新会長に山本章雄氏就任【医機連】
医療機器産業の発展に向け事業推進
医療機器関連の20団体で組織される日本医療機器産業連合会(医機連)は6月13日㈫午後3時から、東京・大手町のKKRホテル東京で「2023年度総会」を開き、新年度事業計画を打ち出したほか、任期満了にともなう役員改選を行い、三村孝仁会長が退任し、新会長に山本章雄副会長(日本画像医療システム工業会会長)が昇格するトップ人事を決定した。
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総会終了後には正副会長が出席のもと「記者会見」が開かれた。冒頭、山本会長は「医機連は20の会員団体で構成され、カテーテルなどの医療材料や衛生材料、家庭で利用するコンタクトレンズや補聴器、内視鏡やX線など比較的大型の診断機器から粒子線装置など超大型の治療機器、さらには体外診断薬を取り扱っている。多種多様な医療機器・医療技術のイノベーションと安定供給を通じて、国民福祉の向上と医療機器産業の発展に寄与することを目的に活動している」と医機連の活動概要を説明した。
4つの重点課題に対応し活動を強化
これを踏まえ、山本会長は医機連の重点課題として、①医療機器の安定供給②医療のデジタルトランスフォーメーション(DX)③脱炭素社会の到来④コンプライアンスの強化――の4点を列挙し、その対応策などを説明した。
①の医療機器の安定供給では、安定供給の具体的な課題について「新型コロナウイルスのパンデミックは国のインフラにおける医療の重要性を改めて認識する機会となった。医療機器においては人工呼吸器などの需要が急増する中、国際コンテナ物流の混乱や半導体、樹脂材料などの部材の調達困難により、サプライチェーンのひっ迫を引き起こしたが、これは過去の自然災害時にも経験した問題です。最近では国際社会で自国優先主義や頻発する国際紛争など、国家・経済安全保障の問題もより大きくなり、これらの問題は医療機器の安定供給にも重要な課題を提起している」と説明した。
これを踏まえ「パンデミックや自然災害、国際紛争などの緊急時に備え、そして部材やエネルギー価格・物流コストの高騰などの平時からの備えも含め、医療を止めない、国民の健康を守るため医療機器のサプライチェーンの強靭化、安定供給の実現には医療機器の製造から医療機関への流通を含めた各ステージ全体での対応が必要になる」との考えを示した。
医療DXへの迅速対応が医療発展へ
②の医療のDXに関しては「政府がソサエティ5.0の未来社会を提唱したのが2016年で、ここで言及しているデジタル社会の到来は、医療においても避けては通れない話であり、DXをいかに迅速に実行できるかが今後の医療の発展への最重要課題であると認識している。医機連としても医療データの利活用の検討やサイバーセキュリティへの対応、AIホスピタルプロジェクトへの参画など、様々な取り組みを進めている」と報告した。
プログラム医療機器に関しては「国においてもプログラム医療機器を成長産業とし期待していることから、デジタル領域への参入が目覚ましい異分野企業やベンチャーに、医機連の活動への参加を促すとともに、既存の医療機器メーカーとの間で化学反応を起こし、新たなイノベーションが生まれることも期待している」と今後の発展を予測した。
③の脱炭素社会の到来については「異常気象による災害も年々、発生件数が増えており、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、CO2 排出削減は、われわれ医療業界も例外ではなく避けては通れない。また、環境への悪影響が少ない化学物質を使用した製品開発も注目度が増しており、医療機器の製造にあたっての環境への配慮への努力はますます重要になってくる」とし、これに対応した活動を展開していくことを明かした。
④のコンプライアンスの強化では「われわれは人の命に関わる製品を扱っていることから、何よりも高い倫理観が求められている。これまでも医機連では企業倫理に関する講習会や、新人社員向けセミナーなど、会員への周知を行ってきたが、より一層のコンプライアンスの徹底と再発防止に取り組んでいく」と表明した。
医療機器産業ビジョンの策定に着手
そのほか、医機連が従来から策定している『産業ビジョン』について「現在の産業ビジョンは2018年に策定し5年が経過したことから、昨今の社会環境の変化と科学技術のさらなる進展を踏まえ、新たな産業ビジョンの策定に着手する」と発表した。
最後に、山本会長は「医療機器は多品種にわたるため、会長1人では全部をカバーできないので、各副会長に得意な領域での役目を持っていただき、5人体制で連携しながら進めていきたい」とし、各副会長の担当領域を説明した。
なお、各副会長の担当領域は次の通り。
▽田村隆司副会長(筆頭副会長)=医療機器保険や市販後調査(PMS)、環境規制、SaMD(プログラム医療機器)を含む診療報酬、市販後安全対策、環境規制などを担当する。
▽松本謙一副会長=国際政策や国際規格、企業倫理、UDIなど担当する。
▽浅若博敬副会長=講習、研修、販売保守などのほか、流通代表として中医協への対応を担当する。
▽高木俊明副会長=医療材料保険や法規制、法制、臨床評価、QMSなどを担当する。
日本医療機器産業連合会 2023・24年度役員
■会 長
・山本 章雄(日本画像医療システム工業会、富士フイルムヘルスケア、新任)
■副 会 長
・田村 隆司=筆頭(電子情報技術産業協会、日本光電工業、新任)
・松本 謙一(日本医療機器工業会、サクラグローバルホールディング)
・浅若 博敬(日本医療機器販売業協会、丸木医科器械)
・高木 俊明(日本医療機器テクノロジー協会、テルモ、新任)
■専務理事
・中井川 誠(日本医療機器産業連合会)
■常任理事
・中島 孝夫(日本医療機器協会、秋山製作所)
・小澤 素生(日本眼科医療機器協会、ニデック)
・山本 富造(日本ホームヘルス機器協会、山本化学工業)
・中尾 潔貴(日本歯科商工協会、ジーシー)
・久芳 明(日本医療機器産業連合会)
■理 事
・原 拓也(日本医用光学機器工業会、興和)
・冨 木隆夫(日本医療機器ネットワーク協会、冨木医療器)
・川本 武(日本衛生材料工業連合会、川本産業)
・青戸 義彦(日本補聴器販売店協会、ヒヤリング技研)
・奥田 宏(日本理学療法機器工業会、オージー技研)
・小野 徳哉(日本臨床検査薬協会、島津ダイアグノスティクス)
・保科 保志(日本医療用縫合糸協会、秋山製作所、新任)
・川浦 康嗣(日本コンタクトレンズ協会、メニコン、新任)
・久米 孝之(日本コンドーム工業会、オカモト、新任)
■監 事
・折橋 敏秀(日本分析機器工業会、日立ハイテク)
・成沢 良幸(日本補聴器工業会、リオン、新任)
・樋口 幸一(公認会計士・税理士)