米アーセナル社を買収【テルモ】
脳血管治療領域の製品構成拡充
テルモ(社長=鮫島光氏、東京都渋谷区)は、米子会社テルモニューロを通じて、脳血管の液体塞栓技術を開発する米アーセナル・メディカル社(マサチューセッツ州)を買収することで合意した。今回の買収により、アーセナル・メディカル社が開発中の慢性硬膜下血腫(cSDH)向け液体塞栓材「NeoCast(ネオキャスト)」を取得し、脳血管治療領域の技術ポートフォリオを強化する。
ネオキャストは慢性硬膜下血腫の治療を目的として開発が進められている液体塞栓材で、中硬膜動脈塞栓術への使用を目的として設計されている。
従来の液体塞栓材とは異なる流動特性を持ち、中硬膜動脈の末梢血管への到達性向上を目指して開発された。また、使用時に溶媒を必要としない点も患者負担の軽減につながる可能性がある。
慢性硬膜下血腫は高齢者に多く、転倒などの外傷を契機に硬膜下に血液が徐々に蓄積する疾患。認知機能低下や歩行障害などを引き起こすこともある。外科的血腫除去が一般的だが、術後再発が一定数みられ、再発率低減が臨床上の重要課題となっている。
近年、血腫の維持・再発の原因となる異常血管への血流を遮断する中硬膜動脈塞栓術が新たな治療選択肢として注目されている。ネオキャストはこの領域に向けた新規液体塞栓材として開発が進められており、初期臨床試験では塞栓手技の実施可能性と安全性に関する主要評価項目を達成。現在は外科手術との併用を評価する大規模な検証的(ピボタル)臨床試験が進行中だ。
テルモニューロは脳動脈瘤、脳梗塞、脳動静脈奇形など幅広い脳血管治療製品を展開してきた。今回の買収は、同社が液体塞栓材領域における技術基盤をさらに強化するとともに、慢性硬膜下血腫の血管内治療という新たな成長分野への事業展開を加速させる。
テルモグループは革新的な医療技術の開発とグローバル展開を通じて、医療の発展と患者のQOL向上に貢献しており、今回の買収はその戦略の一環に位置付けている。