年頭所感

〈「辰年」だからこそ思うこと〉 ―「どうする家康」ならぬ「どうする次世代」!―【一般社団法人日本医療機器工業会・理事長・松本謙一】

今年の十二支は「辰」年

明けましておめでとうございます。

〈今年は「辰」年〉

十二支の中で唯一、空想上の動物である「龍」は、水にまつわる神様として広く庶民に浸透した存在であり、天にかけ昇って雨雲を呼ぶ姿は、各地の民話としても伝承されてきました。

また「辰」は春の陽気が一段と盛んになる様を指しているとも云われ、万物振起を意味する言葉ともいわれる由。(日本の心・こん築)

いずれにせよ、新しい年が明るい未来の幕開けとなることを祈りますが、世の中、何事も手放しで喜び祈ってはいられない時代というのが、まさに「現代」とも思います。

〈AI包括規制〉

昨年十二月初頭、国内主要メディアが一斉に報じたニュースがありました。曰く「EUの行政機関、欧州委員会は九日、日本企業も対応を迫られる、人工知能(AI)を包括的に規制する『AI法案について大筋合意したと発表した。』」と。詳細は省きますが、「『生成AI・チャットGPT』を知らずんば人に非ず」的な世の風潮にあって、「ランサムウェア(身代金要求型ウィルス)」などによる攻撃が増えてくると、或いは一般的に、誰もがスマホを使う時代になると、「アナログ」を辞典でひいても「コンピューターを使いこなせない」というネガティブな意味と、「変化に富んでいる」というポジティブな意味に分けられているようになりました。「空想」に流れてはいけないという証左でしょう。

欧州企業トップとも意見交換―於・オランダ 2023.7月―

〈バランス感覚〉

こうして考えてくると、昨今は時代の進歩も早いので、次々と新しい造語も増えてきますが、常に頭に置いておかねばならない事は「バランス感覚」だと思います。つい便利だやみくもからと闇雲にのめり込むと、必ずやそれを悪用する人間が出てくるから、常にその双方の利活用を考える「バランス感覚」を身につけておく癖は不可欠と思います。

〈どうする次世代〉

最近、全国の書店で続々とベストセラーになっているという「家康の誤算(幕府滅亡の真実!)磯田道史」を一読すると、昨年のNHK大河ドラマ「どうする家康」の意味合いも、あらためて「学ぶこと多かりき」と思いました。日本の将来は、すべからく「次世代人材」にかかっていると思えば、今まさに、AI時代にあっての「人材育成」は、あらためて必須の課題と思います。

ベトナム人・特別技能実習生と―於・長野 2023.4月―

〈働き方改革〉

今や「人口減少社会」となった日本では、「人材」の意味合いについても考える必要があるのではないでしょうか。換言すれば「少子高齢化」社会でもある日本では「高齢者」に対する手厚い政策も不可欠である一方、今迄どおりの「六十歳定年」を少なくとも「七十歳定年」にする等の「働き方改革」も必須となるでしょう。そうすれば、必然的に「高齢者」も「幸齢者」となるでしょう。

〈労働力・人財の確保〉

「次世代」と言えば「若手人材」なる意味合いのみが思い浮かびがちですが、「人材」を考える時は、より多面的に考える必要がある時代でしょう。一言で申せば、「年齢・キャリア」等を問わず、業種・業界の垣根を越えて人材を求めることもイノベーションを求めるには不可欠な時代です。

そして、若手や中堅が会社に求めるのは、安定もさることながら、「自分の成長」にも重きを置く。転職をスキルの習得出来ない職場からの脱出とし、成長にも「タイパ(タイムパフォーマンス=時間効率)」を追求します。

又、「外国人材」の確保・研修にも「英語力」は言うに及ばず、「健康維持・正直」など、多々ありますが、詳述は次の機会としましょう。

アメリカ人とも談笑しながら交流を!―米国学会展示場で、ボルティモア 2023.9月―

〈「国策」への協力〉

昨今、世界中で強調される事の一つが「脱炭素(カーボン・ニュートラル)」。我が医療機器産業界でも、可能な事例は多々あります。その一例が「R―SUD(単回使用医療機器の再製造)」であります。「医療費の適正利用、地球温暖化防止」の為にも是非、推進したい方策の一つです。

〈読書力〉

新規で深い思考力を身につけるのに欠かせないものは「読書」と思います。昨今だけでも要所要所にアンダーラインを引きながら通読した書籍名(再読も含む)のみ挙げても、「忘れる読書(落合陽一)」「ダーウィンの呪い(千葉聡)」「AIと共に働く(小林唯一)」「病院DX(野末睦・中村恵二)」「科学でつきとめた『運のいい人』(中野信子)」etc.

〈現場目線の効用〉

如何に「オンライン化」が進もうと、やはり「コミュニケーション」「情報収集力」などの一つをとっても、「現場目線力」には、とてもかないません。内外を問わず行動しましょう。

〈結びに〉

明るい未来を待ち望みましょう!

―以上―