ウズベキスタンでの遠隔医療の可能性探る
日本ウズベキスタン・シルクロード財団ヘルスケア部会が「セミナー」開催
日本ウズベキスタン・シルクロード財団ヘルスケア部会(部会長=松本謙一氏)は海外医療機器技術協力会(OMETA)と共催して、10月5日㈭午後3時から、東京・大手町のKKRホテル東京で『ウズベキスタンでの遠隔医療(テレメディスン)開発の可能性を探る』をテーマに「シルクロード・ビジネスセミナー」を開催した。
新興国の医療機器に安定使用環境を
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セミナーは開会にあたり、同財団のバヒリディノフ・マンスール代表理事が「今年はウズベキスタンと日本の外交関係25周年にあたる。このような節目の時に、多くの皆さまがセミナーに参加していただいたことに感謝申し上げる」と述べ、開会した。
ここで、来賓を代表して外務省欧州局中央アジア・コーカサス室の田口精一郎室長が「日本と中央アジア各国との保健衛生分野での協力関係は、一昨年の安倍総理の中央アジア歴訪の際の各国との合意事項でもある。外務省としても中央アジア各国との経済協力をさまざまな形で図るなかで、ウズベキスタンとも協力関係を持つべく取り組んでいければと考えている」と語った。
次いで、経済産業省ヘルスケア産業課国際展開推進室の長田かおり課長補佐は「日本の医療機器メーカーは新興国など、支店がない国々にも輸出されていると思うが、現地ではメンテナンスやアフターサービスなどの要望は非常に多い。ぜひ輸出後も現地の医療従事者が安定的に使用できる環境を作っていただきたい。また、医療の国際展開を望む日本の医療機関関係者とタッグを組み、現地での病院建設・運営などにも取り組んでいただきたい」と述べた。
デジタルシルクロードの構築を提案
このあと、セミナーでは国際医療福祉大学大学院の長村義之特任教授が『テレパソロジー(遠隔病理診断)の展開について』、旭川医科大学の吉田晃敏学長(ビデオ出演)が『旭川医科大学が取り組む国際間の遠隔医療』、駐日ウズベキスタン共和国大使館のフルシド・ハイダロフ貿易担当参事官が『ウズベキスタン共和国の経済ポテンシャル』――をテーマにそれぞれ講演した。
このうち、長村特任教授は「ウズベキスタン国内ではテレパソロジーがかなり浸透しているが、まだ静止画だけを利用していると思われる。首都タシュケントに専門家(病理医)がいて、地方の病理医をサポート(月に100件ほど)して病理診断の精度を上げている」ウズベキスタンのテレパソロジーの現状を報告した。
これを踏まえ、長村特任教授は『デジタルシルクロード』の構築を提案した。「日本とウズベキスタンをデジタルシルクロードで結べば、日本の優れた遠隔病理診断による医療支援が可能となる。遠隔病理診断は標本を作り、それをデジタル化し、ネットワークを介して診断する。これら一連の作業は日本の最先端の製品で可能となる。また、実際の遠隔病理診断は国際医療福祉大学の遠隔画像診断センターがサポートできる」とし、医工連携で日本の医療技術を世界に売り込んでいくことを提案した。