「骨太の方針」に向け提言【AMDD】
イノベーション推進と質の高い医療提供へ
米国医療機器・IVD工業会(会長=森川智之氏、AMDD)は、日本の医療体制のさらなる充実とイノベーションを推進するために官民一体となって取り組むことを目指し、本年度の「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針)」に向けて5つの提言を行った。
提言したのは、①インフレ等の外部環境の変化に応じた医療機器・IVDの柔軟な保険償還価格の検討②日本におけるデバイスラグ・デバイスロス解消に向けた薬事規制の国際整合の推進③医療機関の業務効率化および医療従事者の負担軽減に資するデジタルヘルス技術の導入促進④国民が医療機器・IVDによる診断・治療に関する正しい情報にアクセスできる仕組みの整備⑤官民連携による医療データの二次利用促進と医療機器・IVD識別情報を含むデータベース連携の推進――の5事項。
①のインフレ等の外部環境の変化に応じた医療機器・IVDの柔軟な保険償還価格の検討では、今回の診療報酬改定で医療機関の購入価格が償還価格を上回る、いわゆる「逆ザヤ」への対応として、一定条件の下、償還価格を引き上げる対応を評価した上で、物価上昇や為替変動にともなう製品コスト増に対応するため、材料価格の適正かつ柔軟な引き上げを今後も確実に実施すること求めた。
薬事規制の国際整合性の確保を
②の日本におけるデバイスラグ・デバイスロス解消に向けた薬事規制の国際整合の推進では、背景として▽日本の審査当局は他国で求められない臨床試験の実施を要求することがあり、こうした追加的な臨床試験が開発コストや開発期間を増大させ、日本市場への導入を遅延させ、その結果、デバイスラグ・ロスとなっている▽医療の質の向上と健康寿命の延伸に向けて、薬事規制の国際整合性を確保する必要がある――などを踏まえ、薬事規制(審査要件やリアルワールドデータの信頼性保証の考え方など)の国際整合性の確保を要望した。
また、日本で治験・臨床試験を実施する場合、その目的と試験の種類によって適用される法律や規制が異なり、それぞれの法規制に沿った別々の倫理委員会の立ち上げや個々の煩雑な手続きなどが大きな負担になっていることから、日本における医療機器・IVD開発の活性化に向けた治験・臨床試験に関するプロセスの共通化を提案した。
③の医療機関の業務効率化および医療従事者の負担軽減に資するデジタルヘルス技術の導入促進では、2025年度補正予算や26年度診療報酬改定により、デジタルヘルス技術の導入による医療機関の業務効率化や医療者の負担軽減が図れたことから、今後もこうした方向での施策のさらなる継続・拡大を進言した。さらに、どのようなデジタルヘルス技術が生産性向上に資するかについて実証研究の推進を要望した。
国民のヘルスリテラシー向上へ
④の国民が医療機器・IVDによる診断・治療に関する正しい情報にアクセスできる仕組みの整備では、現在、診断や治療に用いられる医療機器・IVDを患者とその家族が自ら選択し、正しく活用するための情報に触れる機会は十分でない状況であることから、製造販売業者からの情報発出のルールを整理し、医療機器・IVDに関する正しい情報発信、国民のヘルスリテラシー向上に資する啓発活動の推進を具申した。
⑤の官民連携による医療データの二次利用促進と医療機器・IVD識別情報を含むデータベース連携の推進では、▽25年度の骨太の方針や規制改革実行計画における「デジタルヘルスの推進」事項の着実な実現▽医療機器・IVD製品の識別情報を含む医療データを利用した製品開発の推進・加速――に向けて、政府関係部門との課題や事例の共有を通じた官民の連携の強化を提言した。
【米国医療機器・IVD工業会(AMDD)について】
AMDDは主として米国に本社がある、または米国でビジネスを行う医療機器や体外診断用医薬品(IVD)を扱っている企業の日本法人など60数社によって構成される工業会。2009年に設立された。