技術・製品

医療現場向けの専用製品を開発【タイガー魔法瓶】

鏡視下手術・ロボット手術の課題解決へ

医療現場向け専用真空断熱製品「真空断熱スコープクリア」(左)と実証実験での使用例(中央、右)

タイガー魔法瓶(CEO=菊池嘉聡氏、大阪府門真市)は、創業から100年にわたり培ってきた真空断熱技術を応用し、鏡視下手術・ロボット手術現場におけるカメラレンズの曇りや汚れの課題を解決する医療現場向け専用真空断熱製品「真空断熱スコープクリア」を開発した。2027年の一般販売に向け国内外の医療機関で実証実験(計41症例)を実施した。

真空断熱スコープクリアは、密閉ふたと真空断熱容器による高い保温力により、長時間の手術でも生理食塩水の温度を保てる。専用設計したスタンドによる高い安定性で転倒を防止し、コンパクト設計により限られた手術台のスペースを圧迫しない。

スコープの出し入れが行いやすいよう、片手でスムーズに開閉できるふたを採用した。ふた・本体・専用スタンドはオートクレーブ滅菌が可能。使い捨て部品がないためランニングコストを大幅に削減し、環境にも配慮した設計となっている。

鏡視下手術では、体腔内に挿入するスコープを事前に体温程度まで加温しないと、結露による曇りが発生し、安全な視野が確保できない。また、手術中に体液などでレンズが汚れた際は、都度スコープを抜去し、クリーニングする必要がある。

これらの対策として現在、多くの医療現場では加温した生理食塩水を真空断熱容器やヒーター付き容器に入れ、そこでスコープを温め・洗浄する「温水法」が取られている。

しかし、容器の種類によっては、▽手術中に転倒して水浸しになった▽ふたが開けっぱなしとなるため温度が下がりやすい▽使い捨て部品のランニングコストが高い――などの課題があった。

これに対して、同社へ医療従事者から「専門メーカーの技術で、これらの課題を解消するような医療現場に最適な専用品を作れないか」との相談が寄せられたことから、今回の専用真空断熱製品の開発に至った。

実証実験に参加した中部徳洲会病院消化器外科の内間恭武主任部長は「今回、本製品を使用し、保温性能が高く、レンズの曇り防止効果も良好であることを確認した。特にロボット手術では安定した視野の確保が重要で、カメラの再加温やレンズ洗浄の頻度が減ることで、手術の円滑な進行に寄与する可能性がある。繰り返し使用可能でランニングコストを抑えられる点や、環境負荷低減にもつながる点は大きな利点だ」とコメントしている。