「画像医療システム導入状況調査」結果公表【JIRA】
医療機器の長期使用が固定化
日本画像医療システム工業会(会長=山本章雄氏、JIRA)は「第20回(2022年度)画像医療システム等の導入状況と安全確保状況に関する調査」の結果を公表した。それによると、▽X線CT装置▽血管撮影用X線装置▽MRI装置▽核医学装置(SPECT装置)▽放射線治療装置▽超音波装置▽CR画像処理装置――の代表的な7機種の「平均使用期間」は、08年度の第7回調査から14年連続して11年を超え、16年度からは12年を超えている。長期使用が固定化され、日常の安全点検と定期的な保守管理が、より重要性を増す状況になっている。
調査は2022年11月~12月にかけて実施。全国の医療施設を99床以下、100~299床、300~499床、500床以上の4つの病床群に分類し、その中から無作為に抽出した1000施設の放射線部門技師長宛にアンケート用紙を郵送し、郵送調査票かWEBアンケート画面のいずれかで回答を得た。有効回答数は417施設(回収率42%)となった。
調査対象51機種の実際の使用期間を「1~5年」「6~10年」「11年以上」の3区分で調査した結果、最長の使用期間「11年以上」では、51機種中12機種(24%)の装置が50%以上あり、17機種(33%)の装置が40%以上と長期使用の状況だった。
また、「6~10年」と「11年以上」の合計が50%以上の機種は51機種中49機種(96%)と大多数を占め、平均買い替え年数の長期化を裏付ける結果となった。
保守点検実施状況に関しては、メーカーとの「保守契約」「都度メーカーを呼んで点検」「院内で保守点検」の3項目を合計した保守点検実施率を調査した結果、▽一般X線撮影装置▽血管撮影用X線装置▽核医学装置▽超音波装置▽CR画像処理装置――の5機種は全体的に前回より増加傾向にあるものの、全ての医療機器の保守管理が実施義務化となった07年の改正医療法の施行から15年半が経過した調査にもかかわらず、院内での保守点検実施対応が十分に進んでいない状況にあることが判明した。
医療機器安全管理責任者の設置状況については、全体の90%以上の施設が設置しており、改善がみられるものの、病床規模や設置主体で差がみられた。医療機器安全管理責任者の職種は、診療放射線技師や臨床工学技士、医師の3職種で約90%以上を占めた。「医療機器保守点検計画の策定」状況に対する回答では、「策定している」と回答した施設が92・6%と前回の調査から0・2ポイント悪化した。
JIRAでは35年前の1988年から「医療機器の導入実態調査」を継続的に実施してきた。同調査は医療施設での機器導入・使用の状況と保守点検を含む安全性確保の状況把握や、流通状況などから産業界の行動指針の検討、企業全体の技術水準の向上、社会ニーズに沿った医療画像診断機器・システムの開発方向性の探求、安全性、標準化の基礎資料などに使用し、医療機器産業の振興に寄与することを目的としている。