り下げの論議は慎重にすべき――と要望した」と語った。

毎年価格調査では「価格改定後、医療機関やメーカーとの価格交渉に多大な時間と労力を費やすほか、その後の事務作業の負担も膨大で、医療機器販売業者の最重要責務である『安定供給』と『適正使用支援業務』に弊害がでる恐れがあるため、中間年の価格調査と価格改定には反対である――との立場を取っている」とした。

意見陳述を踏まえ、浅若副会長は「委員の先生方からは、適正使用支援業務の必要性について一定の理解を得られたと考えている。しかし、国民からは医療機器販売業の存在や役割について広く理解されているとはいえないので、今後は業界自体のPR活動も必要だと考えている」と述べた。

EDI化で流通の効率化を促進へ

引き続き、冨木情報部会長は業界のEDI状況に関して「メーカーと販売業者間ではEDIによる通常取引が増加している。が、医療機関と販売業者間では、まだFAXなどによる取引が支流となっている。そこで、MDネットと共に医療機関とのEDIのモデルケースの検討を開始した。今後は医療機関に協力をいただきながら、EDI化による効率化を進めていきたい」と医療機器の流通の効率化に向け、EDIの普及に努めていく考えを示した。