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「第101回日本医療機器学会大会」開催【日本医療機器学会】

「医療機器学サイコウ」テーマに

「第101回日本医療機器学会大会」会場の様子

日本医療機器学会(理事長=深柄和彦氏、東京都文京区)は、6月4日㈭~6日㈯の3日間を会期に、千葉県・幕張メッセで「第101回日本医療機器学会大会」(大会長=本田宏志・ニチオン社長)を開催した。今回は学会テーマに「医療機器学サイコウ―再考・再興・最高―」を掲げ、大会長企画や講演会、シンポジウム、パネルディスカッションなど多彩なプログラムを展開した。また、大会併設の「メディカルショージャパン&ビジネスエキスポ2026」も同時開催され、医療機器メーカーなどが出展し、最新の医療機器・システムを披露した。

大会初日の6月4日はMDIC(医療機器情報コミュニケータ)ポイントセミナーとマネジメントセミナー3題を開講。同学会が認定しているMDICや滅菌技師・士、臨床ME専門認定士らが、最新の専門知識を得ようと受講した。

本田大会長

2日目の6月5日から学会大会はメインプログラムがスタートした。午前8時55分に「開会の辞」に立った本田大会長は今大会のテーマ『医療機器学サイコウ』に言及し「私たちの原点は大正12年の学会創立時に示されたアカデミア、メーカー、ディーラーが立場を超え、フラットに手を取り合うという精神にある。医療従事者、研究者、企業の皆さま、そして行政や学生の方々など多領域のダイナミックな交わりこそが本学会の誇るべき伝統である」と同学会の真髄を強調した。

これを踏まえ「今大会ではこの伝統を進化させ、議論を実装へと繋ぐための実践的なプログラムを用意した。医工連携の製品化ノウハウから、ロボット支援医療、AI、次世代の物流プラットフォームまで、まさに医療機器学の真の実用化を見据えた知見がそろっている。本日よりメインプログラムを始動するが、皆さまとともに新しい時代の幕開けを祝う有意義な時間となることを確信している」と述べた。

最後に「皆さまのこの3日間にわたる研さんが、日本の医療の未来を照らす光となることを願う」と、開会のあいさつとした。

このあと、開幕した学会大会では2日間にわたり、4会場に分かれ、基調講演1題、教育講演7題、招請講演6題、特別講演3題、大会長企画2題、シンポジウム4題、パネルディスカッション2題、ランチョンセミナー8題、一般的演題134題――などが実施された。

学会大会には医師や臨床工学技士、看護師、医療機器企業の関係者など多数が参集し、医療機器の開発や医工連携、ロボット支援手術、医療機器物流、滅菌管理、AI――などのテーマを巡り、熱心な議論を交わした。

メディカルショーのオープニングセレモニーでテープカットを行う(右から)深柄理事長、本田大会長、林事業体部会長

「メディカルショー2026」
医療機器の進化を支える原動力に

大会期間中、併設の医療機器展示会「メディカルショージャパン&ビジネスエキスポ2026」には、医療機器関連企業75社が出展し、最新の医療機器や器材、システムを披露した。

連日にわたりにぎわった展示会場

6月4日午後12時50分から行われたオープニングセレモニーでは、本田大会長があいさつし「このメディカルショーにすばらしい技術や製品をご出展いただいた企業・団体の皆さまに心からお礼申し上げる。皆さまの情熱こそがこの会場、そして日本の医療機器の進化を支える原動力となる」と出展企業・団体へ感謝を伝えた。

連日にわたりにぎわった展示会場

企画展示にふれては「会場内の大学生・大学院生によるポスターセッションにぜひ足を運んでいただきたい。ここでは学生たちが新しい斬新なアイデアを紹介しており、学生たちの挑戦的な声に耳を傾け、皆さまの経験というスパイスを加えて次世代へのイノベーションへと育て上げていただきたい」と呼びかけた。

連日にわたりにぎわった展示会場

さらに「最新技術の結晶ともいえる『企業プレゼンテーション』や、医療DX、医工連携、グリーンサージェリーなどの最先端テーマを深く切り込んだ『公開セミナー』なども見逃せないほか、『開発・医工連携サロン』では新しいモノづくりのヒントを、『人材・キャリアサロン』では次世代の育成と未来を担う人材との出会いの場を提供する。明日夕刻からは会場内で『ハッピーアワー』を開催。活発な議論の後は少し肩の力を抜いて飲み物を片手に本音を語り合いましょう。この会場から医療の未来を変える新しい繋がりが生まれることを確信している」と述べた。

連日にわたりにぎわった展示会場

このあと、本田大会長、深柄理事長、林正晃事業体部会長の3人がテープカットを行いメディカルショーは開幕した。

連日にわたりにぎわった展示会場

会場では最新の超音波洗浄機、高圧蒸気滅菌装置、手術台、マイクロサージェリー器具、保育器、LEDヘッドライト、再製造ステラブル電極カテーテル、吸引器――などの医療機器が紹介された。各ブースでは展示製品のデモンストレーションが繰り広げられ、多くの来場者が集まり、熱気に包まれた。

医療機器イノベを再定義
大会長企画で医・工・商が共創

「大会長企画1」で討論する(右から)中川教授、山谷次長、伊藤副院長、本田大会長

第101回日本医療機器学会大会の2日目に「大会長企画1」として、『医療機器イノベーションの再定義:医・工・商の壁を壊す〝価値〟の共創』をテーマに、東北大学病院の中川敦寛教授が座長となり、量子医科学研究所先進核医学基盤研究部の山谷泰賀次長、国立がん研究センター東病院の伊藤雅昭副院長、本田大会長の3氏が講演したあと、討論を行った。

講演で山谷次長は「私は物理工学の研究者でPET装置と検査薬の開発を専門に行っており、医工連携の中で医工学のやるべきことは何か、を考えてきた。PET装置の開発には様々な課題があり、現在の日本のPET装置の国産シェアは10%しかなく、90%は輸入している。そのような現状の中、医工学のマインドセットは〝本質を見抜いて本気でやる〟ことだと思う」と語った。

次に、伊藤副院長は「医療機器開発は成長産業だが、日本の中では市場規模が低いのが現状だ。開発はエッジの効いたスタートアップが担うべきで、海外展開が重要になる。その中で日本の勝ち筋は技術力にあると考えている。アカデミアの立場でいうと手術のうまさや、内視鏡のうまさ、放射線治療の手先の器用さなど海外にない技術の高さをインクルード(組み込む)した医療機器を開発し海外展開していただきたい」と述べた。

最後に、本田大会長は「弊社(ニチオン)は1911年の創業以来、耳鼻咽喉科のパイオニアとして外科手術の発展と共に歩んできた。どれだけデジタル技術が進化しても数値化できない領域があり、それは器具を通じて術者の指先に伝わる感覚のフィードバックで、器具の先端からの手応えこそが治療のカギを握る。弊社の音叉技術を応用し、質量と剛性を最適化した設計こそが数値化できない、術者自らが指で触っているような手応えを生み出している」とその技術力をアピールした。

また、開発した製品を海外展開する際の4つのアプローチとして、①導入後の現場の未来を語る②先生方の臨床への志を軸にしたマインドを巻き込む③完成までの泥臭いネガティブを届ける④医療経済の面から三方良しのロジックで支える――を列挙。「共感力と商人力により、日本の優れた医療機器を世界に届けるラストワンマイルが完成する」と結んだ。

新年度事業計画・予算を承認
「2026年定時総会」を開催

「2026年定時総会」での審議の模様

日本医療機器学会(理事長=深柄和彦氏)は、第101回日本医療機器学会大会の初日6月4日午後4時30分から、大会会場の幕張メッセ国際会議場で「2026年定時総会」を開催した。

開会に先立って司会の岩田事務局長が「出席代議員70名、委任状提出48名の118名により総会は成立している」と報告し、深柄理事長が議長となり議事の審議を行うこととなった。

深柄理事長

開会にあたり深柄理事長は「本大会はこれまでパシフィコ横浜での開催でしたので、久しぶりにここ幕張メッセに来て少し迷いました。雰囲気も普段の会議室と違うので少しドキドキしており、理事長として初めてのことなので粗相(そそう)があるかもしれませんが、なにとぞ大目に見てください」とあいさつした。

議事進行に先駆けて昨年10月に逝去した代議員の諸平秀樹氏に追悼の意を表し黙祷した。諸平氏は理事として、また2006年から07年にかけて副理事長を務め、MDICの認定制度創設に中心的な役割を果たし、学会の発展に多大な貢献を果たした。

報告事項を終えたところで、議事録署名人に酒井順哉、田中和義の両氏を指名し議事審議に入った。

議事は2025年度事業報告・決算報告、青木健雄監事による監査報告、担当理事による2026年度事業計画と損益予算が上程され、いずれも原案通り可決承認された。

次期大会は2027年6月24~26日、横浜で

中島次期大会長

また、来年開催の第102回日本医療機器学会大会の大会長を務める中島章夫氏(杏林大学保健学部臨床工学科教授)は「今大会のプログラム委員長を拝命し、その関連から、第102回大会のテーマは『医療機器学シンカ―深化・進化・真価』(深化する学び、進化する技術、真価を問う医療機器学)とし、会期は2027年6月24日㈭・25日㈮・26日㈯の3日間で、神奈川県のパシフィコ横浜で開催する」と発表した。

このあと、2025年度褒賞者表彰式を行い、今回は論文賞のみで「磁性物質による管路閉塞率の制御に関する基礎的検討と体外循環技術訓練への適用に向けての検討」の小幡大輔氏ほか3名に表彰状と金一封が深柄理事長より手渡された。