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ヘルスケア部会「セミナー」開催【日本ウズベキスタン・シルクロード財団】

「ヘルスケア分野の連携」テーマに

「シルクロード・ビジネスセミナー」会場の様子

日本ウズベキスタン・シルクロード財団ヘルスケア部会(部会長=松本謙一氏)は、11月25日㈫午後3時から、東京・大手町のKKRホテル東京で「シルクロード・ビジネスセミナー」(テーマ=2025年~26年 日本とウズベキスタン共和国間のヘルスケア分野における連携やパートナーシップの展望)を開催した。

医療機器の3つのキーワードに言及

松本部会長

セミナーの開会にあたり、あいさつした松本部会長は、医療機器に関する3つのキーワード(①安定供給②医療DX③国際展開)を挙げ「3つのキーワードは昨今の社会情勢からしても非常に問題が多い。例えば安定供給ではアメリカのトランプ関税の問題や、医療機器の大事な要素を占めるレアメタルの問題など、米中間のみならず、国際間で色んな軋轢(あつれき)を生んでいる。医療DXでは電子カルテひとつ取っても、現在の医療機関の財政ひっ迫状況からすると導入するのも大変な時代となっている。国際展開ではロシア・ウクライナやイスラエル・パレスチナの問題などがあり、私自身が今年、欧米に参りまして世界の経済、政治が非常に揺れていることを如実に痛感してきた」と医療機器産業は社会情勢の影響で問題が山積していることを憂慮した。

医療機器の更新年数が伸びている問題にふれては「医療機関の財政状況が厳しいこともあり、高額医療機器ほど更新年数が伸びている。更新年数が10年だとしても12~15年ほど使用されていることも多い。いずれにしても経済的にもコストをいかに削減するかが大事だ」と述べた。

R―SUDの普及でコスト削減へ

コスト削減につながる活動として、R―SUD(単回使用医療機器再製造)に言及しては「米国ではR―SUDが普及しており年間数千億円のコスト削減になっている。日本では単価10~20万円の医療材料でも1回使うと捨ててします。ドクターやナースからももったいない、という声が出ていることや、コスト削減を考えていく必要性から、7年前に単回使用医療機器再製造推進協議会(JRSA)を設立した。7年が経過したが日本でR―SUDは残念ながら10数品目の承認しか得られていない。世界的にR―SUDが普及していけばコスト削減だけでなく、二酸化炭素の排出、地球温暖化などの問題の解決にもつながる」とR―SUDの普及を呼びかけた。

講師らが各専門分野の動向解説

このあと、ビジネスセミナーでは経済産業省通商政策局ロシア・中央アジア・コーカサス室の石井秀彦室長が「中央アジア・コーカサス地域等との経済協力関係の深化に向けた取り組み」、厚生労働省医政局総務課医療国際展開推進室の高山研室長が「厚生労働省の医療機器の海外展開に向けた取り組み」、国際協力機構東・中央アジア部中央アジア・コーカサス課の園山由香企画役が「ウズベキスタン共和国に対する保健医療分野でのJICAの協力方針」、ジェトロ海外展開支援部フロンティア開拓課の北條恵理課長代理が「ICT WEEK UZBEKISTAN2025 ジャパンパビリオン実施報告」、君津中央病院循環器科の石村昌之医師が「医療機器の最新動向~医療費の抑制、病院経営改善のために不整脈医ができること」をそれぞれテーマに、講師らが各専門領域の最新動向や方向性について講演した。

日本のヘルスケア産業の国際化支援

石井室長

このうち、経済産業省の石井室長は、ヘルスケア産業国際展開推進事業費補助金について「日本の医療・介護・ヘルスケア産業の海外展開を支援することを目的に実施している。その内容としては実証調査などにかかる人件費、旅費、機器リース・レンタル料などの補助(補助率:大企業3分の1、中小企業3分の2)をしている」と説明した。

具体的な実証調査の内容に関しては、▽現地に日本製医療・介護関連機器やサービスを持ち込み、マネタイズ手法の検証実施▽事業実施体制の構築▽日本人医師を現地に派遣し日本製医療機器を用いた現地スタッフへのトレーニングの実施――などを列挙した。

医薬品・医療機器の国際展開を促進

高山室長

また、厚生労働省の高山室長は、国際機関の調達枠組みを活用した医薬品・医療機器産業等の海外展開促進・調査事業にふれ「国連などが実施する国際公共調達は、日本企業が新興国・途上国へ展開する一手となるが、情報やノウハウの欠如により活用が低調なことから、日本企業の国際公共調達の参入促進を図るため、同海外展開促進・調査事業を実施している」と解説した。

その事業内容の具体例を挙げては、▽WHO・ユニシスを中心とする各国際機関の窓口・調達プロセスの把握、キーパーソンとの関係構築▽調達プロセスや手続きなどに関する日本企業へのタイムリーな情報提供・有望シーズの発掘▽国際公共調達や途上国市場に明るい有識者をスーパーバイザーとして招へいし実効性のある日本企業への伴走支援――などを説いた。