「メディカルクリエーションふくしま2025」開催
医療機器開発の技術力アピール
269の企業・団体出展、会期中4369名来場
東日本最大級の医療機器設計・製造展示会である「メディカルクリエーションふくしま2025」は、10月29日㈬・30日㈭の2日間、福島県郡山市のビッグパレットふくしまで開催された。21回目の今回は269の企業や大学、研究機関などが出展。会期中、4,369名が来場し、終日にわたりにぎわいをみせた。
福島県は全国有数の医療機器生産県

メディカルクリエーションふくしま2025の開会式は、29日午前9時35分から、展示ホール内メインステージで行われた。主催者を代表して、あいさつした福島県の佐藤宏隆副知事が内堀雅雄知事のあいさつを代読し「福島県は全国有数の医療機器生産県であり、医療用機械器具の部品などの出荷金額が14年連続で全国第1位を達成している。県では医療機器の開発から事業化までを一体的に支援する拠点であるふくしま医療機器開発支援センターを核として、多くの企業、団体の皆さまとの交流の輪を広げ関連企業の立地や県外企業の振興促進などさまざまな施策に取り組んでいる。その取り組みの柱となる本展示会は全国有数の展示商談会として定着している。今年は昨年を上回る269の企業・団体に出展いただき、本展示会に対する皆さまの期待を強く感じる。本展示会を契機に新たなビジネスの展開につなげていただきたい」と展示会の成功を祈念した。
明るい未来に向け業界挙げて努力を

次いで、来賓を代表してあいさつに立った日本医療機器工業会の松本謙一会長は、医療機器の3つのキーワード(①安定供給②医療DX③国際展開)に言及し「安定供給は医薬品も同じですが、人材不足や資材不足など多くの問題があるなか対応していかなければならない。医療DXはスタートアップ企業も含めて産官学で新しいテクノロジーを医療の中に取り入れることが世界中で進められている。国際展開は日本では新内閣が誕生し、トランプ大統領が来日するなど新しい動きが起こっており、今後は関税1つとっても何が起こるかわからない状況だが、明るい未来へ向け業界を挙げて努力していくことが大切だ」と呼びかけた。
メドテックコミュニティとして進化

さらに、日本医療機器テクノロジー協会の宮田昌彦会長は「ここ福島は全国有数の医療機器産業県として、産官学が一体となった次世代医療産業集積プロジェクトを推進し、研究開発から事業化までシームレスな支援体制を築いてこられた。その結果、今展示会には270社に及ぶ企業・団体が出展している。今展示会は見本市に留まることなく、医療現場のニーズとモノづくりを結ぶメドテックコミュニティとして進化していると聞いている。ご来場の皆さまには各ブースに積極的に足を運んでいただき、皆さまの業務における課題解決に向けマッチングしていただければと思う」と述べた。

ここで、佐藤副知事と松本会長、宮田会長、福島県議会の山田平四郎副議長、厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課医療機器政策室の南川一夫室長、経済産業省医療・福祉機器産業室の大石知広室長、日本医療機器学会の深柄和彦理事長、福島県医療福祉機器産業協議会の高山慎也会長、ふくしま医療機器産業推進機構の菊地眞理事長、郡山市の齊藤紀明副市長――の10名がテープカットを行い、メディカルクリエーションふくしま2025は開幕した。
設計から開発委託まで紹介
新しい技術を開発した企業など表彰

開幕した会場では全国から多くの医療機器メーカーや、モノづくり企業、研究機関などが出展し、医療機器の設計から試作、製造、開発委託(CDMO)に至るまで、各社自慢の技術やサービスを紹介した。

来場者らは医療機器開発における課題解決や、医療現場における課題解決など、それぞれの業務に役立つ技術を求め、会場を見て回り、各ブースの担当者とコミュニケーションを図っていた。
会期中には医療機器産業界における最新の話題や人材育成をテーマにした各種セミナーが開催され、最新情報を提供した。
併催イベントとしては、医療機器関連分野の新しい技術開発や販路拡大を目指す企業を表彰する「第14回メディカルクリエーションふくしま大賞(MCF大賞)」と、学生による医療・介護・病気の予防などを支える医療機器開発のアイデアを表彰する「第6回医療創生アイデアコンテスト」の受賞者(下記参照)を決定、それぞれ表彰した。
【第14回メディカルクリエーションふくしま大賞受賞者】
⦿MCF大賞=住田光学ガラス「ブレンドファイバー照明」
⦿優秀賞=ダイヤ精機製作所「狭く深い患部でも安定した縫合を可能にする革新的な持針器の開発」▽ニッセイ「世界初!自由度の高い動きが可能な金属製球状歯車」
⦿特別賞=ケイ・エス・エム「設計開発力×精密切削加工で挑む心臓手術支援の最前線」
【第6回医療創生アイデアコンテスト受賞者】
⦿文部科学大臣賞=ゆうと(香川大学)「手指ジェスチャーで操作可能なウェアラブル電気式人工喉頭melomo」
⦿優秀賞・特別賞(ダブル受賞)=瀬川実桜(筑波大学)「Bottleisure(ボトレジャー)」
⦿優秀賞=PeaceCorazon(愛媛大学)「命を救うハンカチ」
⦿入賞=いとうゆうき(横浜市立大学)「AEDダンボールシミュレータ」▽ノン(福島県立テクノアカデミー郡山)「目守(メモリー)」▽MyEndoscope(東京大学大学院)「指導医AI・ゲーミケーション機能を搭載した携帯型内視鏡トレーニング」