業界団体

役員改選で松本理事長が再任【日医工】

「2023年度定時社員総会」開催

「2023年度定時社員総会」での審議の様子

日本医療機器工業会(理事長=松本謙一氏、日医工)は、8月23日㈬午後3時から、東京・飯田橋のホテルメトロポリタンエドモントで「2023年度定時社員総会」を開催した。総会では任期満了にともなう役員改選が行われ、松本理事長を再選したほか、副理事長に東竜一郎氏(サクラファインテックジャパン)が新たに就任し、副理事長は4人体制となった。

松本理事長

総会の冒頭、あいさつした松本理事長は残暑が厳しいことにふれ「国連のグテーレス事務総長が『地球温暖化の時代から地球灼熱化の時代に入った』と言っておられ、そんなに大げさなことかと思っていたが、その直後、ハワイのマウイ島の火事で1,000人以上の方が亡くなり、また、イタリアやコロンビア、カナダでも山火事が発生し、世の中どうなっているのか、と自然災害に驚いている」と世界的に続く酷暑を憂慮した

厳しい業界環境を憂慮
来年の50周年に向け飛躍へ

国内の医療機器市場に言及しては「先般、国立大学病院長会議の横手会長のインタビュー記事を拝見したところ、病院も非常に疲弊していて、2022年度の国立大学病院の経常利益は前年比2.2%減の2.5%になり、金額にすると386億円になるという。この数字が何を意味するかというと、これにより、日常のオペレーションも難しくなってくる。医療機器関係でも方針がままならなくなり、10年以上経過した医療機器の更新もできなくなるだろう――と書かれていた。私ども業界も色々な意味で厳しい情勢が浮かんでくるが、こういう時こそオフィシャルティブに貢献していかなければならないと思う」と語った。

来年、日医工が50周年を迎えるにあたり、設立当初を振り返っては「設立の発端は当時、日本医科器械学会(現日本医療機器学会)の理事会で、東京大学医学部附属病院の樫田教授から『アカデミアと産業界が一緒に活動するのは結構なことだが、産業界として医科器械独自の工業会があってもいいのでは』とのご意見をいただき、議論を重ねた結果、工業会の発足に至った。そして来年、50周年を迎える」と回顧した。

コンプライアンスの重要性を強調

医療機器業公正競争規約の違反事例にふれては「先ごろ、千葉県東金市の東千葉メディカルセンターで贈収賄事象が発生した。ECMOを1台納入するにあたり、その見返りとして100万円を日本メディカルオネストから受け取ったとのことです。しかし、何で社名に〝オネスト〟(正直、誠実であること)をつけたのか…と思う」と述べ、コンプライアンスの重要性を説いた。

このあと、事務局から「会員総数135名中、出席38名、委任状提出54名、計92名」と総会成立が報告され、議事録署名人に林、松原、髙橋の3副理事長を指名し、松本理事長を議長に議案の審議に入った。

議案は2022年度事業・決算報告、役員改選、23年度事業計画・予算など。いずれの議案とも担当役員が報告、説明を行い、全件とも原案通り承認、可決した。

松本理事長(前例中央)ら新役員

このうち、役員改選では理事候補24名、監事候補2名が発表され、出席会員の承認を得たあと、新理事らは別室で臨時理事会を開き、互選により松本理事長の再任など新役員体制(下記参照)を決定した。

理事長の再任にあたり、松本理事長は「改めて実が引き締まる思いです。来年に日医工50周年を控え、これまでの色々な歩みを思い出しながら〝日医工ここにあり〟との思いを尽くしていきたい。また、林、松原、髙橋、東の4氏の副理事長のお力を借り、日医工の発展に尽力していきたい」とし、就任のあいさつに代えた。

日医工ビジョンの実現に向け活動へ

また、23年度事業計画では「日医工ビジョン」(①行政への積極的な発言・提案②医療機器の安心・安全の確保③医療機器開発事業化のサポート④医療機器の海外展開の促進⑤公正な事業活動の推進)の実現に向け、組織内の4つのコミッティ(⑴マネジメント⑵政策・戦略⑶コンプライアンス⑷安心・安全)の活動(下記参照)を活発化していく。

総会終了後は特別講演会を開催した。ACESの田村浩一郎社長が「ビジネス活用に向けて生成AIの可能性を考える」をテーマに講演した。田村社長はAIに関する基礎を簡単に紹介した上で、生成AI技術の革新性と可能性から今後、予測される変化までを解説した。

引き続き、行政からの来賓を迎え開かれた懇親会では、今期で役員を退任した▽植竹強(ケイセイ医科工業)▽髙村清(東京医科電機製作所)▽武井和之(武井医科光器製作所)▽石塚悟(サクラファインテックジャパン)▽糸永薫(ユフ精器)▽横山秀樹(アイ・エム・アイ)――の6氏を表彰し、長年の功労をたたえた。

日本医療機器工業会 2023~2024年度 役員

理  事  長
松本 謙一(サクラグローバルホールディング)
副理事長
林  正晃(第一医科)
松原 一郎(アトムメディカル)
髙橋  治(PHC)
東 竜一郎(サクラファインテックジャパン)=新任
理  事
青木  眞(泉工医科工業)
浅野  薫(シスメックス)
網田 英邦(アイ・エム・アイ)=新任
伊垣 敬二(田村国際特許事務所)=特任理事
岩瀬富美雄(浜松ホトニクス)=新任
植竹  茂(ケイセイ医科工業)
小栗 誠史(山田医療照明)=新任
久保 美隆(パラマウントベッド)
清水 英治(ジョンソン・エンド・ジョンソン)=新任
田代 光正(アムコ)
根本 裕司(ミズホ)
芳賀  聡(日本不整脈デバイス工業会)
平尾 泰朗(永島医科器械)
福田 修一(フクダ電子)
古海 敏恵(大陽日酸)
丸上 琢也(ビー・ブラウンエースクラップ)=新任
村中 亮太(村中医療器)
矢野  守(海外医療機器技術協力会)
専務理事
穴田 輝彦(日本医療機器工業会)
監  事
本田 宏志(ニチオン)=新任
眞弓  崇(ヤヨイ)

23年度日医工ビジョンコミッティの事業方針

⑴マネジメントコミッティ
他のコミッティと協力、連携し、日医工ビジョンの実現に向けて、日医工の事業活動全体の円滑な運営を推進する。2024年度に迎える50周年に向けて記念事業のプランの検討、推進の中核を担う。
⑵政策・戦略コミッティ
組織内5委員会(国際政策、法規関連、医療保険、UDI、広報企画)が協力連携し、国内だけでなく海外とも連携し、政策に対しては協力・提言し、会員企業には情報提供・意見集約を通じて戦略的に会員企業の価値向上を目指し、医療機器産業の幅広い振興を目指す。
⑶コンプライアンスコミッティ
日医工会員トップの意識向上を実現する。データを利活用して、会員企業のコンプライアンス意識を向上させる。
⑷安心・安全コミッティ
組織内7委員会(PMS、販売・保守、EMC・安全、人工呼吸器、手術用メス、麻酔機器、ISO/TC121国内委員会)が協力連携し、医療従事者向けに適正使用セミナーと会員企業向けに最新情報セミナーなど情報提供を継続し、また海外とも連携し、医療現場の安全と安心につながる啓発と改善を目指す。