「画像医療産業ビジョン」策定【JIRA】
2030年に向け産業の強化、発展めざす
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日本画像医療システム工業会(会長=山本章雄氏、JIRA)は、運営する「国際医用画像総合展(ITEM2024)」の初日4月12日㈮午前11時30分から、展会場のパシフィコ横浜の会議室で「記者会見」を開催した。会見では山本会長から『JIRA画像医療システム産業ビジョン2030』が発表された。
JIRAは2019年に「JIRA画像医療システム産業ビジョン2025」を発表してから5年が経過し、世界的に画像医療システム産業を取り巻く環境が大きく変化したことを踏まえ、2030年に向けた社会環境の変化や、その時の医療の姿を想定し、それを支えるJIRA産業として重要と思われる活動を産業ビジョン2030として策定した。
5年間で変化した環境変化としては、▽世界市場の継続的拡大と国内市場の成長率の純化▽経済安全保障の重要性の顕在化▽生産年齢人口比率減少問題の進行▽センサー、データ活用技術の加速度的な進展▽環境、サイバーセキュリティリスクの深刻化▽社会変化に対する日本市場の適応――を挙げている。
2030年の医療を想定し5ビジョン示す
想定する2030年の医療の姿については▽予防・診断・治療・介護データの国民皆保険、保険外でのシームレスなアクセスが実現▽新規技術の創出により医療の質が向上、診療ワークフローが変化▽個々の患者の状況に即した効率的な医療の提供・享受(プレシジョン・メディシン)▽心身機能の低下を補う新しい医療の提供(ロボット、iPS細胞など)▽医療提供側の業務効率が加速――などの変化を予測した。
これを踏まえ、2030年に向け、5つのビジョンとして、①JIRA産業の振興と関連領域との連携強化②データが変える医療の実現に向けた環境整備③医療機器に即した法規制、保険制度の実現④グローバル市場での競争力の強化⑤持続可能な医療を提供する産業構築――を掲げ、活動を展開していく。
産業の振興と関連領域との連携強化
具体的に、①の「JIRA産業の振興と関連領域との連携強化」では、⑴社会の変化に適応した画像診断・治療などの技術探求とその早期社会実装に向けた環境作り⑵社会実装後の普及に向けた課題解決⑶関連団体、行政機関、新たな医療産業分野とのより積極的な協働――に取り組んでいく。
②の「データが変える医療の実現に向けた環境整備」では、⑴データ収集・利活用のための業界側が抱える課題(法規制、国民の理解など)とその解決案の提案と推進⑵許認可手続きの簡素化、迅速化に向けた関係省庁との協議継続とその手続きの早期実現⑶AIの特徴を活かした運用(製造販売業者による市場稼働結果を活用した迅速なバージョンアップ、スクリーニングなどでの医療業務の効率化への貢献)を実現するための環境整備――を促進していく。
③の「医療機器に即した法規制、保険制度の実現」では、⑴医薬品と独立した医療機器法の実現も視野に入れた市販前審査期間の短縮と基準の最適化⑵医療の効率化や行動変容、健康増進につながる評価など医療機器の製品化に対して予見性のある診療報酬制度の整備⑶非医療機器とは異なる医療機器の有効性の国民への周知と公正な競争環境の整備――を実施していく。
グローバル市場での競争力の強化へ
④の「グローバル市場での競争力の強化」では、⑴グローバルな競争に不利益が生じないように国際整合(法規、標準化など)や国内外の規制の公平性の確保を官民一体となって実施⑵官民の人材交流の活性化によるグローバルビジネスに貢献できる双方の人材を育成――を推進していく。
⑤の「持続可能な医療を提供する産業構築」では、⑴医療機関における医療機器のサイバーセキュリティ対応に必要な仕組み整備、運用の支援⑵自然災害やパンデミックなどの緊急時の環境にも稼働を維持できる製品・部材の実現⑶脱炭素社会、循環型社会の実現に向けた取り組みによるSDGsへの貢献――を進めていく。
産業ビジョン2030の策定にあたり、山本会長は「この産業ビジョン2030を全ての関係者に示し、理解・共有いただくことにより、JIRAの工業会活動の方向付けと活性化を図り、産業のさらなる強化・発展を目指します」と述べている。