中国政府系団体役員らと会談【日医工、OMETA】
日中の医療状況について意見交換
日本医療機器工業会(日医工)と海外医療機器技術協力会(OMETA)は、第98回日本医療機器学会大会の日程に合わせて来日した中国亜州経済発展協会の劉志貴副会長(医養結合産業委員会会長)ら一行と、6月29日㈭午後3時から、パシフィコ横浜で「中国と日本の医療状況」をテーマに意見交換会を開催した
今回の意見交換会は2022年1月に日医工が中国亜州経済発展協会などとの間で、ヘルスケア分野における国際協力の新たなモデルを模索し日中企業間の実務協力を積極的に推進することを目的に「覚書」を結んだことで実現した。
来日したのは劉副会長と、西安脳病院の宋虎杰病院長、中国亜州経済発展協会医養結合産業委員会の王宏才執行会長、北京市房山老年病院の劉桂蓮看護部長――の4氏。日本側からは日医工とOMETAの国際政策委員会メンバーを中心に14名(リモート参加8名)が参加した。
意見交換会の冒頭、あいさつした日医工の松本謙一理事長(OMETA会長)は「医療機器にとって大事なことは、▽安定供給▽医療DX▽人材育成――の3つで、これは日本と中国の両国とも重視すべきことだと考えている。また、現在、世界は政治的に分断されているが、経済的には世界中どこの国でも国際交流に向かって努力しなければならない。これは日本も中国も同様なことだと思う」と述べた。
中国の国家政策『中国製造2025』に言及しては「中国製造2025は医療機器分野においてどのように行われていくのか、これは日本企業が最も懸念しているところですので、この点について意見交換でお話いただければと思う。いずれにしても中国のマーケットサイズは2023年で28兆円、2025年には36兆円に増加することが予測されている大きなマーケットなので、本日は大いに勉強の場として活用していただきたい」とした。
次いで、劉副会長は「これまで新型コロナウイルス感染症の影響でなかなか交流ができなかったが、今後は日中間で医療機器や病院関連の交流を深くしていくことは間違いないと信じている。今回の交流で日本企業の皆さまのご意見を中国に持ち帰り中国当局に提言したいと思っている」とあいさつした。
このあと意見交換会では、中国側から中国の医療機器開発の特徴や、医療機器市場の現状、病院数の推移、医療技術の発展状況などの説明を受けたあと、意見交換を行った。
このうち、西安脳病院の宋病院長は「中国の人口は14億人で、高齢化も進んでいるので多くの病院を必要としている。医療機関数(2021年末時点)は102万施設(前年比1万5377施設増)で、国公立病院が1.2万施設、民営病院が2.4万施設となっている。病院で治療を受けた患者数は33.2億人で、主に国公立病院で治療を受けているため、政府では民間病院の立ち上げを推奨している。医療保険の加入者数は13.6億人で、そのカバー率は中国全人口97%に達している」と中国医療の現状を説明した。
「中国製造2025」
国公立病院は国産購入を推奨しているが民営病院は国産購入制限はない
また、宋病院長は『中国製造2025』について「中国は国の政策として国産化を進めており、国公立病院に対してCTやMRIなど大型医療機器に関しては国産製品の購入を推奨している。大型医療機器以外の製品に対しは必ずしも国産製品を購入しなければならないという制限はない。また、民営病院については国産製品を必ずしも選択しなければならないという制限はない。例えば、私の病院は民営病院だが、購入した大型医療機器のほとんどが海外製品となっている。日本製医療機器は中国で品質面や安定性などが高く評価されている」と解説した。