「JASIS2024」連日賑わう【JAIMA、JSIA】
昨年より5,803人増の21,918人来場
日本分析機器工業会(会長=足立正之氏、JAIMA)と日本科学機器協会(会長=長谷川壽一氏、JSIA)は、9月4日㈬~6日㈮の3日間を会期に、千葉県の幕張メッセ国際展示場で、最先端科学・分析システム&ソリューション展「JASIS2024」を開催した。今年は昨年より62社増の407社(1,214小間)が出展し、来場者数も3日間合計で昨年より5,803人増の2万1,918人となり、会場は連日にわたりにぎわいをみせた。
407社が出展、各種セミナー実施
JASIS2024の開会式は4日午前9時40分から、幕張メッセ国際展示場7ホール奥に設置された「JASISスクエアステージA」で開催された。
開会にあたり、あいさつしたJAIMAの足立会長は「JASIS2024は昨年に引き続き『Come・Touch・JASIS』を合言葉に、来場者の皆さまのご要望に応えるべく、より一層のリアル展示への意識を高め出展社の皆さまとともに準備を進めてきた。本日から3日間、400におよぶ企業・機関が分析計測機器などを展示するほか、約380件の新技術説明会やセミナー、講演会を開催する」とし、実り多き展示会になることを祈念した。
今回の新企画については「研究者、分析機器ユーザー、メーカーの方々などのネットワーク構築を目的とした『JASISコラボレーション』や、業界の人材育成に特化した『JASISスクール』、大学発ベンチャーと分析科学機器産業の融合を目指した『スタートアップコーナー』を立ち上げた」と説明した。
Web企画のJASISウェブエキスポにふれては「いつでもどこからでもアクセス可能な情報発信サイトとして好評をいただいている。今年はJASISオフィシャルサイトと結合し、より一層のアクセス向上を目指している」と紹介した。
研究開発支援で科学技術の発展めざす
次いで、JSIAの長谷川会長は政府が6月に閣議決定した『経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)』に言及し「デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーントランスフォーメーション(GX)、エネルギー安全保障に加え、科学技術の振興、イノベーションの促進を進めていくことが強調されている。科学技術イノベーション力を強化するには研究開発の成果を迅速に社会実装していくことが欠かせない。国際競争が一段と激しくなるなかで、世界で戦える人材を育成し、オープンイノベーションを活発にする共創の場を創出していくことが一層求められていると感じている」との考えを示した。
JASISの特徴にふれては「JASISは最新の科学機器や分析機器に関する情報発信拠点で、あらゆる領域の研究開発や生産技術の支援を通じて社会課題を解決し、科学技術の発展と産業の活性化を目指している。重要な社会課題としてのDXをはじめライフサイエンス、環境、食品などのトピックスにも注目し諸企画を展開している」と述べた。
これを踏まえ「出展企業や来場の皆さまには、JASIS開催の意義にご理解とご協力をお願いするとともに、最先端の機器に触れて理解をより深め、皆さまのビジネス機会の拡大や技術力の向上にお役立ていただきたい」と呼びかけた。
分析・科学機器の役割は益々重要に
このあと、来賓を代表して、経済産業省の田中一成大臣官房審議官は「分析・科学機器はあらゆる産業の研究開発、製造、品質管理などになくてはならないわが国の科学、産業の発展基盤で、コロナ禍を経て経済社会の対応が大きく変化した昨今、分析・科学機器の役割はますます重要になっている。その証左として、直近の2023年度は分析・科学機器の生産・輸出とも過去最高を記録している」と分析・科学機器の重要性を語った。
また、DXへの取り組みに関しては「分析・科学機器業界では新素材、新製品の開発促進を見据え、複数の分析機器間でデータ形式の標準化に取り組まれ、5月には国内標準として公示され、さらに国際標準化に向けて取り組みを進めていると聞いている。こうした取り組みは、製造業の開発・製造に革新をもたらすものであり、経産省としても期待し、力いっぱい支援させていただきたい」と分析・科学機器の一層の発展に期待した。
ここで、田中大臣官房審議官と文部科学省の高谷浩樹大臣官房審議官、日本分析化学会の山本博之会長、米国大使館商務部のダニエル・ルー上席商務官、足立会長、長谷川会長――の6人がテープカットを行い、JASIS2024は開幕した。
JASIS2024は幕張メッセ国際展示場の計4ホール(昨年は3ホール)を使い、分析・科学機器および関連製品・技術の実機展示や実機によるデモンストレーションを繰り広げた。来場者らは自身の研究開発、製造、品質管理などの業務に役立つ分析・科学機器を求め、各ブースを見て回り、分析・科学機器の最新情報を収集していた。
新企画の「JASISコラボレーション」では、主催団体のJAIMA、JSIAと協力団体(英国王立化学会、日本学術振興会R053委員会など)と連携して講演会・セミナーを実施した。「JASISスクール」では、学生、科学・分析業界の初心者のみならず、業界で働く人も学び直しができる人材育成セミナーを実施した。「スタートアップコーナー」では、大学発ベンチャー10社が出展し、各社一押しの製品を紹介した。
そのほか、恒例の出展各社が新製品・新技術を紹介する「新技術説明会」や、分析・科学機器業界が注目するDX、先端材料、環境関連など社会課題にともなう題材を有識者が講演する「トピックスセミナー」などが行われ、最新情報を提供した。
一方、10月31日㈭17時まで開催している「JASISウェブエキスポ」は、過去最高の227社が出展し最新の分析・科学機器を紹介しているほか、人気の新技術説明会やトピックスセミナーの動画を配信している。
なお、次回「JASIS2025」は、2025年9月3日㈬~5日㈮の3日間を会期に、幕張メッセ国際展示場で開催される。