「クラウド内視鏡システム」実現へ【NTT、オリンパス】
共同で実証実験を開始
日本電信電話(社長=島田明氏、東京都千代田区、NTT)とオリンパス(社長=シュテファン・カウフマン氏、東京都八王子市)は共同で、内視鏡の映像処理機能をクラウド上で実現するクラウド内視鏡システムの実証実験を開始した。
クラウド内視鏡システムはオリンパスの内視鏡に対する高度な技術を活用し、内視鏡装置内で処理されてきた映像処理を遠隔地に設置されたクラウド上で実施するシステム。従来のネットワーク技術では実現が困難だったが、NTTの「IOWN・APN技術」を活用して、クラウド上でのリアルタイム映像処理を実現させる。
現在の内視鏡は内視鏡内ですべての機能を処理しており、性能限界やメンテナンス性が課題となっている。また、リアルタイムでの遠隔診断や治療の実現など新たなユーザーニーズに基づく柔軟な機能改善やアップデートが必要になる場面が増えることが予想されていることから、映像処理など処理負荷の高い一部の機能をクラウド上で分担する〝内視鏡のクラウド化〟が求められている。
実証実験では実際の内視鏡とGPU(画像処理装置)サーバをIOWN・APNで接続した実験環境を構築し、それを起点に高速低遅延を実現する光伝送パスで内視鏡とクラウドを模擬したサーバを接続することで、クラウド化にともなう処理の遅延が発生しないことの検証を行う。
さらに、ネットワーク障害時のフォールバックなどを含め、医療機器に求められる高い信頼性、可用性をシステム全体として実現できるかを検証する。
そのほか、量子計算機でも攻撃が困難なセキュア光トランスポートネットワーク技術を用いて内視鏡とクラウド間を暗号化することで、情報のセキュリティが確保できるかを検証する。
実験終了後、両社は実証で得た知見をもとに、クラウド内視鏡システムのビジネス化に向けた検討を共同で進める。NTTは医療機器をクラウド化する際の諸技術課題を解決する医療機器向けネットワークのリファレンスモデルを確立させる。オリンパスはクラウド内視鏡システムなどの最適なネットワークやリファレンスモデルを確立させる。