再生医療支える技術開発【アルゴヴィジョンテクノロジズ】
細胞を傷つけない『注射針』

アルゴヴィジョンテクノロジズ(社長=立花昇一氏、京都府相楽郡)は同社の主力製品である流体研磨装置を活用し、再生医療で使用される注射針の内面を滑らかに研磨する新技術を開発した。これにより、細胞を直接患者の体内に届ける際に課題となっていた「注射針内での細胞損傷リスク」を軽減できる可能性があり、再生医療の実用化をさらに加速させることが期待されている。
再生医療では心筋梗塞や脊髄損傷、難治性疾患の治療に、患者自身の細胞や培養細胞を体内に戻す細胞移植が行われる。
しかし、従来の注射針の内面には微細な凹凸が残っており、細胞が通過する際に摩擦や圧力で傷ついてしまうことが課題となっている。これにより、治療に用いる大切な細胞の生存率が低下し、治療効果に影響する可能性が指摘されている。
開発した流体研磨装置技術は、水と研磨材を混ぜた流体を注射針の内面に循環させ、ナノレベルの凹凸まで均一に磨き上げることができる。
流体研磨した注射針のメリットは、▽内面が鏡面のように滑らかになり摩擦を大幅に低減▽細胞の生存率を高め治療効果の向上に寄与▽医療機関が求める高品質で安定した針の供給が可能――など。
イメージとしてはザラザラした管ではなく、ガラスのように磨かれた管を細胞が通ることで、ダメージを受けにくくなる。
新技術の開発にあたり、立花社長は「私たちの流体研磨技術はこれまで自動車や精密部品といった産業分野で培ってきた。同じ技術が〝命をつなぐ針〟に応用できることは大きな喜びで、再生医療を支える一助になれるよう、技術開発を続けていく」とコメントしている。