事業計画・予算打ち出す【日医工】

「2026年度定時社員総会」開催
日本医療機器工業会(理事長=東竜一郎氏、東京都文京区、日医工)は8月25日㈫午後3時から、東京・大手町のKKRホテル東京で「2026年度定時社員総会」を開き、26年度事業計画とそれにともなう予算を打ち出した。総会終了後は「日本発の医療機器の国際展開」をテーマに特別講演会を開催した。
部材価格の高騰に共助で対応を

総会の冒頭、あいさつした東理事長は、日医工の昨年度を振り返り「会員企業のみならず医療機器業界全体にとって厳しい一年だった。石油関連製品やナフサの供給が滞る事態があったものの、政府の迅速な対応もあり部材の入荷は徐々に改善してきている。一方で、部品や材料の価格上昇は依然として続いている。こういったコロナ禍後の課題については会員が協調・共助しながら安定供給と価格の安定に向けて努力していく必要がある」と強調した。
また「この1年は10年先を見据えた『第1フェーズ』の初年度にあたり、理事や会員企業の協力のもと、いろいろな取り組みを進めてきた。次年度に向けても新たな取り組みを進めている」と述べ、総会での議案審議について理解と協力を求めた。
日本の医療機器の存在感を実感

続いて、あいさつした松本会長は、日医工が発行する会誌『日医工ジャーナル』に言及し「最新号ではインタビューとして、国立がん研究センター東病院の伊藤副院長にSaMD(プログラム医療機器)の国内における開発動向と今後の展望についてお聞きした。また、東京科学大学病院MEセンターの倉島技師長に臨床工学技士にとってのECMO(体外式膜型人工肺)について解説いただいた。複数の会員の方から、わかりやすく勉強になった、とお褒めの言葉をいただいた」と会誌が好評を得ていることを報告した。
また、総会後の講演会・対談に関して「元厚生労働大臣の武見敬三氏と、アフリカで医療活動に取り組む川原尚行氏に、日本の医療機器が世界の医療・健康、そしてウェルビーイングにどのような役割を果たせるかをテーマに、それぞれにお話しいただく」と紹介した。
さらに、松本会長自身が、今年に入り8回海外に足を運んだと明かし「直近ではモンゴル・ウランバートルを訪れ、現地の医療機関の視察や保健省大臣との面会を行った。国土は日本の4倍ある一方、人口は350万人にとどまるモンゴルにおいても、日本の医療機器が診断・治療の両面で活躍している実情を視察し、改めて日本の医療機器の存在感を実感した」と述べた。
このあと、穴田専務理事が「総社員数124名中、出席社員数44名、委任状による出席社員数60名、合計出席社員数104名」と総会成立を報告。東理事長が議長となり、議事録署名人に林、松原、矢野の3副理事長を指名し、議案の審議に入った。
議事は2025年度事業・決算報告、役員の選任、定款の変更、会費の改定、役員の報酬等に関する規定の改正、26年度事業計画・予算など。いずれの議事とも担当役員が報告、説明を行い、原案通り承認、可決した。
このうち、役員の選任では理事会社の担当者の変更にともない、アコムは田代光正氏に代わり坂田陽太郎氏、ジョンソン・エンド・ジョンソンは清水英治氏に代わり高瀬守氏、アイ・エム・アイは網田英邦氏に代わり林健氏がそれぞれ理事に選任された。日本酸素は古海敏恵氏の後任理事を推薦しなかった。
定款の変更では部材メーカーや商社、物流事業者、IT企業などから、医療機器産業への参入や連携を希望する問い合わせが増加していることから、それら企業との連携強化に向け、新たな会員区分として『パートナー会員』を新設し、医療機器産業を支援する企業や将来的に医療機器分野への参入を目指す企業を受け入れる。
重点項目に対応し各種活動展開
26年度事業計画に関しては、日医工50周年で示した理念『Progression~進化、深化、新化~』を、継続的な活動方針として定着させることを狙い、6つの重点項目(下記参照)を掲げた。重点項目に対応するため、組織内委員会で各種活動を展開することを決定した。
日医工の26年度6つの重点項目
①「進化」:政策提言力の強化、委員会活動の推進、人財育成を支援
・行政への積極的な発信・提言の推進
・組織内17委員会の専門性を高め、コミッティ会議の場を活用し、委員会間の情報共有、連携を強化
・人財育成の推進としてマネジメント層から若手社員まで幅広い支援を行う
②「深化」:専門性、安全性、国際標準化への貢献、発信力の強化
・ISOなどの国際的枠組みへの参画を通じ、日本の意見を国際標準へ反映
・JIS規格、認証制度、UDIなどに関する業界対応力の向上
③「新化」:新技術、新産業領域への挑戦
・手術支援ロボットおよび介護用ロボットの社会実装に向け医療機関、行政との連携強化
・AI、医療DXなどの領域に対する活動
④国際展開の支援
・会員企業の国際展開の意欲向上を目指しOMETA共催の国際展開セミナーの開催
⑤コンプライアンスの強化
・企業倫理、公正競争規約、透明性ガイドラインの周知、遵守
⑥組織基盤の強化
・委員会運営や事務局機能の質をともなった効率化に取り組む
「特別講演会・対談」を開催
『医療機器の国際展開』テーマに

定時総会終了後は、日医工アドバイザーでアジア・人口開発協会の武見敬三理事長と、途上国に水と医療を届けるNPO法人ロシナンテスの川原尚行理事長(医師)による「特別講演会」と両講師による「対談」が行われた。
講演で武見氏は日本製医療機器の世界市場は1990年の22・1%から、2023年には5%へ激減したことを指摘。日本成長戦略の中で、日本製医療機器の現状の世界規模10兆円から、2040年には28兆円へ拡大する目標を掲げたことを説明した。
医療機器産業の発展に向けては、▽AMEDの機能強化▽開発支援▽産官学連携▽医療DX▽グローバル展開▽スタートアップ育成――などを挙げた。
一方、川原氏はアフリカでの医療支援活動について、内戦下のスーダンでは日本が建設した病院も甚大な被害を受けたが、日本製保育器はかろうじて稼働していることや、日本の中古救急車が寄贈され、有効活用されていることを紹介し、日本製医療機器への信頼性が厚いことを報告した。
日本の途上国への資金協力にもかかわらず他国の医療機器が調達される問題については、産官学が一体となり、仕様書作成からフォローアップまでを一貫して管理する「チームジャパン」体制の必要性を訴えた。