企業活動

粒子線治療システム事業を統合ー日立と三菱

三菱の粒子線事業を日立に譲渡へ

日立製作所(社長=東原敏昭氏)と三菱電機(社長=柵山正樹氏)は、三菱の粒子線治療システム事業を日立に譲渡し、両社の事業を統合することで合意した。今後、両社で協議を重ねながら、関係当局の審査・承認を経て、三菱の粒子線治療装置に関わる設計・製造・販売・保守事業を2018年4月に日立に統合する予定だ。

両社は粒子線治療が国際的に普及、拡大していく中、開発資源を統合することで、事業競争力を高め、より高付加価値のある製品・サービスを提供していくことが不可欠と考え、統合に向け検討を重ねてきた。その結果、幅広くヘルスケア事業を展開する日立への事業譲渡による統合が最適との結論に達した。

日立製作所の粒子線治療システムは、日本や北米、アジアの13施設から受注を受け、現在、8施設で稼働している。これまでに1万6000人以上の患者が治療を受けている。また、米国がん専門病院と放射線治療に関する共同研究を行うなど粒子線治療の普及に努めている。

一方、三菱電機の粒子線治療システムは国内9施設で稼働。装置を提供するとともに、粒子線治療施設の運営に必要な人材の育成支援や施設間の連携支援など、運営面も含めて粒子線治療の普及に取り組んできた。

粒子線治療は外科治療などのがん治療法に比べ、治療による副作用が少なく、治療後の社会復帰も比較的早いため、世界的に注目されている治療法。日本では2016年4月から小児がんの陽子線治療と、骨軟部がんの重粒子線治療が保険適用となるなど、がん治療法の1つとして認知・普及している。