年頭所感 「甲辰(きのえたつ)」の年、新出発、新たな成功の年…【 商工組合 日本医療機器協会・理事長・中島孝夫】
謹んで新春のお慶びを申し上げます。本年も皆様方のご指導、ご協力を賜りたく、何卒、宜しくお願い申し上げます。
本年は、「辰年」ですが、十干が「甲(きのえ)」、十二支が「辰」の年にあたるので、干支は「甲辰(きのえたつ)」になります。「甲」とは生命や物事の始まりを意味し、「辰」は十二支の中では唯一の架空の生き物、龍(竜)を意味します。水や海の神として祀られた龍は、竜巻や雷などの自然現象を起こす大自然の躍動を象徴するものであり、「龍が現れるとめでたいことが起こる」と伝えられてきました。だが、昨今は竜巻による甚大な被害を受けています。龍をなだめて異常気象を起こさない静かな天候を願うものです。
ともあれ、この2つの組み合わせである甲辰には、「成功という芽が成長していき、姿を整えていく」といった縁起のよさを表しているように言われています。今年も良い年でありますことを切に願うものです。
昨年の5月には、コロナ感染症が2類から5類になったことで、当協会の創立112周年の記念行事を無事に開催することが出来ました。併せて創立112周年記念誌を発行することが出来、大変に嬉しく思います。これも偏に皆様方の温かいご指導とご鞭撻の賜物と感謝申し上げます。
残念なことは、一昨年のロシアに続き、昨年はイスラエルまでハマスとの間で戦争が起きてしまったことです。そして多くの一般市民が危機的状況になっており、いつも弱いものが犠牲になります。戦争はどちらが勝っても犠牲者が出ることがわかっているのに何故始めるのでしょうか。専門家ではないのでわかりませんが、一つわかることは、人命ほど尊いものはないということです。一日も早く戦争を終えて欲しいものです。
旧ソ連の軍人であり宇宙飛行士であるガガーリン氏のことを述べたいと思います。彼は1961年4月12日、カザフスタンの基地から宇宙船「ボストーク1号」に乗って飛び立ち、地球の軌道を1周しました。人類初となる宇宙飛行の時間は108分で、「地球は青かった」という名言を残したとされています。大変に感動したことでしょう。
そこで思うことがあります。各国の首脳会談を国際宇宙ステイションで開催出来たとしたらどうでしょうか。自分たちが住んでいる地球を眼下にして、目の当たりにしたらどれだけ感動するでしょうか。宇宙からは国境もなくただ青く美しい星が浮かんでいます。地球はかけがえのないものだ。壊してはいけない。人類共通の宝であるとの思いをもって、会談に臨めば人類にとっての良い答えが生まれるのではないかと思います。
昨年11月に1年ぶりにアメリカのサンフランシスコで日中首脳会談が開催されました。会談では共通利益の拡大を目指す「戦略的互恵関係」を包括的に推進することを再確認したとあり、日中両国間では尖閣諸島をめぐる東シナ海情勢や台湾問題などの懸案が山積しているものの、両首脳は「建設的かつ安定的な日中関係」の構築を目指すような記事がありましたが、中国は日本の最大の貿易国であり、隣国としてなくてはならない存在ですので、両国のために、平和的に、良き関係を構築して頂きたいと願うものです。
さて、日医機協は本年も、医薬品医療機器等法をはじめ、会員企業の皆様の業務に係る関係法令の講習会開催などに努めてまいります。具体的には昨年に引き続き協会事業として以下の重点7事業を展開して参ります。
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① 各種講演会の開催(Web等を活用)
医療機器産業を取り巻く経営環境の変化に対応し、多種多様な情報収集に努め、会員企業にとって有益な情報を引き続き提供します。
平成18年度より実施している「高度管理医療機器販売業等の営業所管理者及び医療機器修理業の責任技術者のための継続的研修」、その他「わかりやすいQMS講習会」、「公正競争規約講習会」を開催します。「診療報酬講習会」については診療報酬改定年に該当しますので開催する事を検討したいと思います。
本年も引き続き、Webを活用した講習会が中心となっての開催となります。
講習会につきましては、今後も引き続き工夫し、東京都をはじめ、PMDA、関係官庁にもご協力をお願いしながら、積極的に展開してまいりたいと思います。これらの講習会も長年、医療機器産業を支えてこられた会員企業の皆様方のお役に立てるよう、医薬品医療機器等法をはじめ、法規制にも円滑に対応できますよう、内容を充実させていきたいと考えております。
②医工連携事業の推進
平成25年度より継続して取り組んでいる医工連携では、令和6年度も全国の各都道府県並びに産業振興機構等と共に連携しながら、展示・商談会を開催していきます。この本郷展示・商談会も今年で11年目を迎え、製販企業と、ものづくり企業との間で、マッチングの成果も出ております。
また、この医療機器産業が集積する文京区の本郷台地を「メディカルヒルズ本郷」と標榜し、継続して当協会の医工連携のキャッチフレーズとして、全国に広げ、さらにマッチングの成果も重ねていきたいと考えています。
③展示会出展等について
今まで以上に会員企業にとって有益かつ医工連携に特化した展示会を検討した結果、昨年は第31回日本医学会総会2023に出展いたしました。本年度も有益な展示会を検討したいと思います。
④関係官庁との連携
関係官庁との協力などを通じて、医療機器業界の方向性や課題、医薬品医療機器等法をはじめ法制度の検討に関わり、厚生労働省、経済産業省等の行政機関に対しても積極的に要望・提案を行います。特に医療機器法の制定に向けて前進できればと思います。
⑤会員企業間の交流
製造、販売およびサービス業など、業態の枠を越えた企業間の交流に努めるほか、全国の中小企業団体や企業とも協力関係を築いていきます。当協会の伝統となっている会員企業の皆様のための野球大会、ボウリング大会等の事業を、対策を十分にし、福利厚生の一貫として皆様と共に進めていきたいと思います。
⑥会員のための医科器械会館の管理・運営
当協会の活動拠点である当会館は、本年も感染対策を講じ、会員企業の皆様が安心して気兼ねなく、自由に立ち寄っていただく場として活用していただき、会議室も安価で提供致しますので、自社の会議室のごとく、ご使用して頂ければ幸いに存じます。これからも快適性と永続性の確保を図り、会員のための使いやすい会館として管理・運営を行って参ります。
⑦災害対策・災害救援活動・BCPなどの研究
医療機器団体として大災害に備えた対応を検討します。なお、当協会は、戦前より会員企業のご協力により、災害時には救援物資や義援金を提供するなどの活動を行っている歴史があります。今後も変わらぬ姿勢で参ります。
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以上の7項目を、本年も重点項目として推進していきたいと思いますので、皆様のご指導、ご協力のほど、宜しくお願い申し上げます。
また、昨年に引き続き協会として、医療機器法の早期制定に向けて、少しでも進展があるように声を上げ続けてまいりたいと思います。
最後に、全国の医療機器業界団体の皆様、そして、医療機器に関連するものづくり企業の皆様とも交流・連携を深めながら、日本の医療機器業界の発展に、少しでも貢献していきたいと考えております。
皆様のこの1年のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げ、また、当協会へのご指導とご鞭撻を心より、重ねて、お願い申し上げて、新春の挨拶に代えさせていただきます。