年頭所感

乱世の時代を乗り切るには ―「人の健康」「企業の健康」そして「多様化」への対応―【一般社団法人日本医療機器工業会・会長・松本謙一】

新年明けましておめでとうございます。今年も良き一年であることを心から祈念します。

〈昨今の世相を憂う〉

WHO・テドロス事務局長(右)との懇談

ここ数年前迄は、これ程迄に天然自然の分野でも荒れ果ててはいなかったし、人の心も荒んではいなかったと思います。それがどうしたのでしょう。よく言われる「地球温暖化」は環境や生態系に大きな変化、否、被害をもたらしています。海水温の上昇で熱帯地域のサンゴが大量に死滅の危機に直面し、多くの動植物が絶滅の危機に直面していると言われます。日本でも有名な「瀬戸内カキ」の大量死も報じられています。

こうした事態は、我々人類も未来を見据えて「二酸化炭素の排出」を抑える等、人為的努力を最大限に重ねなくてはいけないでしょう。それこそ、「医療」の世界でも「R―SUD=単回使用医療機器の再製造」の推進が、「使用者・製造業者」の双方で、より積極的になされなければならないと思います。

更には、一昨年の米国ロスアンゼルスでの「山火事」に驚き、昨年は大分での大火災に肝を冷やしたのも束の間、死者数が百数十人にものぼったという香港高層火災など、過去には想像もつかなかった事象が次々と起り、日本での「南海トラフ」など、これ迄は考えられなかった恐怖感に襲われます。

政治の世界でも、これ迄の「ロシア・ウクライナ」「イスラエル・パレスチナ」での「人の殺し合い」等、もう本当に「やめて欲しい」と思わせられます。

こうした乱世の中で、我々は如何に生きていけばよいのでしょうか。

〈人の健康〉

今年も良い年でありますように!

昨今は「少子高齢化」の時代と言われますが、「長寿のお祝い」として「60歳=還暦」「70歳=古稀」「77歳=喜寿」「80歳=傘寿」「88歳=米寿」「90歳=卒寿」「99歳=白寿」「100歳=百寿」と言われますが、とりわけ、人手不足が深刻な課題とされる我が日本国では、如何でしょう。

昨年11月に、国立がん研究センターから「2015年までの4年間で、がんと診断された254万人余を分析し、5年後の生存率」が公表されました。「前立腺がん(男)」「皮膚がん(男女)」「甲状腺がん(男女)」「乳がん(女)」―が何れも約90%以上で、逆に、男女ともに低いのは「すい臓がん」で10%余でした。こうしたデータからも「がんの早期診断・早期治療」の重要度が今更、強く認識されます。

〈企業の健康〉

この課題を一般論で答えよ―と云うことであれば、財務諸表等を持ち出して論じなければならないでしょうが、それには紙面も限られています。従って、ヘルスケア産業下での「企業」としての教材・課題を考えるべきでしょう。

先ずは一般論のモデルとして、昨年の日経フォーラム・世界経営者会議での「J&J」社の『CEOホアキン・デュアト氏』の発言(要旨=昨年12月3日・日経)からすると以下の様になります。先ずタイトルは「健康への投資は経済に効果」とした上で「成長を続ける我々の秘訣は3つある。1つ目はヘルスケアに関して明確な目標を持つことだ。世界に蔓延する病気に対処する為に革新的なイノベーションをもたらすという明確な目標がある。2つ目は約80年前に書かれた『我が信条』という明確な原則がある。如何に意思決定し、行動すべきか優先順位を定め、常に患者を最優先としている。3つ目が我々は医療機器とバイオ医薬品の双方で強みを持ち、患者の治療過程の全体をカバー出来る唯一の企業であることだ。医療機器分野では心血管と眼科、外科に注力している。(中略)。そして此の分野では技術の進歩が大きな影響を及ぼすことから、手術領域で人工知能(AI)やロボティクス、自動化技術を取り込んでいる(以下略)。」流石に、140年の歴史と昨年の売上げが約14兆円という世界最大のヘルスケア企業のCEOだけあると思い、引用させて頂いた次第です。

PMDAワシントンD.C.事務所「開所式」
(石黒初代所長)

〈「多様化」への対応〉

①「医療機器の財政逼迫」改めて数字で示す迄もなく、昨今の情勢は厳しいものがあります。18兆円余の高市積極財政・補正予算の中のどれ程がヘルスケアに廻されるか定かではありませんが、マクロ的にはそろそろ混合診療ならぬ「自由診療」の考えどきかも知れません。ミクロ的には勿論、各企業の自主努力にほかなりませんが、「コンプライアンス」には呉々も気を配りましょう。

2025国際ロボット展にて

②「ディバイスロス」防衛の為にも、日本を含む世界各国で「審査承認」のこと等が云われますが、昨年9月10日、ワシントンD.C.での日本の「PMDA・米国事務所」開所式に私自身も祝辞を述べに出席した折にも色々痛感しました。

③同様の事は昨年8月の「TICAD(横浜開催)」出席後、アフリカ諸国への対応についても痛感していましたが、昨年12月、東京で武見敬三先生主催の「WHO・テドロス事務局長を囲む勉強会」に出席した折にも、発言の機会を得て意を強くしました。

④又、昨年12月に東京開催の「2025国際ロボット展」では、今更「人手不足とハイテク化」対応に苦慮する医療分野にとっても「ロボティクス化」は不可欠と痛感させられました。

⑤その他、如何程でもありますが、この辺で筆を置きます。

〈結びに〉

和をもって尊しとなす仕事始め(松本航太)

―以上―