業界団体

HOYAテクノに「厳重警告」【医療機器公取協】

医療機器公正競争規約の違反で

記者会見を行う(左から)齋藤隆明専務理事、関尾順一顧問、後藤秀郷氏、津藤保事務局長

医療機器業公正取引協議会(会長=松本謙一氏)は、6月30日㈪午後2時から、東京・東日本橋の事務局内で「記者会見」を開き、昨年、贈賄容疑で逮捕者を出したHOYA Technosurgical(社長=後藤哲一氏)に対し、公正競争規約を違反したとして「厳重警告」を同日付けで行ったことを発表した。

警視庁捜査2課は2024年4月19日、東京労災病院の医療機器調達をめぐり、業者に便宜を図った見返りに現金50万円を受け取ったとして、同病院の整形外科副部長の医師を収賄容疑で逮捕。また、HOYA Technosurgical(以下「HOYAテクノ」)の営業部長と営業部社員の2名を贈賄容疑で逮捕した。

これを受け、HOYAテクノは第三者調査委員会を設置して報告書を医療機器業公正取引協議会に提出した。これをもとに同協議会が調査を進め、今回の厳重警告の措置となった。

HOYAテクノの公正競争規約違反の行為は、遅くとも2018年6月以降、東京労災病院整形外科医のX医師と、元東京労災病院整形外科医のY医師(現在は民間医療機関に勤務)に対し、HOYAテクノの骨接合材料、骨補填材料などの製品を手術に使用するというインセンティブを高めるために、HOYAテクノ製品を使用するごとにポイントを付与し、蓄積したポイントに応じて飲食の供応接待および現金を提供するいわゆる「ポイント制」を導入していた。

ポイント制はHOYAテクノがX医師やY医師からの求めに応じて飲食店などで供応接待し、その費用をHOYAテクノが全額負担する場合と、両医師がそれぞれプライベートで飲食した際の領収書をHOYAテクノが受領し、その引き換えに領収書の金額相当の現金を両医師に提供する場合があったが、いずれの場合もHOYAテクノが負担した金額を1万円につき1ポイントに換算し、同換算ポイントを両医師の蓄積ポイントから消費していた。

HOYAテクノがポイント制により、両医師に提出した供応接待と現金の総額は18年から23年までの間で45件、322万円であった。なお、45件のうち42件が両医師からの領収書と引き換えに現金を提供したケースだった。

HOYAテクノが両医師に対する供応接待と現金の提供を実施した結果、両医師が所属する東京労災病院に対するHOYAテクノ製品の売り上げは、実施前はわずかであったが、実施後は急激に増加し、その後も継続して売り上げを維持していた。

また、同時期にHOYAテクノはポイント制以外の方法で、その他の取引先医療機関の医師に対し、HOYAテクノ製品を使用した見返りに供応接待や現金の提供を実施していた。これらの医師に対する供応接待は、通常の営業活動における飲食店とは異なるバーやクラブなどの店を利用したり、2次会、3次会までも実施していたケースもあった。

ポイント制以外の方法で提供した供応接待と現金の総額は、18年から23年までの期間で医療機関41施設に所属する医師130名に対し、116件、905万円であった。

同協議会はこうした行為は、いずれもHOYAテクノ製品を使用した見返りとしての供応接待と現金の提供にあたり、これは自社製品の医療機器の選択・購入を不当に誘引する手段として行われていたことから、不当な景品類の提供に該当し、公正競争規約に違反すると判断し、厳重警告の措置を行った。

これを受け、HOYAテクノは今後、同様の行為を行わない旨の誓約書および1年後の再発防止策の改善状況報告書を提出することになっている。